Japanese Blog (日本語のブログ)
これ又、大変ゴシックなお話し。とてつもない設定に、とてつもない登場人物。そして最後の数ページで、突然太陽ピカピカ、幸せ満点となる。まさにタイトル通り、深い闇の中を彷徨い、読んでいても吐き気を覚える激しい暴力と不条理。平和な日本や世界の大国アメリカに住んできた私には、測り知れない人々の日常と現実。そこから、生まれる愛と信頼(と言って良いのかと迷うけど)が物語の中心だと思う。桐野さんらしい表現力に圧倒されつつ、読破。こちらも体力温存しておかないと、登場人物達にノックアウトされるかも!桐野さん、またすごい事やってくれました。
日本中を、感動の渦に巻き込んだ、千秋楽の本割と決定戦!これで、稀勢の里関は真の横綱となり、相撲の歴史に名を残すこととなりましたね。いまだに、私自身興奮しています。相撲は、ほんの数秒の闘い。その中に、すべてが凝縮され、これだけ多くの人を感動させる。本当に凄い国技です。稀勢の里関には、早く治療に専念し(貴乃花は、あの一番を気に、休場・引退に追い込まれたので)、来場所に戻って来て欲しいです。貴源治は(北の富士さん推奨)、来場所から十両ですね。19歳です!宇良は勝ち越し。若手もがんばっています。 稀勢の里関の初優勝、横綱昇進、そして手負いでの連続優勝と、相撲界にとって大きな出来事が重なりました。ここロサンゼルスでも私の創めた相撲愛好会で、連日盛り上がってましたよ!お相撲を共通にした同志達と、相撲談義に花を咲かせるのは、本当に幸せ。相撲大好き!の私としては、至福の時間です。
かなりカッコ良いテーマ、「赤い手紙」が学園を覆うというものなんだけど、何か消化不良っぽい展開。赤い手紙と柿(パーシモン)をかけての題名も素敵だなあと、思うんだけど、何故か的が絞れない。登場人物の葛藤はとっても良いと思うんだけど、登場するそれぞれの家庭状況が、恐ろしく現実離れしているところが、物語性に欠ける気が・・ 文句はこれくらいにしましょう。文章は流石、井上荒野さん!テンポが良く、スムースな筆の滑りかたです。
これはきっとご自身の経験に基づいたお話しなのでしょうけれど(勝手に想像)、何てセンスの良い、ロマンチックな同棲日誌だろうか。こういう事絶対ある!といった、日常のごくごくありふれた男女のやり取りが、涙するほど、素敵になっている。作家っていうのは、大したものです。ズームーとアームーの7年間の愛の物語。もちろん、直球だけじゃなくて、変化球あり、死球あり、場外乱闘あり、雨天延期あり!本を「書く」という作業は、きっと自分の中の真実をどれだけ引き出せるか、目を背けないで見つめられるか・・ていう事なんでしょうか。そうして、言葉を紡ぎ、ページの間に世界を創作していく。ズームーって誰?彼に会ってみたいと、切に思っています。
何とせつない話だろう。島の言葉と相まって、美しい抒情が描かれている。人々が風景の中に溶け込み、自然な時間がいくらでも続いている。何が人に幸福をもたらすのか、又何に気が付けば人は幸福になれるのか。この作者の圧巻は、何と言っても文章の美しさだろう。熾烈な事を言う月江の言葉も、醜いのではない。とことん、素敵なのだ。作者は月江にこんな事を言わせている「あの人の奥さんのことを、化け物みたいって思っていたけれど。あなたも妖怪ね。妻って人種はきっとみんな妖怪なのね。やっぱり遠慮してよかったわ」どんなに工夫しても、その苦労が見え見えの文章があるけれど、井上荒野さんの文章は角が取れてはんなりと、無理のない美しい文体に仕上がっている。まだ読んだことのない貴方。是非手に取ってみて下さい。あっという間に、井上ワールドに惹き込まれますよ!
週刊誌に2年近くに渡り、連載された大長編!ファンタジーと現実の織り交ざった不思議なお話しだ。個人的に言うと、こういう「ファンタジーもの」は通常苦手なのだけど、「悲嘆の門」は何故かすーっと物語に入っていけた。そして、デイープにその世界に組み込まれた感じ。これは、はっきり言って宮部流のバイブルだと思う。そうやって読んでみると非現実の描写が、「非現実性」に重きを置かれず、「真実」に触れることができるのだ。そして人類の永遠のテーマ「愛」に辿り着く。作家は文字を織り込み、音楽家は音を紡ぎ出す。「悲嘆の門」のファンタジーを編み出した宮部みゆき、やっぱり普通の作家ではないね。そしてこういう冒険を作家と一緒に歩む編集者というものも、とてつもない重労働だろうけど、ものすごくやりがいがある職業なんだろうなあ、と思う。私は幼少から本大好き少女なのだけど、本当に「本の虫」で良かったと、今更ながら思います!だって、好きなものや好きなことって、無理に見つけるものじゃないから。
人って、やっぱ「愛」を求めているのね!そして絶対一人では生きられないのね。短編が直接的ではなく繫がっていて、一冊の本になっている。それぞれの短編で、違った登場人物にスポットライトを当て、愛の結末を探していく。なかなか素敵な本だと思います。
浅田次郎さんは、私の好きな作家の一人。「待つ女」は、書下ろし小説でとても面白いが、この本の圧巻はやはり、三島由紀夫論だと思う。浅田さんご自身の自衛隊での経験から、三島由紀夫に結び付け、三島文学、人となりを分析。そして、芸術論にまで到達していいる。芸術の普遍性、「美しいものを美しいなりに描くことが出来れば、鑑賞者はその個々の能力にまったく関わりなく、等しい感動を覚えるはずである」、日本の文学の滑稽な「純文学」「大衆文学」という分類をごみの分類に例えたり、日本古来の文学「和歌」の何も具体的な風景は書かずとも、ドラマを描きだしてみせるリアリズムに触れたり、読みながらまさにフムフムと頷いていた。魅力的な本を編み出していく浅田さんの引き出しに、少し触れさせて頂いた感じです。
最近益々、お相撲と音楽の近距離を感じています。もちろん、表現方法は全く違うし、ゴールも違う。でも、メンタルな面と日々の姿勢はほぼ一緒!優秀なお相撲さんなら誰でもおっしゃる、毎日の稽古の積み重ね。これまさに、楽器の習得と完璧に重なります。千代の富士関で言えば、毎日1000回の腕立て伏せ。おもしろくない稽古を毎日ひたすらやる。彼は、つま先から汗が出るまでやるとおっしゃっていたけど、出来ないパッセージを根気良く、諦めずに、様々な方法を使って習得し、自分のものにする楽器の練習。同じです!バイオリンの巨匠ハイフェッツの言葉で、「一日練習を休むと自分が気づき、二日休むと音楽評論家が気づき、三日休むと聴衆が分かる」というのがあるのですが、この言葉、私自身も日々身近に感じていますよ!また、相手がどうのこうのではなく、自分に集中するという相撲精神。まさに、的を得ています。音楽でも、日常の暮らしでも、つい「他人の視線」「他人の思惑」が気になり、思う存分自分の能力が発揮できない場合があり、自分に集中出来れば最高!目に見えない「他人」「世間」に怯え、それに打ち負かされる。それを一掃するのは大変な事だけど、前に進むにはとても大事な事ですね。最後に、春日野親方がおっしゃっていた、「困ったら前に、苦しい時も前に」という言葉。これも音楽だけでなく、人生にも当てはまる。お相撲を通じてみなさんも、人生の糧を学びませんか。
熱い15日間が終わりました。稀勢の里やりました。千秋楽の白鵬戦は、見事。これで、誰にも有無を言わせずに横綱昇進ですね。私ももらい泣きしてしまいました。しかし、これからが茨の道。横綱としての真価を問われるのですから、息がつきません。稀勢の里のお父さんの談話で(稀勢の里に最初に相撲を教えられたそうです)、嬉しいとともに気の毒だ、というのがありましたが、本当にそうだと思います。重圧に負けず、北の富士さんではありませんが、辞める時はすぱっと引退する。しかし、とにもかくにも、稀勢の里は、国民のヒーローです。 日本人、外国人と線を引くのは好きではありませんが、国技としての相撲ですから、日本人の横綱誕生は特別ですね。若乃花以来、19年ぶり。テレビの解説でも言っていましたが、琴奨菊が昨年の優勝でこの流れを作ったのは間違いなし。八角理事長は、琴奨菊に自分を責めることはないと今場所の不甲斐なさについて言っていますが、的を得ています。若手の御嶽海、大奄美(新十両ですが、将来有望とみています)、正代、宇良などが、3役定着、横綱に手が届くまで、稀勢の里には怪我をせずにがんばって欲しいです。 故北の湖理事長が、おっしゃっていた「土俵の充実」が実を結び、素晴らしい場所となりました。一番一番の相撲に歓声を上げ、笑い、ヤジを飛ばし、涙を流す。これでこそ、国技。日本人の心の拠り所ですね。相撲大ファンの一人として、土俵を沸かせてくれた一人々の力士に、心からありがとうと言いたいです。大阪でも、私達の心を鷲掴みにして下さい。お相撲最高!