Book Reviews (マイブック評)

光 三浦しをん   集英社  3/15/16 March 15, 2016

この作者の引き出しの多さに、毎回驚きます。新しい本を開くと、そこに全く前の本とは違う世界、違う言葉のつながり、空間がある。「光」は、こんなに最低で良いの?と、思うくらい、最悪の最悪の人間性が根幹にある。そこから、歯が浮くような、愛を描いていく。幼馴染という安心するような関係から、とんでもない話が紡がれていく。「普通」を切望しながら、「普通」を嫌う。人間の本質に迫る本だ。

舟を編む  三浦しをん   光文社  2/24/16 February 24, 2016

本好きの私にとっては、会うべきして会った本。辞書にかける情熱。すべてを忘れて打ち込める、情熱。本当に素晴らしい。「三浦しをん」熱に浮かされている私に、更に追い打ちをかけるすご本です。再三書いているように、この作者の天才的な主人公の命名術!「馬締光也」何とすごい響き。そして彼の奥さんが、「香具矢」。言葉へのあくなき探求心の馬締に、香具矢の料理への真摯な気持ち。そんじょそこらにはいない、カッコ良い夫婦です。人生何が幸せって、こんなに狂おしく何かに執着して、仕事を愛することでしょう。もうそれに尽きる!それがあれば、他の事は後からついてくるし、又、他の事が大事じゃなくなるからね!「舟を編む」は、名著です。

まほろ駅前多田便利軒  三浦しをん 文芸春秋社 2/16/16 February 17, 2016

三浦しをんの本、2作目。「月魚」でも書いたように、私はすっかりこの人の世界にはまってしまっています。まずこの作家、大天才的に、登場人物を命名する。この本の中の、行天春彦や三峰凪子、とか、「月魚」の真志喜や瀬名垣。名前だけで、もうぐぐっと来てしまう、すごさ。確かこの本、直木賞受賞しているんですよね。「賞」を取っても、その後鳴かず飛ばずの作家もいますが、三浦しをんさんは、すごいことになると思います。いまでも、すごすぎるけど、ね。この本について、何からお話しして良いやら・・「寅さん」的な、人情ものとも言えるんだけど、発想がぶっ飛んでいるし、文章の切れが最高。是非是非、読むことをお薦めします!これからしばらく、この作家の「追っかけ」になる、私です。

月魚  三浦しをん   角川文庫  2/16/16 February 17, 2016

余りの美しさに、ほろろとさせられてしまう小説。最初はこの作家の事を知らず、てっきり男性かと思ってしまうほど、男性愛の耽美性に引き込まれてしまった。情景、文章、すべてが独自のテンポの中で、ひそやかに、そして大胆に、表現されている。いっきに私はこの作家のファンになってしまった。谷崎純一郎を彷彿させるような、それでいて、とても現代。小説家って、本当にすごい。

カンタ 石田衣良 文芸春秋  2/8/16 February 8, 2016

この題名を読んで、どれくらいの人が、内容を想像できるだろうか。この本は、「トムソーヤの冒険」かもしれないし、「コンチキ゚号漂流記」かもしない。でも、もっと大スケールのスペクトルだ。カンタと耀司の、デコボココンビの、歴史。最近読んだ本の中で、最高の位置にあると思う。これ、本当です。涙してしまうこともしばしば。男女間の愛情ではない、真の愛を描く、意欲作。是非読んでください。

6Teen シックステイーン 石田衣良  2/7/16 February 8, 2016

高校生になった四人組。それぞれに個性大全開で、日常の出来事をカッコ良く乗りきっていく。文章の「キレ」がとてもよくて、どこどこ引込まれてしまう。石田さん、流石、流行作家。「もんじゃ焼き」が中心の毎日で、そこにさまざまなアクセントが追加されて、高校生の暮らしとしては、とてもカラフルだ。一つ一つのエピソードが丁度よい長さで、現代人のライフスタイルにぴったり。まあ、読んでみてください。

雑誌「相撲」 ベースボール・マガジン社  2/7/16 February 7, 2016

相撲ファンとして欠かせない雑誌。ほとんどすべての記事を、きちんと心を込めて読んでいます。毎号いろいろな特集記事があり、とても面白いんですね。「ウルフの一刀両断」も好きなコラムの一つ。また、部屋ごとの情報や、幕下の力士など、普段なかなか知り得ない情報も、とっても良いです。毎月楽しみにしています。

Trois トロワ 石田衣良 佐藤江梨子 唯川恵  角川書店 1/23/16 January 23, 2016

3人の作家による、3人の話。ストーリーを引っ張っていくテンポがとても良い!三角関係という陳腐な言葉では表現出来ない女二人、男一人の愛憎物語。はっきり言ってドロドロ状態とも言える関係なのだけど、それをそういう観点から見ずに、不思議な立ち位置で見ている。この小説は、一つ前に読んだ石田衣良さんのリバースとは正反対の、超現実的な設定で(私にとっては)、その中で遊ぶ、楽しさかなあと思う。どんどん読めてしまう、エンタテインメント小説だ。

Reverse リバース 石田衣良 中央公論社 1/23/16 January 23, 2016

これは本当に新しい、そしてとても素敵な恋愛小説だ。登場人物も最高だし、設定もお洒落でいながら、現実的なところが良い。誰だって、話を聞いて欲しい。辛い気持ちを、聞いて欲しい。そして、横にいてくれる人が欲しい。ネット恋愛という、狭い世界では語る事の出来ない、大きな愛。深夜のメールのやり取りは、何故か深夜のラジオ放送を感じさせる。ネットで発生した関係が、現実の世界とマッチし、でもネットでの関係も継続させるという、カッコ良すぎないのが良いかなあ。テンポも良く、一気に読むこと間違いなし。

骨音 池袋ウエストゲートパークIII  石田衣良  文春文庫 1/3/16 January 4, 2016

これは、旅行中に読んだ最後の本。誰でもマコトのファンだろうけど、ご多分に漏れず私もです・・ 勝手にイメージを膨らませて、マコト像、作ってます。現実にある「池袋」という町から、これだけ想像力をふくらませて、ストーリーを組み立てる作家という職業、本当にすごいですね。下町版・ジェームス・ボンドとでもいう、マコト。池袋のキング、タカシ。それを囲んで、役者ぞろい。チョイyakuza調の、テンポの速い文体。元気のない貴方は、ぶっ飛ばされてしまうかも、よ。あっという間に、読んでしまいました。