Book Reviews (マイブック評)
ヒューマニテイーなのである。とても美しい本である。現実には全くない事を、こんなに人間臭く書ける東野さん、本当に素晴らしい。実際の物語の設定は、空想と現実の組み合わせで、複雑に絡み合っていく。そして、その中で語られるお話しは、本当に泣けてくるような、心にズシッとくるものだ。眠れぬ夜に、一気に読んでしまった。励まされ、怒られ、愛され、慈しみの心で包まれる。ナミヤ雑貨店のおやじはすごい。人生の真実を突いてくる、本物だ。東野さん、凄すぎる・・・
相撲ファンなら、必見の一冊!相撲の歴史から技の解説まで、分かりやすく、かつ面白く、相撲ファンの心をくすぐる本である。名古屋場所の売店でゲット。相撲に興味がなければ、価値は余りないかもしれないけど、私に取っては、大変面白い。相撲のカゲに潜む様々な不思議。こういう事だったのか、と手を叩いて納得出来る部分もあるはず。相撲をテレビで見るチャンスのある貴方には、価値のある一冊になること、間違いなし。
日本に滞在中に買った本の一冊。次々に騙される女性達、そして騙す喜びを追いかける男。騙しているのではなく、女性の人生をコーディネイトとしている、とまで嘯く男に一切の反省はない。女性達の中には、騙された自分が許せなくて自殺するものが出る。老後の全財産を失う女性もいる。それでも、その男は悪気なく、次のカモを探して、自分の贅沢に使うお金を巻き上げる。こんなに簡単に騙されるのか・・・・でも、何と言おうと「結婚」という名目は、多くの女性にとって、キラキラ輝き、「一度はしたいもの」なのだ。その心理を知っての、詐欺である。どうぞどうぞ全女性の皆さん、特に婚活に燃えている方々、もしくは、孤独が忍び寄っていると感じている方々、男性の上辺の「甘さ」にコロっといかないように。
I read this book on the way to Japan, and during my traveling in Japan. It is truly a fun book. As you know, Starker was one of the very very best cellists of our time. He passed away several months ago. I love his recordings. I never heard his live performance, but I once […]
これは、ホラーなのか。それとも、サスペンスなのか。どちらにしても、乃南さんの、大初期時代の作品だ。だから、「アラサー」なんて言葉が世の中 を横行する随分前の話。アラサーの美しい独身女性の悲しい。そして、その女性が、狂気の道を滑り落ちていく。
港の風景が、とっても生き生きしていて、べらんめー調の語り草が最高だ。日本のいろいろな港へ、船を使って行くというのが基本で、そこからエッセイーが生まれてくる訳。つまり、船に乗る行為に、切羽詰った理由はない。ただし、乗ってしまう。奥田さんの、ほわーーーんとした感じがとても良い。奥田さん、決っして無理をしない。でも、観察眼鋭し。知らないうちに、港町旅情に引きずりこまれる、私でした。
うわさの「ソロモン」、大長編である。1部が約700ページ強ある。旅がいろいろあったので、飛行機の中で結構読めるなあと、思っていたのに、それでも、読破するのに、一ヶ月近くかかってしまった。中学生が、ある事件をきっかけに、立ち上がり、その同級生の謎の死に、まっこうから向き合う。そして、裁判という形で、真実を明らかにしていく。このような大長編で、しかもミステリーの要素もあるお話は、構成に一体どれくらいの時間を費やすのだろうか。そして構図を作り、そこから物語が出発する訳だが、ストーリーが展開するにつれ、きっと登場人物達が紙面からはみ出してしまう事も。作家の気持ちが、書き進むにつれ構成時からずれて行ったり、様々な困難、葛藤があるに違いない。その辺をどのように収拾しながら、一本道を貫き、書き進めるのかな??すごい心理戦で、ストーリーも大変面白いのだが、一点文句をつけさせて頂くなら、中学生にいくら頭が良いとはいえ、これだけの実行力、判断力、バイタリテイーがあるだろうか??まあ、とにかくすごい本です。ご期待あれ!
音道貴子シリーズの一冊。これも短編集で、全部でこちらは、6編。もちろん、音道さんの出てくる小説だから、サスペンスで、所謂推理小説なのだが。不思議に普通の短編も出て来て、それが何だかとても新鮮。え、これって推理小説じゃないの??、という感じになるのだけど、それが又、面白い。音道の活躍は今までにも沢山拝見しているけれど、今回は違った顔を見せてくれる。音道貴子のファンなら是非読んでください。
まさに、「幸せになりたい」と切望する女性達のための短編集。そこは天才の乃南さん、単純な幸せではない。恨みがあり、仕返しがあり、裏切りがあり、見込み違いがあり、恐れがあり、それも深い深いところで、様々な怨念が渦巻く。人間とは、何と大変な生き物か。全部で、7編のお話しが入っているが、そのどれとして、似た手法がなく、短いながらも、山あり谷ありで、面白い。こんな心情になるのは自分にも良く分かる、と、読みながら思う方が沢山いらしゃるような気がするのだが・・。
久しぶりの東野さんの小説。優しさに溢れた、サスペンス小説。もちろん殺人事件が起こるのだけど(一つだけでなく、ね!)、その謎解きだけでなく、東野さん大骨頂の、心理性を読み解いていく方式。現在の事件を解いていくに従って、昔の事件に行き着く。家族の愛情がずんずんと身にしみるお話し。