Japanese Blog (日本語のブログ)
いやいや・・肩に力が入りましたね。巴戦とは! 豊昇龍関は、全ての面で優っていて、相撲スキルといい、メンタルといい、実に文句なしでした。特に巴戦の王鵬戦の出だし、腰の強さに、私は腰を抜かしそうに(!)なりました。140キロ代の横綱、私はとても嬉しいです。太り過ぎの力士の多い中で、今後良いお手本になると、期待しています。千代の富士関の永久大ファンの私としては、あのウルフ体型のお相撲さんが「目標」なんです。もちろん、私が相撲取りになる訳ではないのですが・・豊昇龍関は、最近は言動に重みが出て来て、インタビューなども良い感じで、自然体。相撲界の頂点に立っても、大丈夫!叔父さんが、メッチャ喜んでいるでしょうね。そして、立浪親方が涙しているでしょう・・大関になった時も、親方、謙虚に大喜びしていました。まあ少し早いですが、大関大の里関と将来東西の横綱を張ってもらいたいものです。 しかし琴櫻の惨敗ぶりは誰もが、予想していなかった事。大横綱を祖父に持つ二人の力士の明暗くっきりの場所でした。王鵬関、成長著しいです。金峰山を本割で破った相撲は、本当に凄かった。顔つきも(怪我の痕が沢山あるし!)、鋭さが増して来ました。これからが、本当に楽しみです。兄弟の中で一番大鵬関に似ていますよね。金峰山を破った時には、思わず家中に響くような声で、「よおー!大鵬の孫!」と叫んでいました。そして、文句なしで金峰山は、賞賛に値いします。最後の数日、ストレートに優勝したいと、言っていたのも、印象的でした。首の怪我から復帰して、恐々相撲を取っていたのが、強烈な相撲と迫力。これからも頑張って欲しいと思います。 とにかく面白い場所でした。尊富士関、伯桜鵬関、鉄人玉鷲関、霧島関、豪ノ山関、大栄翔関、などなど、大活躍。宇良の伝え反りも凄かった!力士の皆さん、15日間、本当にありがとうございました。じっくり休養して、また稽古に励んで下さいね。お相撲、大好き!大阪場所が、待ちきれないです。 追伸 私ごとですが、私の住むロサンゼルスの大火事(友人の多くが家を失い、大事な楽器を失いました・・)、そして私の父が闘病の末先週亡くなり、そんな中お相撲観戦はとても大事な時間でした。父は、92歳の素晴らしい生涯を全うしました。日本に帰って、現在綺麗にしてもらって実家で休んでいる父に、思う存分ピアノを聞かせてあげようと思っています。
日本滞在中に買った本。川上未映子さんの本は一度も読んだことがなく、今回初めて。文章にキレがあって、かつとてもスムーズだ。言ってみれば、とても自然体で、しつこくない。重いテーマなのに、それを感じさせずに、何故か主人公の生活の中にしっくりと溶け込んでしまった。子供を持つという事を、こういう観点から描いた小説は、他にないのではないだろうか。強く、でも肩肘張らずに、自分ときちんと向き合う夏子。愛に溢れている夏子。病気で床に臥せっている時に、何故かズンズン読み進めた一冊である。最高にカッコ良い夏子に大拍手!
東野さんの御本は、もう数えきれないくらい読んでいるけれど、一度として失望した事がありません。この本も、マスカレードのシリーズですが、なかなか面白いですよ。テンポが良く、登場人物が生き生きとしています。もちろん、推理小説ですから、謎も二転三転としながら、自分もホテルの宿泊者になって、犯人探しに加わっているような気分になります。東野さんの小説は、必ず「人間」を描いています。マスカレード・シリーズも、華やかなホテルを舞台に、人間模様が展開するとても面白い小説だと思います。是非、お読み下さいね!
昭和、平成、令和と相撲界を牽引した北の富士勝昭(1942ー2024)さんが、お亡くなりになりました。一相撲ファンとして、NHKの相撲中継での解説に、毎回心踊らせていました。ターゲットにしていた力士をおちょくりながらも、暖かい相撲愛で、舞の海さんと、丁々発止でやり合っていましたね。自身が横綱で、そして二人の大横綱を育てた相撲人は、北の富士さんをおいて他にはいないでしょう。そして、これからも出てこないと思います。とてもオシャレで、着物着て良し、スーツを来てもカッコ良く、又カジュアルな服装もとてもお似合いでした。心より、ご冥福をお祈り致します。
「窓の魚」 読んでいる間、「耽美」という言葉が胸の中でエコーしていた。これは恋愛小説なのだろうか。それとも、猟奇的?それとも? 西さんの「サラバ!」「さくら」「あおい」などのファンの私にとって、方向転換をさせられる作品でもあった。それぞれに凄まじい個性の4人が、人里離れた日本旅館で過ごす、ほんの一夜の物語。彼らが過ごした日本旅館に連れて行ってもらったかのような、実に写実的な作品である。 「夜が明ける」 これも西さんの新しい作品の一冊。正直に言うと、私は時に嘔吐を催すくらい、辛いシーンが多い作品でもある。現代の問題を問い、現実を直視しそれを表現しようとする試みは、とても良く分かる。その過程で、醜さ、不公平、不平等も表現していかなければならないとも思う。しかし、このような辛い思いをしてまで、読書をする意味があるのか、と考えてしまうのも、正直なところである。根底にある、というかこの本の焦点である「友情」に、気持ちが行かないこともあった。辛さゆえに、放り投げてしまうこともしばしばで、読破するのに本当に長い時間がかかった。
一度読んでみたいと思っていた、万城目学さんのご本。ついに手に取りました!彼の小説は、「ファンタジー」というカテゴリーに入るらしいのだけど、小説は一般的に「フィクション」な訳ですから、「ファンタジー」の捉え方が、イマイチはっきりしない私です。SFとも違い、やはり「日常的に起こり得ないことを題材にする」とでも解釈すれば良いのでしょうか。本とは関係のなさそうな問題点なのですが、私にとってここが重大ポイントなんです。 このお話しには、2点異なる設定があり、その一つが会計監査院という国が予算が正しく使われているかをAuditとする機関、そしてもう一つが大阪を舞台とする歴史ファンタジーとも言うべき浪速の人達とその心意気、である。登場人物とその描写、人間関係の葛藤などは、とても面白く読むのだか、何故かこの2つの設定が接近し、交わってくると、私には何故か面白さが半減してしまう。スーパー現実とスーパー非現実が、私の中で相容れないのかもしれません。想像力の欠如かもしれないし・・という訳で、こういう「ファンタジー」物、私は苦手な事が分かりました。でも万城目さんのご本にハマる人は多いと聞いているので、これは単に個人の問題かと。どうぞ、皆さんも手に取ってみて下さいね。食わず嫌いにならないように!
この本は、日本滞在中に必ず訪れる「青山ブックセンター」で、私の目に留まった本。本好きには、たまらないエッセイ集ではないだろうか。「ひとり出版社」という言葉があるのを、この本で知った。島田さんの経営する会社、「夏葉社」がまさにそれで、島田さんは、会社を立ち上げた当初から、一人で全てをこなしている。ご自分の作りたい本、ご自分が信じる本作り。大きなビジネスではないけれど、「仕事」として、自分と家族を養う収入源というコンセプトだ。とても緻密でないと、出来ないと思う。そして、心配りが出来る事。そして、その心配り、優しさに、重きをおける事。「本を読む」意義について、島田さんは随分と紙面を割いて語っていらっしゃるが、私の気持ちとして、それの全てに同意する事はない。でも、おっしゃっている事は、とても分かる。現代のスピード感覚、ネット社会で、我々は必要のないところで神経をすり減らし、それに気づく時間も持てぬまま、時代の波に押し流され、とても疲れている。島田さんのご本の中で、本を読む、本を作ることだけでなく、生きる指針の端っこを見つけられるかもしれない。 ふと、アメリカで、夏葉社のような本作りはあるのかなあ、と思った。何故かと言えば、とても日本的で、そして日本人にあった趣きに感じたからだ。
この本は、「クラシック」の仲間入りと言っても過言ではないと思う。もしくは、一家に一冊、以前の「家庭の医学辞典」のような本ではないだろうか。日常のさりげない出来事を、笑いに変えて、世代を超えて我々読者を楽しませてくれる。父ヒロシ、息子、母、お馴染みの登場人物が、紙面いっぱいに活躍する。枕元に一冊置き、どんな一日であったにせよ、この本を開き一つエピソードを読む。まさに「チチンプイプイ」。肩の力が抜け、悩んでいる事が、どうでもよくなるかもしれない。是非、お読みください。さくらさんは深く惜しまれて夭逝なさったけれど、我々を楽しませるために、ご自分の身を削っていたのであろうか。
ゴーギャンとゴッホの親交から、発想の転換で、アートミステリーが生まれた。原田マハさんは、私の尊敬する作家の一人。今まで原田さんの作風のような形ででアートを広めた作家は少ないし、彼女は誰にでも届くところにアート持ってきてくれた。原田さんのご本はいつもワクワクさせてくれるので、大好きだ。でも、我儘言っている事承知で申し上げますが、今回の作品は、何だかストーリーのもたつきがあり、やたらと長く感じられた。原田さんのゴーギャンとゴッホへの愛情が大きすぎて、こうなったのかもしれない、とは思う。発想が膨らみすぎて、筆がおけなかったのかもしれない。でももう少しお話しがコンパクトだったら、うんと楽しめたのになあ、と思う。
「百合中毒」が発端になって、様々な人が織りなす愛の関係が、交差し始める。逆に家族だから、直接聞き出せない事が山積みになっていく。単純であろうする反面、逆に更に複雑さに拍車をかけてしまう。優しさの裏返しで、誤解を産む。我々の人生に、日々の暮らしに、どこかありそうでなさそうな、お話し。「百合中毒」のポスターの毒毒しさが、目にチラチラしそうだ。