Japanese Blog (日本語のブログ)
何と、奇抜な発想と転換。「むらさきのスカートの女」と主人公の関係は、愛でも、友情でもなく、妬みでも、嫌悪でもない。主人公は、とても「むらさきのスカートの女」と、友達になりたがっているが、最後のページまで、この主人公が誰なのか、読者は知らされない。勘が良い貴方なら、気がつくかもしれないけれど、ね。そして、この主人公、うまーく「むらさきのスカートの女」を操り、陥れる事に成功してしまう。英語だと、コントロール・フリークとでも言うところ。淡々とした表現の中に、狂気が垣間見え、ちょっとゾッとするのは、私だけであろうか。偏執狂にご興味があれば、この本をお薦めしますよ。
ほんの数日の出来事が、大長編となる凄さ!高級ホテル「ホテル・コルシカ東京」のカウントダウン・パーテイは、仮面・仮装での参加。そこに、犯人からの挑戦状が届くという訳である。東野圭吾ファンを長く続けさせて頂いている私である(ここは敬語で臨みます!)。ちょこっと、謎解きが出来たので、自分自身を褒めて上げました。最後のどんでん返しには辿り着けなかったけれど、探偵の助手くらいは務まるかも!伏線が沢山あるので、その辺を上手く見つけて、貴方も犯人探しの手助けをしてみませんか?魅力ある登場人物ばかりなので、退屈しませんよ。
後半戦、優勝は誰か・・・と、ヤキモキした5月場所。毎日、本当に相撲中継が楽しみでした。結果として、照ノ富士が横綱の貫禄を見せて、賜杯を掴みましたね。優勝インタビューでは、喜びと共に横綱としての重責を語り、自然体の姿勢に好感が持てました。語るまでもなく、結果を出せなかった大関陣。千秋楽に、かろうじて貴景勝が正代相手に勝ち越したものの、残り2人の大関はひどい負け越しで角番。3役では、阿炎が7勝止まりでしたが、若隆景9勝、豊昇龍8勝、霧馬山10勝と、これからの相撲界を牽引していく大きな力を感じました。 私は、心から佐田の海にエールを送りたいですね。35歳、真面目で真摯な相撲態度。2度目の三賞受賞でした。大栄翔、隆の勝の三賞ももちろん順当。左差しみの若元春、四つ相撲の琴ノ若、9勝。関取で唯一北海道出身の一山本も成長著しく8勝。復帰を感じさせる明正8勝、翠富士はたき込み炸裂で9勝、ベテラン勢では隠岐の海9勝、碧山10勝。幕尻の2人、千代大龍と錦木が勝ち越し。中盤まで場所をリードしていた、幕内力士最年長の玉鷲は、9勝。宇良は、優勝戦線に残っていたものの、怪我で14日目から休場。 相撲協会の新体制化で、審判部、テレビの解説担当が入れ替わり、今まで中々お話を聞くチャンスのなかった親方の解説が聞けたのも、興味深い場所でした。九重親方(千代大海)の解説に、私は惚れ込んでしまいましたね。「土俵に上がると一対一の男の勝負」、「相手がここで勝負をかけて来るんだという勘」など、思い出深いコメント多々。又、若の里の西岩親方は、39歳で引退するまで変化は一度しかしなかったというお話し。これにも感動!これはテレビの相撲中継ではありませんが、春日野部屋の力士が、春日野親方の言葉「日々の稽古は嘘をつかない」を披露していましたが、これは音楽や他の分野にも通ずる有難い言葉ですね。又、佐田の海の「偶数月の稽古でここまで来た」というのも、深く頷けます。 名古屋場所では、朝乃山が1年ぶりに3段目からの復帰。夏巡業も復活するという話を聞きました。出稽古の復活もそろそろでしょうか。7月場所に、大きな期待を残して、国技館からしばしお別れです。どすこい!
的を得ている事だらけで、(米谷さんの文体を拝借して)「オー・マイ・ゴッド!」。作者の米谷さん、ロサンゼルスにお住まいなのに、全く知らずに今日まで過ごして来た事に、呵責の念に苛まれています「アイ・アム・ソーリ」。98年に、女流文学賞を受賞した本作品。文章の切れとテンポ、関西弁と英語日本語のうま〜い共存、どれを取っても最高です。どん底の苦しみも、笑いに変え強く生きていく、主人公とその家族。米谷さんご本人の人生経験がベースの小説だと思うのですが、ドロドロしていなくて、とても爽やか。解決の糸口が見えない、家族のしがらみに絡みとられている貴方。必読ですよ!解決は望めないかも知れないけれど、気持ちがスキッとなる事、請け合いデス。「ハバ・ナイス・デイ!」
小説の初期段階に、「幽霊」的なところが出て来て、これは私の苦手分野かなあ、と尻込みするも、勇気を奮って読み進める。「トンネルを抜けると・・・」ではないけれど、そこには素晴らしい世界が待っていたんですね。前世と現世の境が、40キロのレーン越えによって繋がっていて、主人公夏目環は、ひょんな事からそこを通り抜け、幼少時に失った家族に会うチャンスに巡り会う。前世に行った人達は、そこでそれぞれの前世の自分を洗い流す。最初に溶けるのは、苦しい過去や悲しい記憶、そしてやがてきれいな思い出も溶け、しまいには自分そのものが溶けていく。続いて、自分と他人の区別がつかなくなり、その段階で前世の中の次のステップへ進み、最終的に「輪廻転生」という「輪」の中へ入っていくという訳。そして、現世では(もちろん誰も、全然洗われていない世界!)、人がぶつかり、けなしあい、いじめがあり、でもどん底から這い上がり、愛を見つけ、心の平和を見つけていく。この小説の登場人物は、皆(良くも悪くも)とても真剣だ。真剣すぎて、時に背負わなくても良い苦労を請け負ってしまう。長編小説なので、紆余曲折ありありで、最終的に夏目環は、強くそして自分を信じられるようになる。読後、「良い小説だなあ」、と心から思いますよ!お薦めです。
森さん、又やってくれましたね!と言っても、これは私の感想で、この本自体は、平成17年に出版されています。森絵都さんの御本には、毎回ハートを根こそぎ持って行かれ、一人本を読みながら「良いよね〜。分かるよ、その気持ち!」と独り言連発で、読む私です。何と言っても、文体が素晴らしい。例えば、主人公がもそっと屋外に出たシーンでは、「太陽も健全だ。もったいぶったところがない。素直にぴかぴか光ってる。」と言わせている。もう、彼女(主人公の野々)が見ている景色が、自分の目の前にあるみたい!引用し始めたら、キリがないのでやめるけれど、文章に命があり、呼吸をしている。そんな感じ。 どうしようもなく自分である事。そして、それを知りながら、ドツボにハマる事。私自身の人生もそんな感じでやっているけれど、それが人生。されど人生。だから生きる事は楽しい。
井上荒野さんも、私の大好きな作家の一人だ。今このブック評を書きながらしばし思ったのは、前作浅田次郎氏の「見知らぬ妻へ」と、もしかしたら、この本は根底でとても繋がるところがあるのかも・・つまり、人間の悲しみである。人間の性である。上手く世の中渡る「処世術」と、相反した生き方が、つまり「そこへ行くな」であろうか。バカっ正直とは違うが、「要領よく」出来ない、情の深さ。情念とも言うかもしれない。この本も短編集で、どのお話しも大層素晴らしい。自分の一生をどう生きるのか、何に基準を置いて生きるのか、これは難問のようでいて、案外単純なものかもしれない。
大変美しい短編集。こういうお話しは、日本人にしか書けないと思う。「もっと、カッコ良く生きろよな!」とか、「損得考えて、物事判断しろ!」とか、常識的な観念は通用しない。大損と分かっていても、情念に生きる。そして、ドン底に落ちる。でも、とても人間らしい。涙を誘う。「どうして、そんな道、敢えて選ぶのよ〜・・」と、いくら本のこちら側から叫んでも、主人公達は知らん顔だ。そして、とても気高く、清いのだ。浅田次郎さんは、私の大好きな作家である。
私は、この明治から昭和にかけての、とてつもないエリート達が好きだ。「選りすぐり」の特別な人達。由緒正しいお金持ち。明治開花から余り時を経ない時代に、海外に行き、外国語を操る。「平等」という観念とは裏腹の、庶民には手の届かない存在。この本は、そういった人達の、夢追い物語りである。東京にある、国立西洋美術館の誕生に導く、このエリート集団の尽力。中心人物の松方幸次郎のスケールの大きい変遷。「絵空事」とは良く言ったものである。日本国の首相を巻き込み、タブローに魅せられ、魂を捧げた人達の大冒険談だ。
楽しかった初場所相撲観戦も終わり、数日。続々と相撲関連ニュースが入って来ます。まず、御嶽海関、優勝、三賞受賞、そして大関取りおめでとうございます。又、結婚発表も同時に行い、ダブル・ダブルのお祝いですね。北の富士さんがファンだと公言して止まない母上、マルガリータさんも大喜びの様子です。結婚が起爆剤になったのか、今場所の御嶽海関は、顔つきもインタビューでの受け答えも違っていて、「やるかも・・」と予感させてくれ、我々の期待通りの結果に。身体的にも、気持ちの強さでも、次の地位を狙える才能に恵まれているので、益々の活躍を望んでいます。 もう一人の三賞受賞の阿炎の活躍には、感動感動!錣山親方の喜ぶ顔が目に浮かびます。相撲勘がとても良く、反応が良い。土俵を縦横無尽に飛び回り、相手を押し出す相撲。上の地位での活躍が早く見られますように。最後の三賞受賞者は、若手のホープ琴ノ若。お祖父ちゃん、お父さんと、脈々と流れる相撲の血。体格にも恵まれ、落ち着いた相撲振りが最高ですね。今後、再び怪我で休場という事のない様に、「怪我をしない」相撲で頑張って下さい。 横綱照ノ富士は、堂々と15日間取り切りました。踵の怪我を公表せず、千秋楽まで相撲を取り続けた姿は、流石です。しかし、今後もあるので、是非とも無理をしないで頂きたい。若・3兄弟の二人が幕内で勝ち越しの快挙。宇良も、三役に手が届くところまで来ました。阿武咲、豊昇龍の活躍も、見逃せませんね。正代のことについては、触れないことにします!貴景勝、怪我を直して早く復帰して欲しいです。佐ノ山親方、結婚おめでとうございます!お兄さんの千代丸関が、先を越された!と、言っていましたよ。千代丸関、貴方にはあなたの人生があります。又、志摩ノ海関、婚約おめでとうございます。 私の中での今場所の大きな出来事は、NHK藤井アナの引退です。私の相撲人生は、藤井アナと一緒に合ったと言っても過言ではなく、本当に惜しまれます。北の富士さんも、舞の海さんも、お別れの言葉を述べられていましたね。藤井アナの相撲の歴史への深い造詣、相撲愛、もう誰にも負けません。ゲストで相撲中継に出演して頂きものです。NHKの皆様、どうぞ宜しくお願いします。 又、相撲部屋の世代交代、名跡変更が多々行われた場所でもありました。尾車親方、長年の相撲界への功績、ありがとうございました。3月まで、暫し相撲とは、お別れ。全ての力士の皆さん、素晴らしい場所をありがとうございました。これにて、千秋楽!