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すっかり、奥田英朗さんの本にはまっている私です。この本も最高!北海道の札幌から2時間ほど離れた、過疎化一途の苫沢町のお話し。向田理髪店の店主、康彦の周りで起こる様々な事件、人間模様、恋愛風スキャンダルが、奥田さんの素晴らしいユーモアと執筆力で、描かれている。笑いあり、ペーソスあり、涙ありの、まさに「日本」の原風景なのだ。こういう小説を読むと、日本が懐かしくなります、本当に。でもこれは現実ではない!お話しだ。それに私は、「東京」出身。それも、少なくとも4代目の江戸っ子!向田家とは、180度別方向出身なのでね。それにしても、奥田さん、ファンが多いでしょうね。日本人は、やっぱり寅さんが好きだからね。これは、超お薦めの本です。
これをミステリーとして読むなら、多分及第点を上げられないと思う。だって、殺人のトリックや準備が余りにずさんで、読みながら、本を蹴っ飛ばしたくなるくらいだから。でも、DVを焦点に友情物語として読むなら、結構カッコ良い。最後の章は、ジェームス・ボンドも顔負けの、派手なアクションで攻めてくれる。こちらも、息がつけない。途中、ずさんな(すみません!)殺人計画に、頭に湯気が上り、途中棄権しようかと思ったけど、読破して良かったです。スカッと、気持ちがしますよ、最後のページを閉じた時は!
I have been truly enjoying to learn this joyful concerto. Bach may have played it with his Collegium Musicum in Leipzig, or possible with Family Ensemble at his house (!) in 1738-9. The first movement is a full Da Capo Form, starting with jubilant spirit and fanfare-like tutti! It is lot of fun! That is […]
最後の数ページで、涙が溢れて、止まらなかった。この主人公のモノローグのために、250ページが必要だったんだと思う。感動で、しばし動けなかった。1972年の学園紛争、浅間荘リンチ事件を背景に、物語は進んでいく。主人公の三浦直子は、ノンポリ学生。浮き草のように、その時代を浮遊している。どんな男とも寝るから、「公衆便所」扱いされる。逃げたくてしょうがなかった「家族」への愛、見つけるべくして逢った本物の「男」。そして、最後に来る兄との別れ。途中では、何となく本に入りこめなかったけど、一旦のめり込むと、ぐぐっと心に刺さった。そして、そのささくれが、涙に変わった。感動の一冊です。
8人の当世きっての売れっ子女流作家が、一編づつ出し合った短編集。短編とは言え、それぞれとても読み応えがある。不倫ものあり、ミステリーあり、不思議物語りあり、厭世観たっぷり小話しあり、という訳で、とても楽しく読ませて頂いた。8人の語り部が、夜な夜な私に話かけてくれたように。。。高樹のぶ子さんの「夕陽と珊瑚」、圧巻!最後の数ページまで、上手く私を騙してくれて、思わず一人微笑みましたね。それぞれに感想を書くと、それこそ長編ブック評になってしまうので、ここはカット!いつもながら、「作家」という方々の頭の中、どうなってるのかなあ、としみじみ思いますよ。それぞれの素敵で、かつ、おぞましいストーリーが、どういう工程を経て、文字になっていくのか。まか不思議。これは、大推薦の本です。これを機に、それぞれの作家の本を手に取って見ると、ますます、その作家の世界に入りこめますよ!本、大好き!
ノロウイルスにやられ、24時間基本的にはベッドとトイレを往復するしか出来ず、まあこの本を読んだ訳です。病気で眠る事も出来なかったので、益々時間はあったのね!、というのは簡単だけど、ノロの脅威は聞きしに勝るもので、ここでお話しするのも憚られます。閑話休題!題名からもご想像出来るでしょうが、この本は、ボクシングの本です。ボクシング案内、紹介、推奨をやりながら、若き編集者が成長していく様子を描く。でも、ちょっと美しすぎないかい!と思うのは、私がひねくれ者だからでしょうか。出来過ぎ感が、否定出来ないかなあ。。でも、ウイルスに侵された頭で読むには、脳細胞を余り必要とせず、完璧な書物であったとも言えますね!
これは、本当に長編!読むエンジンがかかるのに、かなり時間がかかった。でも、100ページを過ぎた当たりから、俄然のめりこみ、一気に600ページを読破。江戸の町に住んでいるような気分で、るるるん!と、ページをめくった。主人公の笙之介の、賢さ、優しさ、初心さ、可愛らしさ、頑固さ。。。が、長屋の人々とのやり取り、初めて惚れた商家の娘さんなどと絡み合い、お話しが進む。ミステリーが根底にあるものの、ヒューマニズムがテーマだ。優しさに浸りたくて、素直に微笑みたければ、この本をお読みあれ!貴方も江戸の町にトリップ。べらんめえ!の声が聞こえ、子供たちの笑いが渦巻く長屋に着くはず。600ページの楽しい旅が待っています!
林真理子さんの引き出しの多さ、興味の範囲、表現方法の多様さ。。全く恐るべし。江戸時代最後の将軍となった徳川慶喜に嫁いだ公家のお姫様、美賀子。約一年に渡って新聞小説として連載された力作で、女性の目として、男性の目として、時代の変遷を描く。江戸時代の公家として育ったお姫様が、自分の意志に関わらず、次第に下界に降りていく様子、そして正妻である自分の立ち位置、思い入れ、など、心の襞を追い、夫としての慶喜との葛藤、愛情が焦点だ。まさに”幸せ”とは??である。自分の中に籠らず、世界に世俗に興味が持てる事は、幸せだ。だけど、コアを失ってはいけない。美賀子は時に軟で、時に強情で、時に少女のようだ。とってもチャーミング!250年続いた徳川の世の最後を見、大奥の崩壊を見、明治開花を見、外国との交渉再開を見、ものすごい時代に生きた一人の女性。その人生を深い時代考証と共に、描き切る。どれだけの時間を準備に費やした事か。。。作家魂を見る思いで読んだ。
林真理子のニューキャラクター!中島ハルコ。一つの事にすごく秀でて、その道を長く牽引している人は本当に違う。ものすごい才能あり、努力あり、そして沢山の引き出しあり。林さんの凄さが、すべてのページに凝縮されている本です!ハルコ女史は、魅力的かつ、ハチャメチャ。本のページを破って出てきそうな、エネルギーだ。こういう人ははっきり言って、どこにもいない!でも、何だかどこかで、お逢いしそうな気持にさせてくれる。ハルコ女史に一喝されたい!!!!
綿矢りさの「蹴りたい背中」と一緒に、2004年度の芥川賞を受賞した作品。まあ、海外にいるので、文壇の情報などにも疎く、今頃読んでいる訳です。こう来ましたか、という感じかなあ。確かに、暴力度最高なので、そのパワーに度肝を抜かれるというのは否めないけど、根底は究極の優しさだと思う。そして幸せの究明。私自身、スプリットタンにも入れ墨にも興味は全くないけど、人それぞれ、興味の対象も違うし、自分に対してどこまで出来るかという、挑戦の方向性も違う。京都の西陣織の職人なら、その道を究めようと切磋琢磨するだろうし、植物学者ならアマゾンの山奥に、目指す植物を探しに行くだろう。 いくつか彼女の初期の作品に目を通したけど、暴力全開、猥褻全開の世界感。そして、「軽薄」を読んだ。芥川賞から約12年経ち、結婚しお子さんも二人いらっしゃるご様子。アンダーグラウンド臭でぷんぷんしていた初期の作品から、「軽薄」の主人公は裕福層でカッコ良い仕事をしている。でもやはり「殺す」「死ぬ」という愛情表現がテーマだ。甥を愛し、心を埋めようとする30代既婚女性。そしてすべてを捨て解放されると言う。でもその後の人生は?いつでも「何か」の最初は、新鮮で素敵だ。その継続が、最も難しい。