Japanese Blog (日本語のブログ)
この本は、私のピアノレッスン動画の中でも一度取り上げた事があるが、ミステリーの部分が最高であることは言うまでもないが、ピアノコンクールへ向けての準備の描写がとても面白い。その入念な準備の仕方・姿勢が、楽器習得中の方で上達したいと練習している皆さんに、参考になるのではと思う。作家の中山さんは楽器のご経験がないということで、どのようにして、音楽家魂、楽器への執念、詳細な練習の仕方、演奏への準備などを、習得したのであろうか。まあ、それが作家の仕事であり、永遠の興味であるのかもしれないが・・ 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作品。美しいドビュッシーのメロディーに乗せ、悲惨な殺人が繰り広げられる。大火傷を負った主人公が、コンクールで優勝するというちょっとミラクル的な部分もあるが、その努力と根性は、見習うところが大きい。楽器習得中の方、是非ご自分にリミットを設けずに、上を目指して下さい。色々な側面を持つミステリーというのは、読んでいても飽きずに、最後まで面白く読み切れますよ。
少し前のエッセイ集を読むと、時代遅れ感が否めない作品もあるが、この作品(1995年作)は、とても新鮮で感動が深い。そしてとにかく文章が上手く、並外れたユーモア、語り口が最高だ。作者の妊娠中の体験記を、10章に分けて、妊娠発覚から、誕生までの経緯を、ももこ流に書いている、時には哲学的に、時には日常のドタバタを。この本は作者の妊娠・出産体験を独自の視線と切り込み方で描いているが、人生の様々なことに、この独自の視線発想は役に立つと思う。何か一つの事に行き詰まったら、ちょっと深呼吸して、見方を変えるとホッとすることも多々あるのでは。 最後の章でご本人が書いているが、「最後にもうひとつ、私はこのエッセイを、出産を勧めるために書いたのではなく、また勧めないために書いたのでもない。ましてや何かの参考にして欲しいと思ったわけでもない。ただ単に、”妊娠・出産”という私の身にふりかかった珍奇な出来事を皆様に聞いていただきたかっただけである。だからこれを読み終えられた今、何の得るところも無かったと思うが、私のエッセイとはそういうふうにできているのである。」 私の購入した文庫は11年前に刷られたもので、何と20刷で、この本の魅力を大きく語っていると思う。
どちらも大変素晴らしい作品!「卵の緒」は、坊ちゃん文学賞大賞を受賞して、瀬尾さんが作家デビューした作品だ。こんな素敵なお話しを紡げる作家って、本当にすごいなあ、と心から感動した。家族の形、これは状況により様々だと思うが、本質の「愛情」を、「臍の緒」から派生させて卵の殻、卵で産んだことに話しを持っていくところが、素晴らしい。この話しを読んで涙しない人はいないと思う。「僕」の周りを取り囲む大人たちは、皆変則ギアの持ち主ばかりだけど、本質がキチンと見えている。この本に対に入っている「7’s blood」も家族の形への警鐘だと思う。そして、人は(子供は)、色々な言葉で話す。いつも直球で話しているとは限らない。愛情あふれる2作、感動しながら読ませてもらいました。 「おしまいのデート」は短編集で、色々なデートが語られている。おじいちゃんと孫娘のデート、元不良学生と教師のデート、男子学生のデート、バツイチOLと大学生のデート、園児と保育士のデートなど。どの「デート」も、瀬尾さんの優しい語り口で温かく、ユーモアもあって、瑞々しく描かれている。人生の一コマを、本のページを通して見せてもらえる幸せ、存分に味わってみては・・
今日本滞在中。LAからの道中に読むために、この3部作を持参。大いに堪能しました。肩の力が抜けた最高のユーモアの裏に、とんでもない感性と洞察力。飛行機の中、日本に着いてからの電車の中で、笑いを堪えるのに大変!又、時差で上手く寝られない時も、良き伴侶となってくれました。そして、そんな中、東野圭吾さんの訃報が・・・。 さくらさん、東野さんとも、第1線を走り抜け、癌に侵されてお若くして亡くなりました。お二方とも、天国に旅立つまで闘病の様子を知らせずに、ご自分の世界を大事に、ある意味密かに亡くなっていきましたね。ご自分を酷使して、でも大好きな分野で最高のものを生み出し、我々読者を本当に楽しませてくれたお二方。何故か「鶴の恩返し」の娘’が、自分の羽を抜いて美しい布を織る姿を思い出していました。お二人のご冥福を心よりお祈りします。
中国の歴史に疎い私でも、清朝の廃帝、溥儀については、折に触れて知る機会があった。この本を読むことで、更に興味が増し、映画「ラスト・エンペラー」を再び観てしまった。「数奇な運命を辿った」という言葉が、これほどピッタリ来る人も他にいないだろう。贅を尽くした暮らしから、獄中生活まで、歴史の波に翻弄されながら、最後は北京植物園の庭師として勤務し、1967年に61年の生涯を閉じた。この溥儀が紫禁城に幽閉されていた時代を、ミステリーにしたのが、本作品だ。日本人の水墨画帝師、一条剛が幽閉されていた溥儀と接近。そこから、物語は始まる。中国名の登場人物が多々出てくるが、その名前が類似しており、エキゾチックと言えば良いのだが、物語を不必要に難解にしているように思った。類似した名前の宦官達が、ミステリーを解く上で重要な位置を占めているので、度々善人と悪人がクロスしてしまうことも・・・ 中国の歴史が大好きな人にとっては、たまらない一冊だろうし、又私のように触発されて、この本を飛び出し興味を広げる場合もあると思う。犬丸幸平さん、2026年「このミステリーがすごい」大賞、おめでとうございます。
棟方志功さんは、私の憧れの芸術家で、1985年に開かれた没後10年を記念した東京国立近代美術館での展覧会に、行っている。そこで買った作品集は私の宝物で、沢山引越しをしてきたけれど、今でも大切に私の手元にある。この本を読みながら、何度も作品集を眺め、改めて、棟方志功さんの度肝を抜く才能に圧倒されている。その稀に見る才能を支えた妻・チエさんが、この本の主人公だ。その二人の出会いから再会、そして棟方さんの大プロポーズと、話は第二次大戦以前の青森から始まっていく。東京に出てきてからは、近所の草むらに生えている雑草を食事にしながらの大苦労もしたが、棟方一家はいつも明るい。無象の愛に包まれている。そこには、棟方志功の天性のユーモアがあり、チエさんの大輪のような笑顔があったと思う。 この本は、棟方志功が、「ワあ、ゴッホになるッ!」と宣言した時から、「Beyond Van Gogh」になるまでの、なるべくしてなった軌跡が、妻・チエさんの目線から、素晴らしく描かれている。そして原田マハさんの、芸術への尽きない愛情が、文章の奥から溢れ出てくるのである。是非、彼の素晴らしい作品も一緒に見ながら、読んで頂きたいです。
久しぶりに日本に帰国して古い友達に会うと、コートの季節になると、温かろうが寒かろうが、厚手のコートを着ていない私を、奇異な目で見る。きっと、そんな私と一緒にいるのが、恥ずかしいと思うのかもしれない。人様にご迷惑をかけている訳ではないので、何でなのだろうなあ、とつい思ってしまう。私にとっては、南極に行くような長いダウンのコートを着て、暖房の効いた電車に乗っている方が、ずっとご苦労様だと思うのだが、日本の枠組みの中ではそうでもないらしい。 この作家のスタンスは、素晴らしいではないか、と私は純粋に思う。純文学を書く事に、気負いがない。我が道を、一直線に進んでいる。多分どこにでもあるような日常を切り取り、MEGADETHと戦い、そして「バリ山行」へと立ち向かう。波多君は、どこか作者の半分身くらいかもしれない。文体の切れ味も良く、読むことについ夢中になってしまう。六甲山は、エベレストではない。しかし、エベレスト以上の力を発揮することもある。「バリ山行」、とても面白かったです。 改めて、「考える事」の素晴らしさ、楽しさを思った。「考えること」は、一日で出来ることではない。運動やピアノの練習のように、積み重ねていくものだと思う。発想の羽を大きく広げ、今日も沢山どうでも良い事をカンガエテ、楽しく過ごそう! 松永K三蔵さま、芥川賞受賞、おめでとうございます。これからのご活躍、楽しみにしています。
東野圭吾さんは、常に第一線を走り続ける作家。とても稀有な存在であろう。加賀恭一郎と松宮脩平の従兄弟コンビで、何冊の素晴らしいミステリーが産み出されたことだろう。この本も、その一冊。大変面白く読ませてもらった。これでもか、これでもか、と次々に謎が投入されていくが、基本線がブレずに、頭の中でミステリーを構築していける。刑事の正義だけではなく、ニューマニテイも社会性もしっかりしている。人の五感に訴える最高のミステリー作品。是非、手に取って読んでみて下さいね。
素晴らしい題材と魅力ある登場人物たち。この本を読み始めた私は、「さすが直木賞候補作だなあ!」と感動のスタートを切った。歴史をまたいで、現在と過去が絡まっていき、ワクワクと読書を進める。話しが進むにつれ、ストーリーは複雑になっていく、とここまでは定石通りなのだが、話しの筋が見えなくなっていった。そこで「第170回 直木賞」の審査員評を読んでみる。そして、納得。ここから「候補作止まりになった理由」が分かり、本を読み進めた。 人間の心理というのは不思議なもので、「直木賞」という文字に踊らされてしまい、「直木賞候補」だから、という観点でその本の良し悪しを判断しがちである。もしこの本の帯に「直木賞候補作」と大きな文字でデカデカと書かれていなければ、この本を手に取っていなかったかもしれない。しかし、この帯なしで本を読むことにしていたら、逆に新鮮に読めたかもしれない。本の売り出し方戦法は、素人の私には未知の部分だが、何か新手法で、あっと驚かせてくれませんか?
安青錦関おめでとう! 安青錦関は、横綱大の里の千秋楽休場の穴埋めを責任持って果たしただけではなく、優勝決定戦でしっかりと勝ち、賜杯を手にしました。立派です!安治川部屋には、練習生で入った安青錦関。それが、あっという間に大関を手にし、横綱も視野に入れているすごさ。安治川親方もすごい力士をリクルートしたものです。安美錦関(現安治川親方)は大好きだったので、心より嬉しいです。そして、安美錦関の所属していた伊勢ヶ濱部屋の凄さにも、本当に頭が下がります。 義ノ富士関も、将来大関・横綱でしょうか。こちらは、逆に鳴り物入りで相撲界に入り、白鵬の部屋に入るはずだったのが、部屋が閉鎖され伊勢ヶ濱部屋へ。本当に良かったです。お二人とも、(私の永遠のヒーロー、千代の富士関のような)理想的な体型です。これくらいの体重を維持して、怪我のないお相撲取りで、相撲界を牽引して頂きたいと心より願っています。朝乃山、もう一息で幕内復帰、頑張って! 相撲の世界、益々面白いです。今年も数々の素晴らしい取り組みを本当にありがとうございました。来場所は、日本帰国と重なるので、是非国技館に足を運びたいです、チケットが取れれば。。。