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東野さんの多々あるご著書。かなりの量を読んでいると思うのですが、いつも読後に何とも言えない満足感を覚えます。ミステリー作家(こんな単純な枠の中に収めてすみません)として、第一人者として長年続けてこられた理由は沢山あると思いますがが、何と言ってもストーリーの面白さ、読者を引っ張るストーリーの展開性、登場人物の素晴らしい性格設定、そして登場人物への気持ちの深さではないでしょうか。「白鳥とコウモリ」という題名は妙得てずばり!それぞれの鳥の持つイメージが本の主題だと思うのですが、それが逆方向から光が当たるとどうなるのか。表裏一体というのか、人間は表面のイメージで人を判断しやすい、という弱点をついた発想とでも言いましょうか。推理小説としても大変面白いですが、その心理描写の繊細さや人間j関係への深い洞察は、もう推理小説という枠を大きく超えています。長編小説ですが、一気に読んでしまうこと、請け合いです!
本好きの私、常に本は読んでいるのですが、時間がなくて(言い訳!)、ここのところブック評書けていませんでした。今日、旅先で時間のご褒美があったので、何冊かまとめて書きます! 凪良ゆうさん、最近の私のお気に入りの作家です。何と言っても、ストーリー性が素晴らしい。心理描写が、私の心にずしんと来る。惚れ込んでいます・・「汝、星のごとく」は、2度目の本屋大賞に選ばれた作品です。話は二転三転と、時には全く予期しない方向に進みながら、その根底にある愛の豊かさを、真摯な目で語り続ける。何かに縛られがちな現代人、特にネット社会の横行で心が壊されることもしばしばあるこの時代に、自分の生き方を貫く強さ、自分を認める強さを教えてくれる本。愛の強さを教えてくれる。そして、たまらなく優しい。是非是非、読んで頂きたい作品です。「滅びの前のシャングリア」は、一ヶ月後に小惑星が衝突し、地球が滅びるという、想像もつかない話の設定で、度肝を抜かれます。限られた時間の中で、人間が本性を表し、暴行がはびこり、街が破壊され、今までの価値観がぼろぼろにされていく中、逆に美しさを増し、自信を付け、初めて愛に包まれる生活をする人々が生まれる。状況としては、嘔吐を催しそうになる場面も出てくるけれど、そこにひっかかってはいけません。この本でも、「愛」を語り続ける凪良さん。街がボロボロで、死体がゴロゴロしていても、「愛」です。深いですよ。益々、この作者が好きになりました。
今夏7月27日(土)4時より、東京の表参道にありますカワイショップ内「パウゼ」にて、オールショパンのプログラムでコンサートを開きます。今回は日本で初めての試みで、無料コンサートと致しました。本日よりカワイのウェブサイトより。チケットのお申し込みを受付開始致しましたので、どうぞ宜しくお願いします。ショパンの音楽と人生についてのお話を入れながら、コンサートを進める予定です!ショパンと一緒に、夏のひと時過ごしでみませんか?? https://www.kawai.jp/event/detail/2573/
この本は、日本からLAに戻ってくる飛行機で読んだ。大好きな山崎ナオコーラさんのご本。青山ブックセンターで購入したものだ。ブック評とは少し話が逸れるが、このブックセンターなかなか良かったです。はい。山崎さんの独特のテンポ感が、とても好きだ。この本も、まさにナオコーラの不思議なテンポと、最高に傑作な登場人物で、いやいやとんでもなく面白い。 新聞のテレビ・ラジオ欄をつくる会社の「夕日テレビ班」での、若手社員6人の人間模様。ぽんぽんとやり合う若者達。とても良いです。地味な仕事の中に、社員達は自分を投影しながら、毎日が過ぎていく。言霊なんて大層なものではないかもしれないけれど、言葉の選択に皆四苦八苦。何気なく見ているテレビ欄に、こういう背景があったんですね。大変面白く読みました!
日本への帰国の飛行機で読んだ本。ひきこもり作家の元に、生まれてから一回も会ったことのなかった息子が、突然現れた!貴方ならどうする?誤解、思い込み、様々な葛藤が交錯した結果、息子は母の元で育てられ、作家はひたすら養育費を送り続けた。そして25歳の息子が、突然父である作家の家を訪ね、あれよあれよという間に、一緒の暮らしが始まった。孤独に慣れた作家は、好青年に育った息子に戸惑いながら、段々とその共同生活が快くなっていった。ユーモアあり、暖かな気持ちに溢れ、売れっ子作家の瀬尾さん、素敵な物語を編み出した。
凪良ゆう、本当に凄い!古い下宿屋さんの、心温まる友情物語か・・と思いきや、ストーリーの深さ、複雑さが、半端じゃあないです。「愛」が根底にある。人間の課題であり、夢であり、ゴールである、愛。それは、万華鏡の如く、様々に煌めき、消え、見失い、発見していく。登場人物が素晴らしく、我々がそうであるように、彼らも問題だらけでの人生を歩んでいる。問題は解決されない事が多いけれど、それをシェアしていくことで、肩の荷を少しだけ下ろし、前に進んでいく。この作家の他の本を読むことが、今から待ち遠しい。お薦めの一冊です。
朝日新聞上で連載されていた時から、大変な反響を呼んでいたエッセイとの事。こうして、本として発行されて、海外在の私も手に取ることが出来た。美しい文章と深い愛情が、紙面から溢れ出てくる。そして、軽井沢の自然がそれに寄り添い、我々読者に語りかけてくる。プロの作家は、一番近い人の死を文章にし、その過程で悲しみを浄化させるのかもしれない。作家同士のカップル、それは色々あっただろうけれど、こうして死を見送り、寂しさが押し寄せる。読んで本当に良かった本だ。
As a pianist, I have been playing Chopin since my very young age, and from time to time I have been performing his music. But it is my first time to program all Chopin works on one concert. I really like my program and I have discovered a lot through practice and study. Yesterday, I […]
大変失礼ながら、この本を読むまではこの作者の事はほとんど知らなかったんです。正直に申し上げますが、「本屋大賞受賞作」という帯の文句に惹かれて買いました。でも買って良かった。とても心にズシンと来るテーマで、でも文章のキレが良くて、どんどんとページをめくってしまう。そういう、小説です。話の展開、テンポもとても良い! 更紗ちゃんは、幼少期をとても素敵なご両親と、「正直」に生きていた。でもその家庭がその姿を保てなくなり、そこから、新たな更紗の人生が始まる。そして「文」との出会い。最悪の出会い。最高の出会い。運命の出会い。何とでも取れる、その瞬間。人間は誰一人同じではなく、そして地球上にその「個性」が数限りなく存在する。その中で、奇跡的に出会った二人。この二人の出会いをどの様に取るか、それはこちら側の問題でもある。人の幸せって何?素朴な疑問に、少しだけ道筋をくれる小説かもしれない。是非、読んでみて下さい。
こんな風に思える「故郷」「家」があるって、とても素敵だと思う。綿矢さんご自身も京都の出身らしいので、京都の魅力を「住人」としての目線で語ってくれている。私は、とても幸運な事に、海外在住でありながら、祇園祭をアメリカ人の夫と経験している。計画を立てていた訳ではないのに、偶然日本旅行中に祇園祭に遭遇したのだ。それは素晴らしかった。私は、父・母両方の家とも何代も前から東京で、「京都」という街には、ひたすら憧れがある。あのはんなりとした語り口、薄味の煮物。すべてが、Sophisticatedだ。私は早口で、落ち着きがない! 個性豊かな3人姉妹が織りなす、日常の物語。読んでいて、京都に友達が出来たような気持ちになった。今度京都に行く機会があれば、是非この3姉妹の軌跡をたどりたい。