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Book Reviews (マイブック評) つばさよ、つばさ 浅田次郎 小学館 5/23/18 May 23, 2018

さすが、浅田次郎さん!これは、JALの機内誌に掲載されたエッセイを、加筆、修正されたもの。ユーモアたっぷりでありながら、鋭い社会批判から、ペーソスまで。実に浅田さんの大才能を垣間見る、素晴らしい本です。「キャビアは怖い」の章では、ホントかいなあ。。と読者を唸らせたり、「黄門伝説」の章では、肛門から、黄門にすーっと繋げ、黄門様の歴史まで述べてしまう、あっぱれぶり。「小説家の午後」では、いくつものエッセイになりそうなくらい話題をぎゅう詰めにしつつ、さくっと完結させる。まあ、変幻自在のエッセイ集なのです。機上で、こんなエッセイに出会ったら、ほこっとした気持にさせられること、間違いなし。陸の上でも是非読んでもらいです。

Book Reviews (マイブック評) 短編集 2冊 素敵な日本人 東野圭吾・霞町物語 浅田次郎 5/7/18 May 7, 2018

全く異なる2冊の短編集。どちらも、大変面白く読みました。まず、「霞町物語」から。私も遅ればせながら、お相撲を愛する江戸っ子(少なくとも、4代目)。下町ではないけれど、親戚一同ほぼ全員東京です。物語は、古き良き時代の東京。洋画で言えば、イングリット・バーグマンの美しい顔が、ガス灯に霞むような風景。カッコつけしい(完璧に化石化した表現!)の若者の、心温まる日常の数々を描いています。主人公は、写真館の息子、僕。その周囲で巻き起こる騒動と涙。家族の愛。携帯電話の世には起きようもない物語でしょうね。短編集だけど、それぞれに連続していて、昔の写真アルバムをめくっていく感じです。そして、東野圭吾さんの「素敵な日本人」。9編が入っていて、それぞれに全く異なる題材とアプローチ。ミステリーが主体の、大層凝った趣向の短編集ですよ!短いお話の中に、読者を驚かせる瞬間あり、ほろっとさせる瞬間あり、社会現象への定義あり、愛情あり。。と、東野さんの才気があふれています。とても楽しめました。しかし、私の中での東野圭吾と言えば、「手紙」と「赤い指」。思い出しただけでも、涙する、人間の心に深く迫る名作ですね。閑話休題!この短編、2冊、是非手に取って見て下さい。そして、まだ「手紙」と「赤い指」、読んでなければ、こちらも是非読んで下さい。

English Blog A Movie “Godard mon amour” 5/3/18 May 4, 2018

It is a very interesting idea to make a movie about the living filmmaker?? And this filmmaker is not an ordinary one. It is Jean-Luc Godard (played by Luis Garrel). The film covers the period of the 37-year-old Godard’s marriage to the 19-year-old actress Anne Wiazemsly (on whose memoir it’s based) and the unsettlement of French students […]

Japanese Blog (日本語のブログ) A Movie “Oh! Lucy” 「オー・ルーシー」 5/3/18 May 3, 2018

この映画、飛行機の中で鑑賞しましたが、寺島しのぶの演技に圧倒!もうこの人は、演技をする為に生まれて来たとしか言いようがないです。周りを固める役者達も、確かにすごいけれど、この映画、寺島しのぶがいなければ、成り立たなかったでしょうね。はっきり言って、寺島しのぶ演じるところの超根暗の独身会社員(今風に言えば、アラフィフって、言うのかなあ。。)が、ひょんな事から奇妙な英会話教室に通い、そこから自分を爆発させる事になるお話。現実感ありありのところと、こんな事絶対有り得ない!というところが、不思議に絡み合って、度迫力の映画になっていますよ。開き直りとも違う、厭世観とも違う、個性というにはちょっとおぞましいこの女性。大爆発を経て、「愛」に辿り着くところが、救いとも言えるし、多分現実では、有り得ないフェアリー・テールというのかも、ね。絶対見る価値あり!

Japanese Blog (日本語のブログ) 石原裕次郎の映画  4/26/18 April 26, 2018

TVジャパンで、昨年暮れ石原裕次郎の映画がいくつか放映されたので、いつか観ようと思って録画。正しい判断でしたね!時間のある時に少しづつ見て、改めて、「昔の映画」の良さに感動しました。まず、女優陣の美しさ!気品があり、凛としている。アメリカ映画でいえば、グレース・ケリーとか、ヴィヴィアン・リーとか。女優という特別感がとても良い。完璧に一般人と違う人種。それで良いのです!「銀幕のスター」そのものです。もちろん、裕次郎のすごさは言うまでもない。時にお茶目で、時にクール。時にヤンチャで、時に寂しげ。長身で可愛くって、そりゃあ人気があって当然だ!また、小道具や背景が、すごくアートで、CGやテクニックを超える、カッコ良さがある。昔の衣装も素敵。プチ整形とか、携帯アプリで簡単に顔を美顔、小顔にしてしまう現在。小手先のテクニックと、「嘘感」にあふれる今。シンプルだけど、「ほんまもん」に心安らぐ一時でした。

English Blog Learning American Culture from TV 4/26/18 April 26, 2018

When I was a child I loved to watch American dramas on TV. Especially I liked “Bewitched”! But amazingly the Japanese title translated from English title was “My wife is a witch”. It already shows the huge culture gaps! I thought Samantha was beautiful and Darrin was a kind and gentle husband. Their house looked […]

English Blog Sir Andras Schiff at Disney Concert Hall 4/10/18 April 11, 2018

It has been for few years since his last appearance in Los Angeles and all of us were looking forward to attending the concert. This time Sir Andras is traveling with Bosendorfer and his piano technician. His program was all of my favorite including Brahms’ late works, ops. 117, 118, and 119. I have treasured […]

Book Reviews (マイブック評) 女の一生 キクの場合  遠藤周作 講談社 3/24/18 March 25, 2018

久しぶりに遠藤周作の本を手に取り、改めて、遠藤文学の深さに感動を覚えている。新聞小説として1980年から81年にかけて、朝日新聞に掲載されたもの。キリシタンを題材にした、朝、新聞を広げた時に読むには、かなり残酷、残忍だと思われる表現も沢山あり、かつ、その「愛」の深さについて、問うた小説。感動、感動。遠藤周作がその生涯をかけて取り組んだ、「日本のキリスト教」。情けなく、狡猾、弱く、みじめな伊藤の「どうしようもなさ」と、その対象にある、強く、一途で、芯がゆるがないキクの清々しさ。キクは、クリスチャンではなく、反発もしているのだけど、何故か大浦天主堂にあるマリア像にいつも語り掛ける。それは、時には「どうしてくれるんだよ!」という批判であり、愛の告白であり、嘆願である。人の人生の長さは、とても限られている。それを貴方はどう考える?どう生きる?

English Blog Johann Sebastian Bach – 333rd Birthday! 3/15/18 March 16, 2018

Have you noticed J. S. Bach will celebrate his 333rd birthday in few weeks! All of pianists (including me!) grow up with substantial amount of Bach’s music. We start with Notebook for Anna Magdalena Bach, then Inventions and Sinfonias. When I finished 15 inventions my teacher told me that I need to study all of […]

Book Reviews (マイブック評) サラダ好きのライオン 村上ラジオ3  村上春樹 マガジンハウス 3/15/18 March 15, 2018

世界の村上が、こういう風に日常を捉えているのか・・・と、不思議な感じがするものの、何故かその「普通さ」に納得するのですね。音楽家も、ステージ上の自分と、日常の自分というのは、かなり違うし、まあそういう事なのかと、思っていますが。しかし、やはり私の中では、どうしても「世界の・・・」という気持が先に立ち、街角で会ってもおかしくない叔父さんというのが、受け入れ難い!相反することを、平気で言っています。すみません。でもきっと村上さんって、几帳面なんだろうなあとは、思っています。「ノルウエイの森」(これは私の大大好きな本です)の中には、アイロンがけのシーンが出てきて、それがとっても自然。見た事もないけれど、村上さんのシャツは、きっとピシッとしているに違いない。確信です!ああ、申し遅れました!この本は、村上さんのエッセイ集ですよ。いくつかとってもチャーミングなものがあるのですが、「献欲手帳」最高!大橋歩さんの挿絵(銅版画)が、良い味を加えているのは間違いなし。貴方も是非読むべし。