Japanese Blog (日本語のブログ)
このタイトルから、内容をスキッと当てられる人は、まずいないでしょう!この本は、究極の恋愛小説です。ただし、きっと「21世紀の」というのを、付け加えた方が良いかも・・・ひと昔前に、「神田川というフォークソングが、大流行しましたね。その世界感が、大きく変換して、現代版年の差恋愛という小説になった、と想像してもらえれば、良いかと思います。恋愛にルールなし。十代後半からの2年間を、一緒に過ごした20歳年上の女性。その彼女、それこそエキセントリック。恋愛を経て、成長したとか、大人になった、いう陳腐な事ではなく、「恋愛」が与える心の輝きを描いたという事だと思います。テンポの良い文体と、ページの中に見つける隙間が、素敵なコラボ!まさに、究極の恋愛小説ですよ。
作者の目標は「誰にでも分かる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」との事。この本、人の死を作者の目標通りに書いていると思う。私自身、今年も若い友人を癌で失った。彼女、13歳の子供を残して、この世を去って行った。「美しい距離」は、若くて、仕事バリバリの妻が末期の癌と診断され、それを夫が看取って行く話しだ。「癌」という病の持つレッテルに反発し、夫は自分達らしさ、彼女らしさを、強く求めて行く。そして、病いの妻を思うあまり、考えすぎ、空回りをしたりもする。それを妻が、逆にさり気なく、窘めたり。毎日、少しずつ「死」に向かって行く妻が、とても素晴らしく描かれている。そして、夫の深い愛情も。思わず、涙してしまう、小説ですよ。
本作品は、第140回芥川賞を受賞。大きな文学賞というのは、何だかんだと言って、やっぱり「本を手に取る」、大きなキッカケになると思う。若手の出発地点にもなるし、中堅の作家の、長年の仕事への集大成にもなる。「ポトスライムの舟」は、作者ご自身の経験によるらしい。美しさに焦点を当てる手法ではないけれど、文章が輝いていると思う。そして「自分だけの世界」「自分だけの喜び」から、他人を受け入れ、愛して行く過程(男女間の愛ではなく)が、自然に書かれていて、とても良い。他人に何か出来る喜び、これは「人」である事の原点、そして「幸せ」になる入り口だと思う。だって、他人の喜びを嬉しい!!と感じられれば、人生が数倍も楽しくなるから。毎日の暮らしに張りが持てないのなら、是非この本を読んで見たら良い。日々の暮らしに、これだけ素敵な事が隠れていたかを実感出来るはず!
いつもの言い訳ですが、海外在住の為、この作者の事、知りませんでした。。ああ、感動!1ページ目の最初の数行読んで、虜になりました。淡々としながらも、無駄のない文章運び。町の美容室を中心に、飛び切り素敵な普通の人達が、紙面を闊歩する。暴言も吐く。恋ごときもする。ご飯も食べれば、深酒もする。極々日常の時間を、ボソボソと表現。良いなあ!高円寺というと(この本の中心地点)、私にも思い出の深い場所。町の商店街仲間っていうコンセプトが、アメリカにいると、とてつもなく、懐かしく思えるもの。「故郷は、遠きにありて、想うもの」、とは良く言ったものですね!
小池さんは、お姿も美しく、そして文体も美しい。素敵なエッセイ集。日常を切り取り、綺麗なモザイクのように、文章にしていく。緩やかな時間と、魅力的な光の加減。この本を、さり気なくコーヒーテーブルの上に置いて見たいなあ。ちょこっとソファーに腰掛けて、本を開くと、そこは現実から離れた、桃源郷。急がずに、ページをゆっくりめくって、読みたい本である。
こういう本を読むと、ああ!大阪に住んで見たいなあ、と思ってしまう。私の家は、両親とも東京出身で、大阪に親戚もいない!生粋の江戸っ子と言えば、カッコ良いけれど、そういう気っ風の良さがある訳でもない。気取らずに、サバサバと会話をして見たいものである。こっこ(主人公の女子)は、とっても可愛い。純粋だけど、納得できないことには、ガンとして戦う。そして、大家族だから、孤独に憧れ、病気に憧れ、素敵に憧れる。健気な冒険物語である。正直、私はこういう本、大好きである!
何とも、不思議なお話!そして、とっても素敵な挿絵の数々。天は二物を与えず、なんて言葉があるけれど、西さんには当て嵌まりませんね。ご本人、又とびきりの美人と来ているし!子供の目を通して、世の中の酸いも甘いも嚙み分ける現実。宇宙人が出て来たり(LIFEの宇宙人総理を思い出しますね!)、浮気相手が出て来たり、はたまた、不登校児が出て来たり、登場人物は千差万別。その中で、モヤモヤ、葛藤を経験。初恋も知る。自分を自分でどうして良いか分からなくなる毎日。私も子供の頃そうでしたね・・・葛藤と苦難の連続でした。まあ、それでも、大人になり、こうして中年になっています!慧(主人公)と一緒に温泉街の日々を過ごして見ませんか。不思議だけど、ほのぼのとする事、間違いなし!
私、正直言ってSF物は苦手なので、この本、最初読み始めた時は、どうしようかなあ。。。と迷っちゃって、すぐに読み始めなかった一冊です。「劫尽童女」は、超SFとも言えるけど、人間の悲しい一面と愛を書き切った、人間そのものとも言える小説です。人間の強さって何だ、愛するって何だ、ということを、超人間の童女を通して描いています。表紙の絵が、何を表しているのか、どういう観点でこの小説の表紙になったのか、ちょと訊ねてみたいですが・・
普通、短編集と言うと、クッキーの詰め合わせみたいな感じで、それとなくまとまっているものですよね。それが、なな何と、この短編集、キムチあり、ポタージュあり、はたまた、寿司に天ぷらと、何でもありの短編集なのです。しかし、そこが恩田さんの凄いところで、全編読むと、やっぱり同じ作者なんだなあ、と納得してしまう。デイヌ・リパッテイを題材にしたものから、賢い犬・猫のホラー物語まで、作者の懐の広さ、果てしない興味の奥行が出ています。一編一編が短いので、ちょこっと読めますよ。
恩田陸3作目!これも、期待通り。前回読んだ本は、デイープな音楽家の本だったけれど、今回は更にデイープな俳優のお話し。これも多分(私は俳優業を営んだ事がないので、想像だけど)、俳優という業をはるかに超えた人物を登場させる事で、ドキュメンタリー調でなく、ファンタジーとなり、成功しているのだと思う。主人公の飛鳥は、すべてにおいて超人間。その周りに、天体ではないけれど、いろいろな星が周り(キラキラの星もあれば、暗めの星座もある)、物語が生き生きと進む。”演じる”事に憑かれた人々の、”演じる事”を究極’に求める、終わりのない旅。そこにちょっと参加させてもらって、”演劇”の世界を見せてもらった。