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Book Reviews (マイブック評) 昼田とハッコウ 上・下  山崎ナオコーラ   講談社文庫 9/19/20 September 19, 2020

山崎ナオコーラさん、いつも「何をやってくれるか」と、次作を読むのが本当に楽しみ。今回も、非常にユニークなシチュエーションです。「本屋さん」の話しらしいとなれば、本好きの我々は飛びつく。そこには、「アロワナ」という大魚が主の、町の本屋さんがある。「アロワナ書店」は、家族経営・・。と段々に、本の中に入っていく。昼田とハッコウは、血の繋がらない兄弟。大の仲良しだけど、全く正反対の性格である。昼田は、自分が真っ当な人間で、ハッコウが外れ者だと思って生きて来た。因みに、昼田、大卒、ハッコウ、高校中退。昼田、都心部の優良企業で働き、ハッコウ、「アロワナ書店」勤務。昼田、いつも綺麗な格好、ハッコウ、だらしない格好。 家族の関係が変化し、昼田は会社を辞め、「アロワナ書店」で働き始める。そこから、昼田の「人として生きる事」を考える、旅が始まる。それは、打ち砕かれることもあるが、それだけじゃあない。自分と対話しながら、昼田は学んで行く。「アロワナ書店」は幸福寺という駅にあるのだけど、これは吉祥寺が下地になってるんだろうなあ、と想像。町のサイズもそんな感じだし、ね。昨日、ロサンゼルスにある紀伊国屋に行ったけど、やっぱり店員さん達、エプロン着けてた。日本独特の習慣だけど、とても良いなあ、と思う。節度感と親近感と。そして、いつもとても丁寧に接してくれるので、こちらも優しい気持ちになれる。「アロワナ書店」も、とても良い本屋さんですよ。

English Blog 6 months after COVID19 Lock Down 9/11/20 September 11, 2020

Today is exactly 6 months after my last concert with a live audience. I have gone through so many stages, shocking, lost, nervous, anxious, finding a way, keeping hope and purpose in life, and connecting with people. I have taken photos along the way. Today I am hopeful to start planning for the future. But definitely we will live […]

Book Reviews (マイブック評) クスノキの番人 東野圭吾  実業之日本社  9/1/20 September 1, 2020

東野さんのご本のファンになって、もう久しい。様々な登場人物がいたと思う。今回は、そう、大きな大きな「クスノキ」が、主人公である。この楠、普通の樹木ではない。大層不思議な力を持っている。新月と満月の夜に、「クスノキ」は我々の祈念に耳を傾けてくれる。そして、一つの家族が、長い年月受け継いで来た「クスノキ」の番人という仕事。これも、この本の大事なキイポイントだ。「番人」は、ただの守り人ではない。祈念する人々の、心の番人だ。そして、祈念に来る人は、意を決し自分に素直になって、「クスノキ」の祠に入る、そして祈念する。その祈念には、特別な蝋燭が必要で、この本を読んでいると、その芳香が身辺に漂うようだ。とてもスーパー・ステイシャスなのだが、その浮世離れ感が、逆にとても良い。テンポ感も良い。人間の方の登場人物達が、祈念という概念の中で、己の道を見つけて行く。感動の長編である。

Book Reviews (マイブック評) 炎上する君  西加奈子  角川文庫  8/19/20 August 19, 2020

これは、又、何と、変幻自在、無限のイマジネーション。新しい、西加奈子です。非現実の世界を描きながら、痛いほど、グングン心に届く短編集。フェチ感溢れる「私のお尻」かと思いきや、「ある風船の落下」のように、全宇宙を相手に、壮大なドラマを繰り広げる。改めて、西さんの引き出しの多さに、感服です。又、持ち前の、きっぷの良さや、潔さも、加わり、正に読み応え十分。そして、現実の山崎ナオコーラまで、登場するという、本当に何があっても不思議ではない世界観。其々大変短い8編ですが、そのどれも似て非なるかな。どうやって、編み出しているのか。未だに、ちょっとショック状態から、抜け出せない私です。インパクトの大変大きい短編集。

Book Reviews (マイブック評) 奇跡の人 原田マハ 双葉文庫 8月8日 August 8, 2020

原田マハさんのご著書で、期待外れという事は、一回もない!というか、毎回、感動である。この「奇跡の人」は、有名なヘレン・ケラーとアン・サリバンのストーリーを、日本の明治に移し、青森県弘前でのお話しにしている。もしかしたら、「いたこ」にヒントを得たのかもしれない。「ボサマ」(津軽地方の旅芸人のこと。多くは、盲人男性で、時として女性・子供も加わり、三味線を弾きながら家々をめぐり、米や小銭を恵んでもらう)かも知れない。津軽地方では、「門付」といい、明治の貧しい時代でも、自分の食べる分を削っても「ボサマ」を助けた。その中には、大変才能のある、ミュージシャンもいたのである。そこから、明治政府における「人間国宝」「無形文化財」の設置という所に持って行き、「ボサマ」の一人、狼野キワが、それを受賞する。そして、キワと、ヘレン・ケラーの日本版、介良(けら)れんとの、友情に持っていく。介良れんは、三重苦で、それを、去場安(さりば・あん)が、強烈な意思で、教育していくのである。去場安は、決して負けない。当時の、最上流階級に属し、9歳の時に、岩倉使節団とアメリカに渡り、22歳までの13年間をアメリカで教育を受け、何不自由ない状況であったが、自身も弱視であったためか、介良れんの教育にのめり込んだ。三重苦の為か、介良れんは自分をコントール出来ずに、6歳で去場安に出会うまで、家族から動物扱いで、蔵に閉じ込められていた。とまあ、ヘレン・ケラーとアン・サリバンのストーリーが、ベースになっている事は、明らかである。しかしそこが、原田マハさんの、才能である。明治の弘前の出来事にしてしまい、それが、何の不自然さもなく、逆に、新鮮でさえある。津軽三味線の音が、どこからなく聞こえて来る、「奇跡の人」。人間の持つ、深い可能性。人間としての尊厳。物語としての抜群の面白さ。是非、読んで見て下さい。

English Blog A Movie “Canaletto and The Art of Venice at The Queen’s Gallery, Buckingham Palace” – Exhibition on Screen 12/4/17 August 8, 2020

I enjoy Laemmle’s “Exhibition on Screen” Culture Series! It was shown at Pasadena location. This movie depicts an immersive journey into the life and the art of Venice’s famous view-painter, Giovanni Antonio Canal, better known as Canaletto. No artist better captures the essence and allure of Venice than Canaletto. The remarkable group of over 200 […]

Book Reviews (マイブック評) 屋根をかける人 門井慶喜    角川文庫  8/7/20 August 7, 2020

最近、この歴史小説という分野にとても惹かれる。歴史上の大人物を題材にしている訳だから、役者に不足はなし。そこに。作家のイマジネーションが入り、「伝記」という枠から大きく離れ、独自の世界観に連れて行かれる。スパイスも熟成も、お好み次第!「屋根をかける人」は、明治にアメリカから伝道を目的として来日したW・M・ヴォーリズの、日本での一生である。一風変わった、しかも世間を少しハスに見る青年が、大事業家へと成長していく過程を、真摯に、かつエネルギー全開で、書かれている。明治の時代から、第二次世界大戦前後の動乱、復興と共に、つまり、日本の西洋化、国際化への道を、外国人(その後日本へ帰化)として、歩んだ。数多の苦難を乗り越え、成功を納めたヴォーリズ。彼は、建築家として、日本津々浦々どこまでも、声がかかれば、家、教会、社屋を建てて、建てて、建てまくった。そして、実業家として、近江兄弟社のメンタム(メンソレータム!)の輸入販路を確立し、日本にメンタムを浸透させたのである。そして華族出身の妻との二人三脚も、素晴らしい。本当に、「話しに困らない」大人物なのだ。しかし、何という事か、私はこの本を読むまで、ヴォーリズという人物のことを、全く知らなかった。門井慶喜は、ヴォーリズと昭和天皇との短い逢瀬(!)から、この感動の一冊を書いた。読み応えのある、長編である。

Book Reviews (マイブック評) 夢にも思わない  宮部みゆき 角川文庫 1/3/18  August 7, 2020

久しぶりの宮部みゆき。一時はまって、昼も夜も「宮部みゆき」病にかかっていたけれど・・ 90年代の作品だから、学生達の日常が、今と全く違う。コンビニに行って、ガールフレンドに電話をかけたりするし!悪い評判が立っても、それは、クラスルームの中だったり、学校だったりで、ネットの恐ろしさはないし。だけど、人間の気持ちはいつも一緒。そして、日本人特有の性格も一緒。 これは、島崎と僕の探偵物語。陰惨な殺人事件の裏に、見たくない真実が隠れている。中学一年生で、これだけ「深読み」が出来る子はまずいないと思うけれど、設定としては面白いよ。そして、ストーリーの展開が抜群!「日本的な可愛い女子」の弊害と、その「可愛さ重視」の社会を支える、男子の視点と思い。最後のメッセージは、まさに「夢にも思わない」!

English Blog The 75th Commemoration of Atomic Bombing in Hiroshima and Nagasaki 8/5/20 August 5, 2020

This week is the 75th Commemoration of Atomic Bombing in Hiroshima, August 6th, and Nagasaki, August 9th. Hear my voice and grant insight and strength so that we may always respond to hatred with love, to injustice with total dedication to justice, to need with the sharing of self, to war with peace. O God, […]

Japanese Blog (日本語のブログ) 相撲は、ドラマだ。8月2日 August 2, 2020

昨日、15日間の7月場所が終了。涙の照ノ富士の優勝が決まった。こちらも、もらい泣きである。どれだけの、困難があり、葛藤があり、ここまで来た事か。。一時は、車椅子での移動に頼っていたという力士が、優勝である。度重なる怪我と再出場を重ね、カド番も何度か経験し、そして、最終的に序二段まで陥落。優勝インタビューで本人も言っていたように、横綱に近いと言われていた大関経験者が、序二段力士として生きる事。その葛藤に勝ち、地道に、自分に負ける事なく努力を重ね、ここまで来た。千秋楽の御嶽海戦に勝った時に、天を仰ぐようなポーズを見せた。とても力強く、良い顔をしていた。同部屋の照強が朝乃山を足取りであっけなく破った段階で、この優勝はほぼ決まっていたのかもしれない。照強の毅然とした物言いに、照ノ富士の援護に回るのは、当たり前という、感があった。 私の中での相撲観戦は、その力士だけではない。親方、その部屋の傾向、同部屋の力士達、相撲中継のアナウンサー、そして解説の親方衆。更に言うならば、部屋の親方の現役時代の取り口など、全てを引っ括めて。千秋楽の十両の巴戦での、立浪部屋の3人の力士達の態度が、その顕著な例だ。切磋琢磨し、お互いに支えながら、毎日を共にしているのが、とても良く分かった。これは、立浪親方の人柄とも、共通していると思う。私は、この3人の友情に、涙。。。北の富士さんが、親方と弟子の関係は、「子供であり、恋人だ」、とおっしゃっていたけれど、ご本人も大横綱で、二人の大横綱を育てたご本人の口から出た言葉は、とても説得力がある。 毎場所の事であるが、場所終了後は、数日「相撲ロス」に見舞われ、ガックリ。同胞のT子女史との、携帯片手にテキスト(日本のラインと同じ)の応酬観戦とも、しばしのお別れである。怪我の力士もいるが、夏巡業が中止なので、ゆっくり静養して、9月場所に備えて欲しい。朝乃山の綱取りも、近いと思う。今場所の経験から、正攻法だけではなく、裏を読み、柔軟に対処する相撲を身に付ければ、鬼に金棒だ。大ちゃんの定年に間に合うかどうか。。立浪部屋の明生が幕に戻ってくる。そして、千代の国が幕下全勝優勝で、関取にカムバック。これにも、涙。。相撲は、ドラマである。9月場所の番付けは、今月後半に発表されるらしいが、それを楽しみに、しばし相撲談義ともお別れです。