Japanese Blog (日本語のブログ)
これを読みながら、少し前にパリの墓地で、音楽家の墓碑を巡ったことを思い出した。ええー!こんなに有名な作曲家が・・という風に、結構寂れて朽ち果ててしまったお墓も少なくなかった。園内は、ほとんど誰も歩いていなかったが、演奏旅行中の夫と二人、興奮しながら、一人一人大事にご挨拶をして廻った。結構な数の有名音楽家が葬られているのだ。もしご興味があれば、是非。 閑話休題。そう、この本は日本の文豪お墓まいりでした。私の大好きな、ナオコーラさんが、時には御夫君と、時には母君と、名だたる文豪のお墓まいりをして、その町の美味しい物を食するのが、テーマである。彼女の文豪への思いが、墓参日記と共に、綴られている。日本の風物詩としても、素敵な文章である。私の父方は、青山墓地、母方は浅草の墓地で、小さい頃には、良く両親、もしくは、祖母に連れられて、墓参をしたものである。不思議にその時々の風景が、結構鮮明に心の中に記録されている。お墓を洗ったり、お酒を撒いたり、お墓の周囲を掃き清めたり、とても日本らしい美しい伝統ではないかと思う。西洋には日本の「お盆」のような考え方はないので、亡き人を忍んで集まる、という様なことはない。私も夫の父が亡くなった時に、とても不思議な気持ちがしたものだ。宗教が違うから・・、という理由だけではないと思う。
やっぱり、三浦しをんさんって、天才。現実(というか、現代の話)と中世のロマンス・ストーリーを並行させて進めていく、とても斬新な手法。現代が中世に深く影響することもあれば、その逆もあり。実は、現代の話の中の主人公が、中世の物語を訳しているという、不思議な関係でもある。この訳者、時に自分に起きた恋沙汰を、自分が訳している物語に大いに反映させてしまう。つまり、訳している原本を勝手に変えてしまうのだ。このが、最高でもあるのだけど・・でもでも、作者三浦さんの優しさに溢れる、素敵な御本ですよ。いやいや、面白く読ませて頂きました、本当に。
山崎ナオコーラ、スゴシ!この本を再び読んでしまった。彼女の本を読むと、独善的な価値観に囚われて、どれだけ損をしている人が多い事か・・と、つくづく思う。結婚式の準備に奔走する豆子の話なので、「通常」の形式で行けば、この本は恋愛小説というカテゴリーに入るのだろうけれど・・とんでも無い。経済小説、はたまた人生の指針を突きつけられる厳しい物語とも言える。ただし、痛快なのである。どこまでも、痛快。笑うのである。ははは!彼女の刺激レベルに慣れると、他の本が生ぬるく感じて物足りなさを感じますね。辛さと同じ。私の敬愛する山崎ナオコーラ大師匠の御本、是非手に取って下さい。
照ノ富士関、復帰の場所、優勝おめでとうございます!どれだけのプレッシャーの中で、横綱としての責任を背負い、場所に臨んだことでしょうか。照ノ富士関のここまでの軌跡を考えると、前人未到の快挙です。初めてのお子さんも昨年誕生していたとか・・本当におめでとうございます。又、大関取りの場所の霧馬山関、集中力を切らさずに最後まで、凄かったです。霧馬山関が、取り組み前に土俵の塩を体に撒くのに気が付いていましたが、何か神聖で私は好きです。そして、師匠の陸奥親方と、どこか顔が似て来ましたね。 師匠と言えば、陸奥親方の霧馬山への愛情、本当に深いです。錣山親方の阿炎への愛情も、いつもビシビシ感じています! 閑話休題。いやいや、もう凄い場所でした。毎日、ワクワクしてテレビ中継に向かいました。そして、感動を呼ぶ取り組みの数々・・例えば、11日目の若元春と北青鵬の一番。うっちゃりで若元春が勝ったのですが、私は感動で涙しました。照ノ富士関、朝乃山戦で白星を勝ち取った時、ひっそり泣いていましたね。気高さを誇る、照ノ富士関でも、感情の波には勝てなかった、というところでしょうか。 本場所の話題の一つと言えば、北青鵬の肩越しの上手。あんなの今までに見た事ありませんね。びっくりです!怪我でもしたのでしょうか、後半に入って北青鵬、元気を欠いていました。しかし白鵬が親方を引き継いだ、宮城野部屋。落合、北青鵬と大物が育っています。もちろん、豪栄道(武隈親方)の部屋の豪ノ山、忘れていませんよ。十両優勝おめでとうございます。 貴景勝関、角番脱出、おめでとうございます。もう、必死でしたね。これで、来場所は、東西大関が並びます。他の3関取も、もう大関が近い!元大関の正代と御嶽海も、力を出しました。そして、元大関の朝乃山の躍進。もう役者揃いです。これからの大相撲、目が離せませんよ。 NHKが場所と並行して放送する「どすこい研」。今回は「立ち合い」でしたが、二所ノ関親方のコメントに、立ち合い、少し遅れて立つと力が発揮出来る、というのがあり、ヨシヨシと相撲放送でそこに注目して観戦すると、何となく分かる気がしました。この番組は、我々相撲ファンの強い味方です。毎回楽しく拝見しています。 相撲観戦は、名古屋場所まで、休憩。そして、7月に終わりから2週間日本に帰国するので、巡業に行ければ、と願っています。
短編の中に、村上さんのお父様への想いが詰まっている一冊。所謂「昭和」を思い出させるイラストが、興を添えている。猫を一緒に海岸に捨てに行った思い出から、お父様の生涯を紐解いていく。長い年月親子関係は余り良好では無かったと理解しているが、お父様の亡くなる少し前に和解したと、記されている。文庫の帯にもあるように、ああこういうご家族から村上春樹は産まれたんだなあ、と「血」の不思議、「縁」の不思議、そして必然を感じた。
村上さんの自叙伝的エッセイ。でもご本人が強調していらっしゃるように、村上春樹さんは、真の小説家です。と言う事は、小説としてこのエッセイも書いているかもしれませんね。閑話休題。このご本を読むと、村上さんが一冊一冊にどれだけ精魂を込め、推敲に推敲を重ねているのかが分かります。さりげない文章を生み出すために、推敲を重ねる。音楽を作る事にとても似ています。そして世間で言う「職人仕事」にも通じますね。ご本人がおっしゃる様に、10年くらい続ける事は出来るかもしれないけれど、30年、40年というスパンで一線で活躍し続けることは、並大抵ではありません。そして、ご自分のスタイルを確立し、それを貫いているところも素晴らしい。新人賞を取った後、プロ作家として歩む事を決意した時に、調子に乗っていた「ジャズ喫茶」を手放す決断も潔いですね。私だったら、「ジャズ喫茶店主の作家」みたいなタイトルで活動を始めるかもしれない・・でも私にも、(私事ですみません)いくつか人生で大事な選択をした事があり、それは今でも自分の誇りになっています。この本は小説家を目指す人の指針にもなるだろうけれど、「一度きりの人生への向かい方」みたいなものへの、エールにもなると思います。
母親の死後、32歳の前原葵が、男性遍歴(日本語で便利な言葉ですね)を重ね、自立していくお話しだ。東京の中でも、私が今でも比較的分かっている地域が舞台になっていて、そこは読んでいて楽しかった。この本の中で、1番気に入った言葉は「無理矢理握りしめていた偽物の保証のほうが、ずっと不安を生んでいたって・・」「偽物の保証」、素敵な言葉で、言い得て妙ですね。大昔に読んだ曽野綾子さんの小説で、やはり若い女性が次々と男性に好かれる話を、題名も忘れてしまったけれど、何故か思い出しながら、読んでいました。こんなに短い期間に、個性的で素敵な男性陣に大モテの葵。出会ったばかりの居酒屋の店主とスペイン旅行をしたり、ちょっと無理があるかなあ・・・ でも、お話し自体は大変面白く、一気に読んでしまいました。はい、流行作家は凄いです。
いわゆる、Based on the True Story で、もちろん有名なシェフのお話しです。でも主人公は、その妻の美佐子。パリで、ミシュランの星を獲得することを夢見て、全てをかけて奮闘した女性、美佐子。「恋に生きた」と言えばかなりカッコ良いけれど、そんな綺麗事ではない、凄まじい世界を生き抜き、最後は若くして癌でこの世を去った。最初、和歌山で裕福な家庭の主婦だった一女性が、「料理」に憑かれ、当時珍しかったフランス料理の魅力の虜に。子供も家庭も捨て、東京に出ていく美佐子。そこで出会ったシェフとの人生を歩み始め、最初に日本のレストランで成功。次にパリに出店計画を立てるものの、バブルが弾け、サポートを失う。。。凄い女性だ。きっと近くに寄ったら、そのエネルギーでこちらが溶けてしまったであろう。現実的に、美佐子に親近感を得ることは出来ないけれど、読んでいてとても面白い本であることは、間違いない。林真理子さんの御本ですから、ね。
初場所に相応しい、非常に楽しい15日間でした。千秋楽まで、勝敗が決まらないのは、それだけで成功の場所。そして、貴景勝と琴勝峰の対決も、大関の意地を見せた事もそうですが、琴勝峰も凄かった!阿武咲が、失速して残念でしたね。霧馬山に負けた一戦の後で、付き人に「硬くなったかなあ」と漏らしていたようです。千秋楽も反則負けという、何とも後味の悪い結果となってしまいました。 しかし、大波3兄弟の2人、若隆景、若元春(お兄ちゃん、幕下で頑張ってまーす)、佐渡ヶ嶽部屋の琴ノ若、琴勝峰、益々叔父さんに似てきた豊昇龍、霧馬山、大榮翔、玉鷲など、次の大関候補がひしめいているので、今年も楽しくなりそうです!目が離せませんね。 そして、1番人気の朝乃山の十両優勝。今年中に大関復帰出来るか、どうか・・そして、幕下十五枚格付出の落合の優勝。白鵬(現宮城野親方)も凄い青年に目をつけたものです。「自分が教えるから」と、リクルートした様ですね。歴史に残る大横綱にそんな事を言われたら、「はい!」と言いますね、大概は。来場所の番付発表が、早く見たい!福祉相撲も日本に居たら、絶対行っていますね。そして、巡業も。お相撲は、3月まで一休みです。とほほ・・それでは、大阪でお会いしましょう!(写真は、ロサンゼルス相撲愛好会の2023年新年会から)
新婚カップルの話でーす!と言って、この本を想像する人は皆無だろう。笑子:新婦、睦月:新郎。2人の結婚を説明するのは難しいので、ちょちょっと省きます。「型にはまる」事の大好きな日本社会にあって、こういう形の夫婦が、是非現実にも存在して欲しい。でも2人だけで生きている訳ではないので、「ユニーク」さは、時には残酷に人を傷つける。故に、2人は「普通さ」も入れようとするが、それは2人をとことん打ちのめす。「自分らしくあること」「幸せになること」「人を愛すること」永遠のテーマだけど、この本はほんの少しだけ、この永遠のテーマにヒントをくれるような気がする。江國香織、好きな作家です。