Book Reviews (マイブック評)
第39回江戸川乱歩賞を受賞した「顔に降りかかる雨」。そして、同じ女探偵ミロを登場させた「天使に見捨てられた雨」。読み始めた時は、近著の「ダーク」などとは全然違う雰囲気で進む文章に、ちょっとドギマギしてしまったけれど、次第にその奥行きの深さに、ズンズンと入り込んでいった。暗い都会の片隅に蔓延する悪との戦い。ストレートには出さない闘争心が、逆にミロの魅力を強くしている。長い間トップで活躍する作家というのは、こうしていくつもの語り口を持っているんだなあと、改めて感動。音楽家も一緒で、どれだけ幅の広いレパートリーを持っているか、創造豊かな音色や表現の幅で、活動の領域が変わってくるので、そこは同じかなあ。今後も、桐野さんのご本、楽しみにしています。
吉松喜一は、御年40歳。入社17年目の広告代理店をばっさり退職、フリーランスになった。気持ちの優しい「きいさん」に、舞い込んで来る仕事(もしくは相談事と言ったほうが良いけど)の周辺を描いた中年万歳小説。それぞれの章に登場する相談者達は、皆問題を抱えていて、それを「きいさん」がポジテイブに方向転換させるという、ある意味ヒーロー小説。そして、最後に全員参加のイベントが、「きいさん」とその仲間で開催され、めでたしめでたしとなる締めで、問題を抱える我々への応援歌になる。軽いタッチで、重いテーマを描いた小説。もし貴方が灰色の人生に絶望していたら、現実に「きいさん」がいる訳ではないけれど、この本で、ちょっとホンワカするかもしれない。
東野さんのエッセイ本。お若いころのハチャメチャぶりを書かれた、とっても愉快なご本。世の中には、人生のほとんどの部分で高水準を行く人がいるけど、東野さんもそのお一人。スポーツ出来る、学級委員長にはなる、クラスの人気者、素敵な家族の面々、頭良くて創造力抜群、そしてとびっきりのハンサム、人気作家だから超高収入。こう並べると、否が応でも、読者があまりの恵まれた東野さんを前に嫉妬しそうだけど、そこがどっこい、おちゃめな東野さんに、ばっさりとやられ、ますますファンになっていしまうのですね。一環した筋の通ったアホは、素晴らしい!東野さん、ばんざい!
引越しにあたって、見つけた昔読んだ本。とても若いとき、私は児童書作家になりたかったので、今江さんのご本はそれはそれは、大事に読んだものです。そして、数世紀(!)の時を経て、改めて読んでみると、その素晴らしさに、再び感動。本当に良く書かれています。引越しの準備、移動の合間にこの3部作読みました。第二次世界大戦の前後の日本を、ぼんぼんの目を通して、限りない優しさで綴られています。読んでいる間中、素晴らしい世界に連れて行ってくれた今江さん、どうもありがとうございます。読み終わって数週間経ったけれど、ぼんぼんの世界は未だに私の心に、強く語りかけてくれます。
First of all, this book is the size of an encyclopedia, and I won’t be able to finish reading it for a long time. I have been reading since Christmas, but I still on page. 173… But it is entertaining. Rubinstein was another piano giant from the 20th century, and often compared with Horowitz. They […]
This book has been in my list to read for several years and finally I had a chance to read during this past Christmas break. He is HOROWITZ! Of course, all of us grew up listening Horowitz, and have explored his special sound. I was curious to know how the first class pianists think about Horowitz, and […]
Over the Christmas break, I read several interesting books on piano giants. This is one of them. Of course Claudio Arrau was one of the legendary pianists from the 20th century, and left so many great recordings. I personally like his Beethoven recordings. He was rather a private person. His father passed away when he was […]
I have owned this book for a while, and with my curious mind, I opened it again. Yes, it is very interesting, and very useful for many aspects in piano teaching in all levels. Chapter 25: “Great Pianists of Today” has very valuable quotes from first class pianists for their experience in piano lessons and performances. […]
林さんらしい、一冊。お洒落で、トレンデイーで、お金を沢山持っている人達が沢山、ワサワサ出てくる。そしてそれに価値を置かないようでいて、しっかり置いているのが、林さんらしい。そして、こんなカッコ良い女性、現実には絶対いないだろうなあ、と思うのだが、そういう女性が登場。太陽のようなスーパーウーマンの志帆子と、その周りにいる惑星の男性人達。潔さ、直球だけの人生、そしてとてつもないエネルギー。結果的に言えば、ハリウッド映画調に正義が勝つので、かなり非現実っぽい。しかし、林さん、超売れっ子作家!絶対退屈させないし、中毒のように、読み出したら、止まらない。
お馴染みの、湯川先生活躍シリーズ。化学を駆使して、謎を解決していく。全部で4話入っているが、第2話の中にとっても良いことが書かれているので、引用しますね。119ページ「人の意見に耳を傾け、自分のやり方や考え方が正しいのかどうかを常にチェックし続けるのは、肉体的にも精神的にも負担が大きい。それに比べて、他人の意見には耳を貸さず、自分の考えだけに固執しているのは楽だ。そして楽なことを求めるのは怠け者だ。・・・」まさにその通り。湯川先生、今回も良いこと言う!