Japanese Blog (日本語のブログ)
林真理子のニューキャラクター!中島ハルコ。一つの事にすごく秀でて、その道を長く牽引している人は本当に違う。ものすごい才能あり、努力あり、そして沢山の引き出しあり。林さんの凄さが、すべてのページに凝縮されている本です!ハルコ女史は、魅力的かつ、ハチャメチャ。本のページを破って出てきそうな、エネルギーだ。こういう人ははっきり言って、どこにもいない!でも、何だかどこかで、お逢いしそうな気持にさせてくれる。ハルコ女史に一喝されたい!!!!
綿矢りさの「蹴りたい背中」と一緒に、2004年度の芥川賞を受賞した作品。まあ、海外にいるので、文壇の情報などにも疎く、今頃読んでいる訳です。こう来ましたか、という感じかなあ。確かに、暴力度最高なので、そのパワーに度肝を抜かれるというのは否めないけど、根底は究極の優しさだと思う。そして幸せの究明。私自身、スプリットタンにも入れ墨にも興味は全くないけど、人それぞれ、興味の対象も違うし、自分に対してどこまで出来るかという、挑戦の方向性も違う。京都の西陣織の職人なら、その道を究めようと切磋琢磨するだろうし、植物学者ならアマゾンの山奥に、目指す植物を探しに行くだろう。 いくつか彼女の初期の作品に目を通したけど、暴力全開、猥褻全開の世界感。そして、「軽薄」を読んだ。芥川賞から約12年経ち、結婚しお子さんも二人いらっしゃるご様子。アンダーグラウンド臭でぷんぷんしていた初期の作品から、「軽薄」の主人公は裕福層でカッコ良い仕事をしている。でもやはり「殺す」「死ぬ」という愛情表現がテーマだ。甥を愛し、心を埋めようとする30代既婚女性。そしてすべてを捨て解放されると言う。でもその後の人生は?いつでも「何か」の最初は、新鮮で素敵だ。その継続が、最も難しい。
綿矢さん、この作品で、芥川賞を取られたんですよね。とても不思議な世界。非現実なんだけど、ふっととんでもなく身近になる。斜に構える主人公の女の子、時に親近感持てましたよ。人と人との心の繋がりって、ルールもないし、マニュアルもない。「蹴りたい背中」が、この本の中では最大の愛情表現。でもさ!もし本当に愛する人がいて、その人の足裏を背中に感じたら、それはとても素敵なことかもよ。
引き出しのとっても多い東野さん。今回は、こう来ましたか!もちろん、スノーボードに打ち込んでいらっしゃるので、こういう本を出す事になったのでしょうけど(スノーボードの雑誌に収録されていたものを、まとめたらしい)、ええ!こんな可愛いお話しもつくっちゃうの??という、驚きとともに、読みました。女子のトイレで話されるような話題、典型的な男女のもめごと、可愛いい女性達、友人達によってくっつけられる男女、これを書いている今でも、何だか信じられない!もう、やだーー、と思わず、ガールズトークになってしまいます。肩のこらない、恋愛小説が読みたければ、どうぞ。スノースポーツが好きなら、尚更お薦めです。
作者の言いたかった事は、帯を見れば一目瞭然。「人は、自分のことを語る時、思い出したくないこと、喋りたくないことは絶対書きません。都合のいい綺麗なことばかり書きます。それでいいんです。それだから自費出版なんです。もし客たちが、自分の恥部をすべてさらけ出すようなことが出来たら、彼らは作家になっています。」この本は、インターネットにあふれる飾った文章、気取った文章、カッコつけた文章、自分の夢見る自分になれるインターネット、それを自費出版の世界と並行させて、書いている(本の中にネットばなしは、はっきり出てこないけれど、ブログ文化が根源にあるのは間違いなし)。でも「なりきれる」人って、強い!羨ましいくらい。様々なネットの形態を使って、人は自分の事を話す、はなす、ハナス!そして、なりきる。現実といくら離れようとも、気にしない。林真理子の新しい境地。はまって、長編だけど、一気に読んでしまいました。
まさに、新しい感性。とってもこういう感覚分かるよ!と思いながら読むけど、発想がとても新鮮。驚きの連続、逆転あり、涙あり、みつ子の人生、七変化!綿矢さんの本、しばらく読みますよ。
島本理生さんの研ぎ澄まされた感性が全編から感じられ、素敵な読書時間を送った。15歳と16歳の時に書いた超短編も一緒に収録されている。15歳っていったら、中学3年かもよ!その若さで、宇宙空間遊泳しているような’文章が、どうして書けるのか・・・経験というものがなく、頭の中でイメージが湧き、そこでペンを取って、それが文章を紡いでいく訳。今後も、島本ワールドにお邪魔しますよ!
人間皆、多かれ少なかれ、間違いを犯しながら生きている。間違いを犯したときに、それを自分で認められる強さがあるかないかで、人生の舵取りが決まると思う。認められないと、それを何とか正当化しなくちゃならないし、挙句の果てには、うそをつくことになる。一回ついた嘘は、それを正当化して前に進むため、さらに迷宮に入る事に。この小説も、この当たりをテーマに描いている。そして社会問題にもなっている犯罪にあける加害者・被害者の関係も浮き彫りにしている。
一転二転三転・・・一つのベールを解き明かすと、次のベールに包まれ、又闇の中へ。「悪意」の最高の解釈で、犯人像を作り上げ、犯人が思いもしなかった角度から、その謎を明かす。きちんと頭の中を整理して読んでいないと、複雑かつ巧妙なトリックにまんまと引っかかり、蜘蛛の巣にからまれるように、にっちもさっちもいかなくなる。そして読者もその蜘蛛の巣にからまれ、本から離れられなくなる。ずっしりした推理小説が読みたければ、この「悪意」是非読んでね!
素敵な感性を持った作家ですね。初めて読みました、島本理生さんの御本を。表題のお話しに加えて、「クロコダイルの午睡」「猫と君のとなり」が一緒になって、一冊の本になっている。「大きな熊。。」を読み終えて、少しほんわかした気分になったところで、「クロコダイル。。」で、いきなりどうしても避けられない現実に直面し、どんーーんと崖下に転落。そして「猫と君。。」で、桃源郷のような美しい世界へ。こういう小説感、大好きですよ。でも私だけかなあ。。行間に吉本ばななの風が吹くのを感じるのは・・どちらにしても、もっと島本さんの御本読みますよ!