Japanese Blog (日本語のブログ)

北条政子  永井路子 講談社 3/18/13 March 18, 2013

久しぶりの歴史もの。それも、歴史作家のご本家が書いた本だ。政子の本質、そして女性としての視点に迫る、とても面白い本だ。歴史上の話しを、分かりやすく、かつ重厚に書くのは難しいと思う。この本は、その点において、大成功していると思う。次に何が起こるかが楽しみで、ページをめくりながら、平家と源氏の攻防、鎌倉幕府の内情、北条家のしたたかさ、政子の子供たち、孫達をめぐるどろどろとした戦い、などの、史実が明確に書かれている。この辺の物語は、NHKの大河ドラマでも良く取り上げられるテーマで、皆様もよくご存知と思うが、こうして本を通して読み解いて行くのも、面白い。本、大好き。

目醒め   藤堂志津子  講談社文庫 1/25/13 January 25, 2013

藤堂さんのご本はしばらく前に、結構読んでいる。そして、久しぶりに手に取った一冊。アメリカ在住20年を超える私には、悲しいかな、ほとんど共感出来る箇所がなかった。日本に住んでいたら、共感出来たのか、と聞かれると、「そうです」とも言い切れないのが、正直なところ。文章として、又ストーリーとしては、確かにおもしろい。でも、日本の女性って、こうなんだっけかなっと、今更ながら思ってしまった。もう20年くらい前に書かれたということもあると思うけれど。という事は、私がまだ日本に居た頃だから、気分的に分かるはずなのだけど・・・。何だか、トンチンカンな事を言っていますね。しかし、文章の流れはスムースで、美しい。藤堂さんの、新刊も手に取ってみなければ。

魂の自由人  曽野綾子  光文社文庫  1/20/13 January 20, 2013

ふウ・・・。曽野さんの語り口は、昔からとても一環している。断固としていて、揺るぎがない。どうしたら、こんなに、一徹にものが語れるのかなあ、と、私などは思ってしまう。おっしゃっていることは、どれも素晴らしく、そして正義に則っている。はすに構える風情も、中々堂に入っている。でも、素直でない私は、こう思ってしまうのだ。才能に恵まれ、美貌に恵まれ、素晴らしいご主人と息子さんご一家(再三書いていらっしゃるお母様との心中未遂とお父様のことは存じています)、聖心で幼稚園から大学まで学ばれ、そりゃー、怖いものなしだなあ、と。私など、図々しく、鈍感なくせに、どうしてもおどおどしてしまうのだ。「堂に入る」ことが出来ない。信者として、長年に渡って、沢山の方々に尽くして来ていらっしゃることは、本当に素晴らしいと思うし、私は、曽野さんの小説も大大好きだ。でも、と又、おどおど虫が顔をもたげてしまう。何とか、「威風堂々」と生きたいものだ。

A2Z 山田詠美  講談社文庫 1/12/13 January 12, 2013

筆者の大きな才能が発揮される作品。ぞんざいな言い回し、いわゆる若者言葉でざかざか語られる物語。でもとっても繊細で美しい。読んでいる最中も、これはやっぱり空想の話だなあ、と思うのだけど(だってやっぱり登場人物の設定が出来すぎているからね!)、でもどこかで共感しながら読んでいる感じ。山田さんが持っている、計り知れないエネルギー。これが、本の中にも爆発的に閉じ込められていて、登場人物の夏美が、成生が、とても生き生きしている。元気いっぱいの、それでいて、でも物悲しい、純な恋愛小説です。

仮面山荘殺人事件  東野圭吾  講談社文庫  1/5/13 January 5, 2013

どんでんがえしの推理小説。1990年に発表された作品で、東野さんの初期のものだ。文体が最近のものと大きく違い、ちょっと戸惑いを感じる方もあるかもしれない。この20年くらいの間に変化して来たのかなあ、と思いつつ、この本の後に、2010年に発表された「白銀ジャック」を読んで、文体に共通点を感じ、東野さんは沢山の抽斗を持っていることに納得。様々な抽斗から、その場にふさわしい文体、語り口を選ぶんですね。どちらも、舞台が絞られていて、一箇所の狭い人間関係の中から、事件が起こり、そして解決へ。割と、シンプルなストーリー展開だけど、読者を惹き付ける力はすごいです。ぐぐっと、引き込まれますよ。

福岡場所、終わる 11/26/12 November 26, 2012

白鵬は強い。最高にカッコ良い。横綱風情が決まっている。23回目の優勝、本当におめでとうございます。「優勝の仕方を忘れたかと思った」と、優勝インタビューで答えていた白鵬関だが、その優勝振りは清々しく、場所中も横綱相撲の連続でした。今場所、日馬富士関の横綱昇進で、朝青龍引退以来の、東西二人の横綱誕生。しかし、「横綱二人、本当にいるの??」というくらい、日馬富士関は、残念な位我々の期待を裏切り、情けない成績で終りました。勿論、ご本人が一番情けない思いなのでしょうけれど。一人横綱を数年張って来た白鵬関だが、今後もしばらく、そんな感じが続くのでは。松鋒山関、地元の期待を大きく受け、大活躍。沢山の人が、ファンになったはずです(私も!)。私は、テレビ相撲観戦の面白さの中に、解説の親方のコメントを聞くのを、とても楽しみにしています。北の富士さんが、目の仇にしていた元北勝力関(現谷川親方)と、元普天王関(現稲川親方)は、現役の時の相撲もとてもカッコ良かったのですが、解説の時の分析の細かさ、現役時代の経験談など、解説者としても最高です。舞の海さんも、顔負けなくらい。新旧の入れ替えが、今場所後にいろいろ予想されるので、初場所の番付けを見るのが、今から楽しみです。舛の山関、体の不調にも関わらず、全力で戦う姿は、心を打つものがあります。これからも、応援しています。そして日本人の若手力士達が頑張っているのは、やはり、日本人として嬉しいですね。来年も、大相撲観戦、心から楽しみにしています。

日馬富士関、優勝おめでとう!  9/24/12 September 24, 2012

秋場所が、興奮の渦の中で終了。千秋楽は、まさに死闘でしたね。白鵬もすごかったけれど、日馬富士の戦い振りには、本当に感動しました。現在31連勝中、2場所連続の優勝、そして横綱昇進。心よりおめでとう、と言いたいです。テレビで拝見するようになってから、私は、日馬富士関の一貫したその謙虚で真摯な態度が好きです。ご両親を敬い、母国を愛し、お相撲に来てくださるお客様に敬意を表し。決して大きくないその体は、お相撲する事に完全な力を発揮して(千代の富士関を思い出します)、相撲中は集中しているけれど、リラックスした時に見せる笑顔はとても人懐っこい。今までに確か2度綱取りに失敗した経験があるだけに、今回のチャンスに磐石を期した感がありますね。心身共に、最高の状態でした。そして1才年下の白鵬関も、横綱の地位を明け渡すのではなく、火花を散らして、日馬富士との好勝負を沢山沢山見せて下さい。これからの2横綱時代に期待しています。 日本人の優勝力士が栃東関以来出ていないとか、若乃花以来日本人横綱が出ていないとか、もう散々言われてきた事だけど、私は、そういう範疇でお相撲を捉える時代は終わったのではないかと、思っています。もちろん、輪島関、千代の富士関などの活躍を、手に汗にぎりながら見て育った経験を持つ私としても、淋しくないことはないです。でも、野球だって、ゴルフだって発祥の地を離れて全世界に広がり、裾野の人口を増やし、人気を高めて来たわけです。日本でも、どれだけの人がゴルフをやり、野球をやり、世界に通ずる選手を搬出してきたことか・・。現在いる日本人の2大関にもがんばって欲しいし、妙義龍関にも、期待しています。又、下からどんどん元気な若手が出て来ています。日本人力士もがんばっているし、外国から夢を抱いて来日した沢山の力士達もがんばっている。それで、良いんです。千秋楽は、いつもにも増して、好取組が多かった気がします。11月の福岡、今から、興奮しています。  

発想の転換・逆転の発想 8/13/12 August 13, 2012

「必要は発明の母」とは、良く言ったものだ。先日、主人(アメリカ人)がロサンゼルスのダウンタウンにある、「リトル東京」の近くまで行くというので、日本のマーケットでの買い物を頼んだ。男の人に買い物を頼む時には、値段を見て買うという行為には、期待しないことだ、まず、とにかく、買うもののリストをメールで送って、ご帰還を待つ。アメリカのマーケットで手に入らない、お刺身を大量に(LAはウニが安くて、新鮮)、そして、頼んだものを順々に見ていく。上出来、上出来、でも、冷やし中華がない。もちろん日本語が読めないから、見つけられなかったんだなあ、と思っていたところ、何故かそうめんが出てきた。私は、子供のころから冷やし中華といえば、インスタントのたれがついているものと決まっていたので(私はそれにいつも、錦糸卵作って、ハムときゅうり切って、アボカドやトマト、時間があれば干し椎茸の煮付けを乗せる)、それを使う発想しかなかった。主人は私がインスタント食品は使わず、自分で全部作っていると思っていたらしく(有難いお言葉!)、インスタントのパッケージに入ったものを買うという発想がなかったのだ。という訳で、そうめんを使って冷やし中華を作ってみた。これが、結構いけるのだ。たれは、米酢、ごま油、黒砂糖、などを適宜に混ぜて作り、事前に冷やしておいた。乗せるものは、大体いつも通り。麺の食感が違うかなあ、と思ったのだが、言われなければ気が付かない程度。この「そうめん」事件以来、ますます私は「型にはまらない」料理を楽しんでいる。冷奴にアボカドとトマトを併せ、鰹節をかけて、そばつゆもどきで食べた。これも結構美味しかった。鶏の蒸したものを冷まし、セロリ、ブロッコリー、レーズンとあえて、マヨネーズとカミン、カレー粉を混ぜて、冷蔵庫で冷やして、食べた。これも、大成功だった。料理はお菓子作りと違って、とにかく融通が利く。皆様も冷蔵庫にあるもので、創作料理をお試しあれ!

内村航平選手の奇跡、そして楽器習得との共通点   7/25/12 July 25, 2012

先日TVジャパンでやっていた番組から。「ミラクル・ボデイ」というもので、人間の体に焦点を当てて、その稀に見る成就を解明するものだ。内村航平選手の回を見ていて、まさに開眼。今までにも、スポーツと音楽の関係は再三取り上げられているのだが、今回まさに、そのセオリーを強く裏付けた、という感想である。内村選手(体操)は、空中感覚というものに、普通の人では考えられない能力があると言う。それは、一流の選手ですら、真似が出来ないものだと言うのだ。例えば、空中でものすごいスピードで回転をする時に、内村選手には、はっきりと周囲の景色が見えているらしい。また、自然に重力を感知して、暗闇で閉じ込められた空間でも、それを反射的に判断できる、など、体操選手にとって、とても重要な要素が体に備わっているらしい。しかし、それは天才だからと、いうものでは決してない。子供の頃に会得した、一つの技が出来るようになる達成感から、どこまでも努力する姿勢。これも子供の頃に、時間を忘れて練習したトランポリン上で、自然に身に着けていった空中感覚。そして、その優れた感覚から、他の選手が行っている技を、ビデオで何百回も見て、それを頭の中でイメージを組み立て、実際に自分がやる演技として取り込む事が出来る。内村選手曰く、頭の中でのイメージ(飛んでいる時の周囲の景色も、そのイメージの中ではっきり見えるらしい)が、彼の練習や競技会への準備にとても重要な部分を占めるらしい。 これは、まさに音楽の楽器を演奏する上との、共通点だ。我々の仕事は、楽譜上の音符を、楽器上で、どれくらい美しく、感動的に演奏出来るかというプロセスである。その際、ただ単に、「音」を羅列するのではない(そういう生徒が、もう沢山いるが・・)。どういう音が欲しいのか、頭の中で聞く事がとても大事。もっと言うなら、楽譜を勉強しつつ、その音を聞く事だ。そして、自分の「音質」「フレージング」を創造していく。それは、大家の演奏を聞いた時もそうだ。何がその「大家」を「大家」としているのか、を考える。又、楽器上での、テクニックも、単にむずかしいパッセージを何千回も練習して弾けるようにすることではない(それも、もちろん大事だけど)。どうやって、効率的に自分の手を使うのか、どの指使いが自分の手に合っているのか、強靭な指を持ちつつ、体と腕、手首の緩和をさせるのか、など、沢山の要素がある。例えば、どうやって難しいジャンプをピアノ上で成し得るかなど、体操と同じである。その手が一つの鍵盤から次の鍵盤に移動する映像が、スローモーションで見えると、テクニックを克服する上でも、その成功率を上げる上でも、役に立つ。そして、最後にとても大事な事が、自分で出している音を(練習中に、特に)、どれだけの集中力で聞けるか、という点だ。 沢山言いたいポイントはあるが、今日はこの辺で。とにかく、私は内村選手という存在に、とても感動している。そして、人間の能力開発というものの、厳しくも、美しい、可能性にも、感動している。残酷ではあるけれど、音楽やスポーツなど、成長期に努力して身に着けたものが、その後の可能性に大きく関わっていくことである。

野球のピッチング・コーチ 佐藤義則さんから学ぶ事   6/14/12 June 14, 2012

数ヶ月前、TVジャパンを見ていて、大発見!佐藤義則さんという元大投手で、現在日本一のピッチング・コーチのお話から、演奏家にとって、とても大事なことを学んだ。佐藤さんご自身も44歳まで現役で投げ続け、その後コーチになり、沢山の優秀なピッチャーを育てている。まず第一点。「コーチとして、一人一人の投手の、一番良い時のピッチングフォームを隅々まで焼き付け、覚えておくこと。」これは、音楽教師として、生徒達を指導する時にも、とても大事なことだ。難しいパッセージを綺麗に弾きこなせたときは、何がどう良かったのかを、きちんと分析する必要があるからだ。難しい箇所が弾けない時には、必ず理由がある。肩、腕、手首の位置や柔軟性、呼吸のタイミング、準備態勢(どうやってそのパッセージに入るか)、目はどちらの手を見るか、親指がきちんと動いて次のポジシォンに連れて行ってくれるか、もちろん基本的はテクニックがその曲を演奏するに達しているか、など、沢山の要因があるものだ。分析することは、生徒達が、運に任せ、ただ何となく弾いているのではなく、頭を使って100%に近い確立で弾きこなせるようにする訓練になる。第二点「まっすぐ戦う勇気を持つこと。」ピッチャーは(演奏家は)、マウンドで(ステージ上で)たった一人で戦わなければならない(たった一人で、演奏しなければならない)。ピッチャーは、格の上のバッターと当たると、萎縮して通常の力が出せないという。演奏家も全く同じだ。練習ではちゃんと弾けても、いざ本番となると、緊張で頭は真っ白、体はがちがち、指は氷のように冷たくなり、全く普段の自分とは違う状況に直面。準備したように演奏出来なくなる場合がある。佐藤さんは、投手達に、「練習は本気、試合は遊び気分でいけ」、とおっしゃる。これは、練習では120%弾けても、演奏会では80%にしか演奏できない場合を考え、まさにその通り!と思う。練習の中で本気で自分と向き合い、戦い、難しい箇所を克服し、本番のコンサートでは、勇気を持って、演奏を楽しむ。一流のスポーツ選手も演奏家も、運任せでは、出来ない仕事なのだ。佐藤コーチ、素晴らしいお話しありがとうございます。