Book Reviews (マイブック評)

6Teen シックステイーン 石田衣良  2/7/16 February 8, 2016

高校生になった四人組。それぞれに個性大全開で、日常の出来事をカッコ良く乗りきっていく。文章の「キレ」がとてもよくて、どこどこ引込まれてしまう。石田さん、流石、流行作家。「もんじゃ焼き」が中心の毎日で、そこにさまざまなアクセントが追加されて、高校生の暮らしとしては、とてもカラフルだ。一つ一つのエピソードが丁度よい長さで、現代人のライフスタイルにぴったり。まあ、読んでみてください。

雑誌「相撲」 ベースボール・マガジン社  2/7/16 February 7, 2016

相撲ファンとして欠かせない雑誌。ほとんどすべての記事を、きちんと心を込めて読んでいます。毎号いろいろな特集記事があり、とても面白いんですね。「ウルフの一刀両断」も好きなコラムの一つ。また、部屋ごとの情報や、幕下の力士など、普段なかなか知り得ない情報も、とっても良いです。毎月楽しみにしています。

Trois トロワ 石田衣良 佐藤江梨子 唯川恵  角川書店 1/23/16 January 23, 2016

3人の作家による、3人の話。ストーリーを引っ張っていくテンポがとても良い!三角関係という陳腐な言葉では表現出来ない女二人、男一人の愛憎物語。はっきり言ってドロドロ状態とも言える関係なのだけど、それをそういう観点から見ずに、不思議な立ち位置で見ている。この小説は、一つ前に読んだ石田衣良さんのリバースとは正反対の、超現実的な設定で(私にとっては)、その中で遊ぶ、楽しさかなあと思う。どんどん読めてしまう、エンタテインメント小説だ。

Reverse リバース 石田衣良 中央公論社 1/23/16 January 23, 2016

これは本当に新しい、そしてとても素敵な恋愛小説だ。登場人物も最高だし、設定もお洒落でいながら、現実的なところが良い。誰だって、話を聞いて欲しい。辛い気持ちを、聞いて欲しい。そして、横にいてくれる人が欲しい。ネット恋愛という、狭い世界では語る事の出来ない、大きな愛。深夜のメールのやり取りは、何故か深夜のラジオ放送を感じさせる。ネットで発生した関係が、現実の世界とマッチし、でもネットでの関係も継続させるという、カッコ良すぎないのが良いかなあ。テンポも良く、一気に読むこと間違いなし。

骨音 池袋ウエストゲートパークIII  石田衣良  文春文庫 1/3/16 January 4, 2016

これは、旅行中に読んだ最後の本。誰でもマコトのファンだろうけど、ご多分に漏れず私もです・・ 勝手にイメージを膨らませて、マコト像、作ってます。現実にある「池袋」という町から、これだけ想像力をふくらませて、ストーリーを組み立てる作家という職業、本当にすごいですね。下町版・ジェームス・ボンドとでもいう、マコト。池袋のキング、タカシ。それを囲んで、役者ぞろい。チョイyakuza調の、テンポの速い文体。元気のない貴方は、ぶっ飛ばされてしまうかも、よ。あっという間に、読んでしまいました。

緑の毒 桐野夏生  角川書店 1/3/16 January 4, 2016

これも、旅行中に読んだ一冊。最近行った、日本語のブッククラブで話題になっていた本です。以前読んだけど、記憶から消えていたので、再び読んだ。桐野さんの本は、いかにドロドロしていようとも、いつもカッコ良い。そして、幾重にも重なる人間関係、ストレートでない物の見方、歯切れの良いテンポなど、読者を魔物のように引き寄せる、んですね。私も、彼女の毒牙にかかっています。とっても現実的でないのだけど、身近に感じる本。是非読んでみてね。

白銀ジャック  東野圭吾  実業日本文庫  1/3/16 January 4, 2016

旅行に出ると、必然的にいつもより本を読むんですね。アメリカは広いので、ちょっとしたフライトでも4-5時間かかるので、という訳で、これはクリスマスの旅行中に読んだ本の一冊。私は、東野さんといえば、「手紙」とか「赤い指」とか、じーんとくる人情ものが好きです。白銀ジャックは、犯人が見え隠れするけど、のほほんと分かるかな??という、推理・サスペンス・社会派ストーリー。私的に言えば、ちょっとお話に無理があるかなあと、いう印象です。でも、長い空の旅、楽しませてもらいました。

今夜は心だけ抱いて 唯川恵  12/26/15 December 26, 2015

これって、今流行りの「入れ替わり」なのか・・と、最初思ったけれど、とんでもない!とても深いお話しでした。久しぶりに本を読んでいて、泣いてしまった。子供を捨てて離婚した、仕事に生きる母。母に捨てられたと思ってちょっとひねくれた娘。ありふれた出だしだが、それがとんでもない方向に展開していき、人間の包容力、優しさ、愛する事の意味へと、深く進んでいく。お薦めの一冊だ。

今夜 誰のとなりで眠る 唯川恵 集英社 12/26/15 December 26, 2015

これは青春小説かもしれないし、とてつもない恋愛小説かもしれない。「秋生」という常人離れした存在を囲みながら、皆が彼を深く愛する。そして彼の言葉で、それぞれが人生を見直し、背中を押してもらって、次のページに進んでいく。秋生は偉ぶらない。でも、心に突き刺さる言葉を紡ぐ。素敵なお話しだと思う。

肩ごしの恋人  唯川恵 マガジンハウス  11/29/15 November 29, 2015

最初読み始めた時は、今風のトレンド小説かって軽く思って、読むの辞めちゃおうかな、と思った。ちょっと林真理子のバブル期の小説風で・・でも読み進めて行くうちに、とことん本の虜になってしまった。面白トリオが主人公で、まあちょっと現実離れした設定なんだけど(まあそこは、おいといて)、トリオの一人一人が呟く、本音が良い。周りの男共が、良い。「君って、旦那を愛しているんじゃなくて、結婚を愛しているんだね」これなんて、もう沢山の女性が陥っている、どうしようもない真実ですね。自分の心の声に正直になるって、他人との摩擦も多いけど、背筋がピンと伸びていて素敵。