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サロメの世界に浸ったここ数日。フィクションなのだけど、何だか自分もロンドンの町を闊歩して、オスカー・ワイルドや、ビアズリー姉弟とサロメを語っている感じ。強烈な小説である。オスカー・ワイルドの小説を読んだことがなくても、オーブリー・ビアズリーの挿絵は見たことがあると思う。一度見たら、決して忘れないサロメのイメージを、深く我々の中に残す空恐ろしい絵の数々。特に、サロメがヨカナーンの首を持っている絵は(この本の表紙にも使われている)、不思議な笑みが狂気の世界を映し出す。サロメを中心に、芸術に突進するオーブリーの才能と、それを支える姉のメイベル。ワイルドを取り巻く人間関係と、当時のロンドンの街が、独特の世界観で書かれた原田マハの力作。
再び、湯川、草薙、内海のコンビで、町の人気食堂の看板娘の失踪、殺害の謎に挑む。複雑に絡む復讐劇と、20年前から続く怨念の事件。狂気に狂った殺害者の背景から、今に至るまでの殺人記録。将来を嘱望された娘が殺害されなければいけなくなった経緯を、湯川の頭脳で紐解いて行く。殺人者は特定されているのに、何故かそこに手が届かない。そして、最後のどんでん返しのドンデン返し。いつもながら、東野さんは、我々の気持ちを捕まえて、最後のページまで、ハラハラ、ドキドキで読ませてくれる!
It is a fantastic movie. Human being is vulnerable and precious. How wonderful we are! It is a biographic (not a true story) movie of a celebrated director, Pedro Almodóvar. He wrote and directed this movie. Every so often in “Pain and Glory, ”Salvador Mallo (Antonio Banderas), a film director in his physical decline, closes his […]
アメリカ中西部には頻繁に行くけれど、まだこの美術館には足を向けたことがない。チャンスがあれば、是非行ってみたいと思う。まさに、美術館とそれを愛して止まない人達の、「奇跡」のお話し。原田さんのアート愛が、ひしひし感じられる一冊である。一枚のセザンヌの絵を巡って、お話しは始まり、終わる。本の表紙にその絵、「画家の夫人」があり、我々読者に、語りかける。様々な人の絵に対する、解釈、思い入れが章ごとに描かれ、我々読者も深く絵の中に入って行く。読み始める前に見た「画家の夫人」と、読後に見た「画家の夫人」は、心なしか違う人のようにも見える。一枚の動かない「絵」が、こんなにも雄弁であるとは・・
私の中では、この本は「Best of 2019」。余りの魅力に、今でも私の頭はクラクラ!このスピード感。お洒落なチャラ感。超どでかい才能とそれを受け入れる愛。激しい思い込みと、集中。アートを愛して止まない、原田マハさんの、渾身の一作だ。現実に東京であった展覧会と原田さんがこの本を執筆なさったパリの「idem」。設定も素敵だし、本当に飛んでいる!私もフランスには、親しい友人もいるし、割と行っているし、何だか他人事とは思えない。わあ・・・心ごと、鷲掴みにされた私。最高!
「父さんは今日で父さんを辞めようと思う。」という冒頭の一文。どう思います?淡々と言わせているけれど、実はとっても深くて、重い。ここに至るまでの、「父さん」の葛藤いかに!そしてもちろん、次のページに「父さんを辞めるってどういうこと?」という娘の言葉が続く。この本は、この大きくて、でもどこにでも転がっている、基本的な役割から自由になること。そして、不自由になること。そして気持ちの伸縮性というのか、自分感というのか、つまりは、「愛」に完結される、と私は思うんです。素敵な本ですよ!
望郷という言葉から自然に浮かぶ、暖かな想いと裏腹に、その奥底に潜む様々な状況を、時にはダイナミックに、時には切なく描く。そして、最後のどんでん返し。誰もが予想もしなかった(多分!)展開に驚くも、そうか・・と納得。全てのパズルが、はまるところに収まる。凄腕の書き手、湊さんの秀作だ。
I have been practicing and polishing Mozart’s concerto No. 9, which is one of the first master works by Mozart, for the opening concert of 2019-2020 3rd@1st concert series. I have been trying to play with perky and transparent sound, and with true finger legato. It is not easy. It requires a great care for […]
95歳で書き上げたというのが、謳い文句の小説。ご本人もインタビューで、宣伝文句に95歳が強調しすぎている・・まあ、売れるためには・・などとおしゃっていますね。「作家」という職業の業というのか、ペンに命を注ぐ作家仲間の人生が、生々しく、そして、真摯に書かれています。生きることが書くこと、人生のパートナーも書くことの一部。全てを巻き込んでの、作家人生。河野多恵子と大庭みな子の両作家との交友録も、その幅の広さ、苦しさも入れた正直さに、こちらも胃が痛くなるよう。作家業に生涯を捧げた95歳の瀬戸内寂聴の叫びが、こちらにもひしひしと伝わって来ました。
物語とは言え、こんなに人から想ってもらえたら・・・と、「ラブストーリー大賞」に輝いた作品を、少女に帰ったような気持ちで読みました。沖縄の持つ不思議な魅力に、朴訥な主人公のキャラクターが絡まり、シーサーが待つ横丁を歩いているような気分に。現実味のない設定ゆえに、こちらの想像力をうんと駆り立てます。しばし、ラブファンタジーに浸りたいなら、お薦め。文章のテンポもとても良いですよ!