Japanese Blog (日本語のブログ)
3月中旬に、以前から楽しみにしていたベートーベンの4番の協奏曲のコンサート(youtube link http://youtu.be/8UvdTE1YEpw) があった。この4番のコンチェルトは、ピアノ弾きなら、誰でもが演奏したくなる、とっても魅力的な曲だ。優しさに満ち溢れ、美しい旋律がちりばめられ、それでいて、力強さもある。そして、オーケストラとの関係はまさに室内楽のようで、沢山の会話で溢れている。練習の期間から、とても充実した時間を過ごすことができ、コンサートも楽しく演奏出来て、大満足だった。そして、このコンサートの数日後、フランスへ旅立った。大学をしばしお休みして(もちろんお休みしたレッスンは、後でちゃんと補っていますよ)、リモージュに程近い友人達を訪れ、旧交を暖め、その後パリで、コンサートツアーでヨーロッパを廻っていた主人と合流した。自分の演奏なしで、こうやってきちんと旅行したのは、ホント何年ぶりだろうか・・ 練習や、コンサートを心配しないで、観光客になりきり気楽に旅するのも、たまには、良いものである。詳細は、旅の写真をフォトギャラリーにアップロードしたので、そちらを、ご覧下さいね。 トレイニャックに住むマリエールとは、久しぶりで、本当に良く話しをした。彼女は現在、再婚して、素敵なご主人フランソアと暮らしている。以前彼女の家に滞在した時に出会った、彼女の従弟や友人達も現れ、楽しい夕食もした。ご存知のように、フランスの夕食は、アペリテイフから始まり、とっても長い!力説したいのは、フランスの田舎は、特別だ!という事。ショパンやジョルジュ・サンドが、インスピレーションを受け、仕事した、というのも、分かる。なだらかな丘陵が続き、名も知れぬ湖などがあり、まさに「絵に描いた」よう。我々も、春にはまだちょっと遠い午後、近場を散策して、素晴らしい時を過ごした。マリエールは、何世紀にも渡って受け継がれた中世の家に住んでいる。日本で言えば、織田信長が祖先で、その家に今でも住んでいる感じかな??それぞれの世代で、家を直しながら、使っているのだ。現在は、ベッド・アンド・ブレックファストにして、春、夏、秋のシーズンにビジネスをしている。中世の家は、維持が大変なのである!ちなみに、お城を購入するのは、そんなに高くないんですよ。でも、どうやってそれを住める状態にするかは、贅沢を飛び越え、大資産がいる訳です・・・・パリでは、お決まりの観光スポットに加え、様々な作曲家の墓地を訪ねたのが、とっても良かったなあ。どの作曲家とも、積もる話が山ほどあるからね・・という訳で、今年も4分の一が過ぎ、春真っ盛り。我が家の庭の薔薇も、満開です。
この短編集は、怪談話集ともいえる。女性の恐ろしい本心や執着心を、紡いだ物語。6つあるそれぞれの短編が、作り話のようであり、現実のようであり、そりゃ、おぞましい。乃南さんの卓越した語り口と構築性が、ファンタジーと皮肉とからまり、素晴らしい短編集に仕上がっている。
こちらの、渡辺さんのご本は、DVを題材にした不倫物語。こうやって、白馬に乗った王子様が、すべてのDV被害者に現れれば良いけど・・・・この王子様との恋愛部分はともかくも、DVにおける、夫と妻の相対関係は、とても興味深く描かれている。DVにおける激しい暴力と、王子様との典型的な恋愛が、180度の対象におかれ、文章が進む。そして、ご近所に住む一見幸せそうな家庭にも、それぞれに問題を抱えていることが、分かっていく。小説としてはとっても面白いし、男女間の問題をするどく描いているとも言える。けれど、天邪鬼な私には、小説とはいえども、やっぱりこの「白馬の騎士」の部分が、受け入れられない。非現実すぎるので。
これも、乃南さんの、超美しい恋愛小説だ。しかし、傑作ミステリーとも、サスペンスとも、いやまた、冒険小説とも言える。壮大な冒険は、一途な想いから始まり、そして、涙で、それも悲しさの涙でなく、感情の溢れる、美しい涙で終わる。終盤のクライマックスの、沖縄での豪雨の夜の感情表現は、言葉に出来ないくらい、素晴らしい。我々読者も、あたかも暴風雨の中で、萄子と勝の物語を聞いてる気分に襲われる。ホント、すごい表現力だと思う。
江戸川乱歩賞受賞作の本作、すごい期待で読んだのだけど、設定はとても良いものの、文章の運びが時にまどろっこしく感じた。二転三転するドキドキ感もあり、女性保安士が主人公というユニークさはとっても良い。けれど、ちょっと洒落てみようとする表現が、自然でなく、せっかくのリズムを壊している感が、ちょっと残念だった。今後に期待しよう!と言っても、受賞が96年なのだから、もう中堅どころの作家さんなのですね。
不思議な小説だ。現実とも、ファンタジーとも取れるし、超心理小説とも、オカルトとも言える。どんなカテゴリーに当てはめるにせよ、根底はとても美しい恋愛小説だ。現実に存在する男女間の感情より、深くて、甘い。乃南さんの世界に、ちょっと浸ってみたい気分になった。
以前にもお知らせしましたが、英語ページのブログは割りと頻繁に書いているものの、日本語ページに関しては、読後感以外は、ほとんど開店休業状態です。英語ページには、コンサートのこと、今勉強している曲について、又、最近行ったコンサートや映画のことなど、折に触れて書いています。最初は同じテーマについて、日本語、英語の両方で書いていたのですが、いかにせん時間に限りがあり、それが出来ていません・・・・今学期は大学で教えている学生が30人いて、又いろいろな演奏のチャンスを頂き、音楽科冥利に尽きるものの、時間に制限が・・言い訳だらけですみません。 最近、私のアメリカでのピアノの先生、ジョン・ペリー氏(日本でも演奏、公開レッスンなどなさっています)が、演奏の舞台から引退するという、お祝いのコンサートがありました。とてもエネルギッシュで、いつも沢山のことをこなしていらした先生なので、「引退」なんて考えもしなかったのでちょっとビックリ。演奏会は素晴らしいもので、ああ・・・高いレベルで弾ける間に引退するのだなあ、と深く感じました。教授活動は今後も続けていらっしゃるようですが。この会で、誰にも、そしてどんな事にも終わりがあるという事を痛感。今を大事に、そして少しずつだけ、未来に備えていかなければならないのだなあと、改めて実感した次第です。仕事も遊びも、人間関係も、明日があるさ、と思っていると、明日がずっと先になって、永遠に理想の明日が来なくなる。という訳で、気持ちを切り替え、出来る範囲で、がんばっている私です。そして、演奏から引退したら、相撲ジャーナリストになりたい、相撲おっかけになりたい、と夢見ています。日本語ページのブログは疎かになりますが、良かったら英語ページも参考にしてみて下さい。日本語ページで比較的良く更新しているのは、フォトギャラリーと、マイブック評。私は、本が大好きで、いろいろな本を読んでいます。
久しぶりの歴史もの。それも、歴史作家のご本家が書いた本だ。政子の本質、そして女性としての視点に迫る、とても面白い本だ。歴史上の話しを、分かりやすく、かつ重厚に書くのは難しいと思う。この本は、その点において、大成功していると思う。次に何が起こるかが楽しみで、ページをめくりながら、平家と源氏の攻防、鎌倉幕府の内情、北条家のしたたかさ、政子の子供たち、孫達をめぐるどろどろとした戦い、などの、史実が明確に書かれている。この辺の物語は、NHKの大河ドラマでも良く取り上げられるテーマで、皆様もよくご存知と思うが、こうして本を通して読み解いて行くのも、面白い。本、大好き。
藤堂さんのご本はしばらく前に、結構読んでいる。そして、久しぶりに手に取った一冊。アメリカ在住20年を超える私には、悲しいかな、ほとんど共感出来る箇所がなかった。日本に住んでいたら、共感出来たのか、と聞かれると、「そうです」とも言い切れないのが、正直なところ。文章として、又ストーリーとしては、確かにおもしろい。でも、日本の女性って、こうなんだっけかなっと、今更ながら思ってしまった。もう20年くらい前に書かれたということもあると思うけれど。という事は、私がまだ日本に居た頃だから、気分的に分かるはずなのだけど・・・。何だか、トンチンカンな事を言っていますね。しかし、文章の流れはスムースで、美しい。藤堂さんの、新刊も手に取ってみなければ。
ふウ・・・。曽野さんの語り口は、昔からとても一環している。断固としていて、揺るぎがない。どうしたら、こんなに、一徹にものが語れるのかなあ、と、私などは思ってしまう。おっしゃっていることは、どれも素晴らしく、そして正義に則っている。はすに構える風情も、中々堂に入っている。でも、素直でない私は、こう思ってしまうのだ。才能に恵まれ、美貌に恵まれ、素晴らしいご主人と息子さんご一家(再三書いていらっしゃるお母様との心中未遂とお父様のことは存じています)、聖心で幼稚園から大学まで学ばれ、そりゃー、怖いものなしだなあ、と。私など、図々しく、鈍感なくせに、どうしてもおどおどしてしまうのだ。「堂に入る」ことが出来ない。信者として、長年に渡って、沢山の方々に尽くして来ていらっしゃることは、本当に素晴らしいと思うし、私は、曽野さんの小説も大大好きだ。でも、と又、おどおど虫が顔をもたげてしまう。何とか、「威風堂々」と生きたいものだ。