Book Reviews (マイブック評)
軽く読めちゃって楽しい、そして主人公に結構のめり込んで、一生懸命になれる。石田さん、さすが、ヒットメーカーだけの事はあります。これはシューカツだけじゃなく、人生のいろいろな岐路に立つ、すべての人にお薦めの、「がんばれ!貴方にも出来る」小説です。でも、あんまり面白くて、自分のやるべき事をお忘れにならないように。
長いこと椎名誠さんの本を読ませてもらっているけれど、この本は集大成的な意味があると思う。椎名さんのファンなら分かると思うけれど、椎名さんお得意の表現にちりばめられ、彼の仲間達が元気に登場し、大騒動を起こしつつ、友情完結的な(特に巻末の登場人物のご意見など)感じで終わる。椎名さん、一切ぶれるところなく生き続け(もう70歳くらいなのでは??)、なお現在もぶっちぎりのエネルギーで、遊牧民たちを引っ張っていく貴方は、素晴らしすぎる。こういう先輩がいると、元気が出て、毎日こなしている仕事が少なすぎるぜ(これでも、結構沢山の事同時にやっているのだけど)、と感じてしまう。明日から5月、今年も後7か月、努力邁進していく所存です。
After seeing the recent movie about Seymour Bernstein, I read this book to follow. First of all I could not find the original book in English (of course!) so I checked out the book translated in Japanese at the LA Public Library. I must say the translation is not good unfortunately. The language is not […]
何という冒険物語だろうか。夢がある。パワーがある。涙がある。愛がある。勇気がある。我々にとって、生きる糧になる源だ。誰もが憧れる、「生」がある。この本には、何の説明もいらない。そにかく、読んでください。
東野さんのすごい才能で、読者を強く引っ張っていく、かなりの長編だ。そして、ホテル業界の奥へ、ずんずん入っていく。そこで、起きる数々の人間ドラマ。事件だけでなく、ホテルの日常をドラマチックに書いている。面白いし、やめられなくなるのだが、結末というか、事件の動機が、私にはちょっと弱い気がした。450ページの本を読み進むと、それなりに愛着が湧き、最後への期待感が膨らむもので、長旅を共にした本の最後が、「こんな動機で、大それた事件を起こすだろうか・・・」という感じ。でも、東野さんの文章力のすごさに、私は今回も魅了され続けた。
この噂の女は神出鬼没。いろいろな人の暮らしの、あちこちに出てくる。そして、とても強欲で、図々しい。又、頭も相当良い。色仕掛けで、次々に男を手玉に取る。ようするに、ハチャメチャなのだ。その噂の女に、私は筆者の強い愛情を感じてしまう。何か不思議な小説だ。
日本人の心の襞を書かせたら、この人に勝る人はいないのでは・・・東芝日曜劇場のために書かれたコレクションから、この本には3作入っている。昭和50年代前半に書かれたものだ。でも、全然古くない。そして、ユーモアたっぷり。昭和の家の感じ、家族の在り方、服装、食事まで、目の前に飛び出してきそうだ。本当に惜しい人を、早くに亡くしてしまったものだ。今もし生きていらっしゃったら、80代。どんな本を書いているだろうか。
まさにタイトル通りの、お話。不倫も出てくるし、若さの悩みも出てくるし、尽きるところ、人間のまあ本質で、「裏表」があるって事かなあ。そして、心の中は秘密で、恋人とも付き合い、親子とも生活を共にする。「文学的・哲学的尾行」が、本の大テーマ。これって、ちょっとカッコ良いよねえ・・・だけど、のぞき見趣味とどう違うのかなあ。言葉の綾??お話自体はとても素敵なのだけど、二重生活という本のタイトルと、文学的・哲学的尾行との間に、深い溝がある気がしてしょうがない。
新聞連載を、加筆して刊行された、超大作。いろいろな時事問題が織り込まれ、思わず惹きこまれてしまう。もちろん、宮部さんの類まれな才能、洞察力、深い勉強に支えられている事は、言うまでもない。裁判所の競売に絡まる問題がメインになっているのだが、現在に生きる一筋縄ではいかない家族性、男女関係など、ミステリーを基本にしながら、深く切り込んでいる。私自身も、昨年3回目の家を購入したので、この辺のことは多少勉強し(もちろん日米の違いはあるが)、問題点など大いに共感した。子供の切なる声から、高齢の方々の老後の過ごし方まで、言ってみれば、すべての人に関わる問題が、一冊にまとまっていると言っても、過言ではないと思う。必読の長編一冊である。
新聞連載小説に加筆修正された、長編小説。はっきり言って、とてもおもしろかった。江戸時代最後の将軍になった徳川慶喜に嫁いだ公家の姫、美賀子。徳川幕府が崩壊し、明治維新が始まった時代の今まであまり触れられることのなかった歴史に焦点を当てた小説。女性の視点から書かれ、世俗から離れた公家の姫が、「普通」の人になっていく姿を描く。もちろん、どんなことも、焦点の持って行き方によって、話の展開は大きく変わる訳で(離婚協議が良い例)、これが、男目線で、慶喜から見た美賀子を描いたら、また、それも面白いかも。明治維新の歴史について、新しいことを学んだ気がする。