Book Reviews (マイブック評)
三浦しをんの本、2作目。「月魚」でも書いたように、私はすっかりこの人の世界にはまってしまっています。まずこの作家、大天才的に、登場人物を命名する。この本の中の、行天春彦や三峰凪子、とか、「月魚」の真志喜や瀬名垣。名前だけで、もうぐぐっと来てしまう、すごさ。確かこの本、直木賞受賞しているんですよね。「賞」を取っても、その後鳴かず飛ばずの作家もいますが、三浦しをんさんは、すごいことになると思います。いまでも、すごすぎるけど、ね。この本について、何からお話しして良いやら・・「寅さん」的な、人情ものとも言えるんだけど、発想がぶっ飛んでいるし、文章の切れが最高。是非是非、読むことをお薦めします!これからしばらく、この作家の「追っかけ」になる、私です。
余りの美しさに、ほろろとさせられてしまう小説。最初はこの作家の事を知らず、てっきり男性かと思ってしまうほど、男性愛の耽美性に引き込まれてしまった。情景、文章、すべてが独自のテンポの中で、ひそやかに、そして大胆に、表現されている。いっきに私はこの作家のファンになってしまった。谷崎純一郎を彷彿させるような、それでいて、とても現代。小説家って、本当にすごい。
この題名を読んで、どれくらいの人が、内容を想像できるだろうか。この本は、「トムソーヤの冒険」かもしれないし、「コンチキ゚号漂流記」かもしない。でも、もっと大スケールのスペクトルだ。カンタと耀司の、デコボココンビの、歴史。最近読んだ本の中で、最高の位置にあると思う。これ、本当です。涙してしまうこともしばしば。男女間の愛情ではない、真の愛を描く、意欲作。是非読んでください。
高校生になった四人組。それぞれに個性大全開で、日常の出来事をカッコ良く乗りきっていく。文章の「キレ」がとてもよくて、どこどこ引込まれてしまう。石田さん、流石、流行作家。「もんじゃ焼き」が中心の毎日で、そこにさまざまなアクセントが追加されて、高校生の暮らしとしては、とてもカラフルだ。一つ一つのエピソードが丁度よい長さで、現代人のライフスタイルにぴったり。まあ、読んでみてください。
相撲ファンとして欠かせない雑誌。ほとんどすべての記事を、きちんと心を込めて読んでいます。毎号いろいろな特集記事があり、とても面白いんですね。「ウルフの一刀両断」も好きなコラムの一つ。また、部屋ごとの情報や、幕下の力士など、普段なかなか知り得ない情報も、とっても良いです。毎月楽しみにしています。
3人の作家による、3人の話。ストーリーを引っ張っていくテンポがとても良い!三角関係という陳腐な言葉では表現出来ない女二人、男一人の愛憎物語。はっきり言ってドロドロ状態とも言える関係なのだけど、それをそういう観点から見ずに、不思議な立ち位置で見ている。この小説は、一つ前に読んだ石田衣良さんのリバースとは正反対の、超現実的な設定で(私にとっては)、その中で遊ぶ、楽しさかなあと思う。どんどん読めてしまう、エンタテインメント小説だ。
これは本当に新しい、そしてとても素敵な恋愛小説だ。登場人物も最高だし、設定もお洒落でいながら、現実的なところが良い。誰だって、話を聞いて欲しい。辛い気持ちを、聞いて欲しい。そして、横にいてくれる人が欲しい。ネット恋愛という、狭い世界では語る事の出来ない、大きな愛。深夜のメールのやり取りは、何故か深夜のラジオ放送を感じさせる。ネットで発生した関係が、現実の世界とマッチし、でもネットでの関係も継続させるという、カッコ良すぎないのが良いかなあ。テンポも良く、一気に読むこと間違いなし。
これは、旅行中に読んだ最後の本。誰でもマコトのファンだろうけど、ご多分に漏れず私もです・・ 勝手にイメージを膨らませて、マコト像、作ってます。現実にある「池袋」という町から、これだけ想像力をふくらませて、ストーリーを組み立てる作家という職業、本当にすごいですね。下町版・ジェームス・ボンドとでもいう、マコト。池袋のキング、タカシ。それを囲んで、役者ぞろい。チョイyakuza調の、テンポの速い文体。元気のない貴方は、ぶっ飛ばされてしまうかも、よ。あっという間に、読んでしまいました。
これも、旅行中に読んだ一冊。最近行った、日本語のブッククラブで話題になっていた本です。以前読んだけど、記憶から消えていたので、再び読んだ。桐野さんの本は、いかにドロドロしていようとも、いつもカッコ良い。そして、幾重にも重なる人間関係、ストレートでない物の見方、歯切れの良いテンポなど、読者を魔物のように引き寄せる、んですね。私も、彼女の毒牙にかかっています。とっても現実的でないのだけど、身近に感じる本。是非読んでみてね。
旅行に出ると、必然的にいつもより本を読むんですね。アメリカは広いので、ちょっとしたフライトでも4-5時間かかるので、という訳で、これはクリスマスの旅行中に読んだ本の一冊。私は、東野さんといえば、「手紙」とか「赤い指」とか、じーんとくる人情ものが好きです。白銀ジャックは、犯人が見え隠れするけど、のほほんと分かるかな??という、推理・サスペンス・社会派ストーリー。私的に言えば、ちょっとお話に無理があるかなあと、いう印象です。でも、長い空の旅、楽しませてもらいました。