Japanese Blog (日本語のブログ)
これも、旅行中に読んだ一冊。最近行った、日本語のブッククラブで話題になっていた本です。以前読んだけど、記憶から消えていたので、再び読んだ。桐野さんの本は、いかにドロドロしていようとも、いつもカッコ良い。そして、幾重にも重なる人間関係、ストレートでない物の見方、歯切れの良いテンポなど、読者を魔物のように引き寄せる、んですね。私も、彼女の毒牙にかかっています。とっても現実的でないのだけど、身近に感じる本。是非読んでみてね。
旅行に出ると、必然的にいつもより本を読むんですね。アメリカは広いので、ちょっとしたフライトでも4-5時間かかるので、という訳で、これはクリスマスの旅行中に読んだ本の一冊。私は、東野さんといえば、「手紙」とか「赤い指」とか、じーんとくる人情ものが好きです。白銀ジャックは、犯人が見え隠れするけど、のほほんと分かるかな??という、推理・サスペンス・社会派ストーリー。私的に言えば、ちょっとお話に無理があるかなあと、いう印象です。でも、長い空の旅、楽しませてもらいました。
これって、今流行りの「入れ替わり」なのか・・と、最初思ったけれど、とんでもない!とても深いお話しでした。久しぶりに本を読んでいて、泣いてしまった。子供を捨てて離婚した、仕事に生きる母。母に捨てられたと思ってちょっとひねくれた娘。ありふれた出だしだが、それがとんでもない方向に展開していき、人間の包容力、優しさ、愛する事の意味へと、深く進んでいく。お薦めの一冊だ。
これは青春小説かもしれないし、とてつもない恋愛小説かもしれない。「秋生」という常人離れした存在を囲みながら、皆が彼を深く愛する。そして彼の言葉で、それぞれが人生を見直し、背中を押してもらって、次のページに進んでいく。秋生は偉ぶらない。でも、心に突き刺さる言葉を紡ぐ。素敵なお話しだと思う。
最初読み始めた時は、今風のトレンド小説かって軽く思って、読むの辞めちゃおうかな、と思った。ちょっと林真理子のバブル期の小説風で・・でも読み進めて行くうちに、とことん本の虜になってしまった。面白トリオが主人公で、まあちょっと現実離れした設定なんだけど(まあそこは、おいといて)、トリオの一人一人が呟く、本音が良い。周りの男共が、良い。「君って、旦那を愛しているんじゃなくて、結婚を愛しているんだね」これなんて、もう沢山の女性が陥っている、どうしようもない真実ですね。自分の心の声に正直になるって、他人との摩擦も多いけど、背筋がピンと伸びていて素敵。
作家っていうのは、本当にすごい!これは、いつも書いている事だけどね。こんな素敵なお話しを、頭の中で生み出してしまうんだから、もうそれは大尊敬、大敬服です。主人公4人組の名前の付け方も、最高だし、それぞれの個性も、イカしてるんですね。人生って何だろう、とか、幸福とは、とか、そんな根源的な答えが、凝縮して、かつファンタジーのようなお話しの中に詰まっている。子供が成長していく物語だけど、どの世代が読んでも、涙あり、笑いありで、読んでしまうと思う。主人公達が、私と一緒に成長し、暮らし、悩み、怒り、笑っているような気にさせてくれた。是非お薦め!
福岡場所の場所中に、悲しい訃報が入ってきた。最年少で横綱になった偉大な北の湖関、そして大相撲協会に長年尽力を尽くしてきた北の湖理事長の最後だった。命尽きる日まで、大相撲のことを思い、土俵の充実をモットーに、命をかけた生涯である。何度も語られてきたが、輪島関との名勝負、憎らしいほどの強さ、昭和の土俵を多いに盛り上げた。ここ数年の大相撲を取り巻いた数々のスキャンダルが、理事長の命を短くしたことは、間違いないが、その中で、命を削り相撲への再評価の復活に尽くした。そして、現在の熱い場所がよみがえったのだ。今場所は沢山の力士が休場し、残念な結果であったが、それでも、多くの名場面が見られた。理事長の名に恥じず、2016年の大相撲が、そしてその先の未来が、素晴らしく、そして一人一人の力士が一日たりとも「土俵の充実」を忘れないで欲しい。北の湖理事長、安らかに眠ってください。大相撲への熱い気持ちを持ったファンが、ここロサンゼルスにも一人いますよ。
まさに、大ヒット作。どうしても読んでみたかった。「僕」と先輩お笑い芸人の話で、今日本人なら知らない人はいない本だと思う。大尊敬する神谷さん(先輩芸人)と僕(徳永)の、とても刺激的で、かつ何だかせつなく悲しい物語。真実を追求することが、そして「自分」である事が、こんなにも苦しいことか。お笑いの世界を描きつつ、180度違う心模様なのだ。どんな世界でもそうなんだけど(音楽もね!)、側から見るのと、その世界の中心から見るのでは、全く見えるものが違うってことかな。文章で言うと、テンポが良い。表現がとびぬけている。エネルギーのアップダウンが最高。物語の最後にフォルテッシモ(音楽で使う用語で、大きな音量を指す)を持ってくるのも、とっても良いと思った。流石文学賞受賞作!
帯に「家族について書かれた残酷で幸福な最後の物語」となっているけれど、私はちっとも残酷とは思わなかった。でもこの家族が、幸福にたどり着いた事は確かだ。4人家族のそれぞれに章が与えられているので、我々読者は同じ場面を4回通過することになる訳だ。これって、時にはまどろっこしい、はっきり言って。多分、4人それぞれの視点から同じ問題を見て、問題を掘り下げるという発想かと思うんだけど、時に全く同じ表現が出てきたりして、だらける感もやむ負えない。しかし、圧巻はDVについての、定義だ。これが載っているページは、まだこの本を読んでいない貴方には秘密だが、この定義から導かれる本質と、それからの脱出法を読んだ時には、声も出ないほど(もちろん本を読んでいる訳だから、元々声には出していないけど)、感動した。そして、私の人生で起こった様々な望まない出来事を思い起こさせ、そこから私が脱出して来たことを考えた。この数ページのために、この本が存在すると言っても、過言ではなく、このページのためにこの本が、「読むに値する」ということになる。
まさに、「ばなな節」全開の本だ。ゆったりとした時の流れに、その時々に感じた気持ちがふわーっと、入っている。現実的でいて、とても非現実の美の追求ともいえるかな。ばなな本が好きな人には、たまらない一冊だと思う。よしもとばなな、まだ読んでいないのなら、一回手に取ってみては??暖かさに包まれるような気持になる事、請け合い。