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この本を、面白くない!という人はいないでしょう。様々な分野で大きな影響力を持つ瀬戸内寂聴さんと、著者の父、大作家の井上光晴との不倫を書いているのだから。三角関係(!)の2辺を成す、著者のご両親は既に他界。外堀を埋める瀬戸内寂聴さんだけが、ご存命という中で書かれ、瀬戸内さんからも絶賛を受けたこの本である。携帯もインターネットもなかった頃の恋愛は、それはたおやかであった。電話、手紙、そして会いに行く、という段階のみである。文中から、「昭和」の美しさも漂う。鋭い観察力と洞察力で、ご自身の両親の恋愛からセックスライフまで書き込んでおり、さぞや難しいかと思いきや、何かのインタビューで、「・・小説の登場人物なんです。だから、この三人の事実を書いたわけでなくて、私にとっての、この三人の真実を書いたんだなって思います。」と、お答えになっている。又、「執筆中は、クタクタで寿命が縮まった気がしましたが、それだけ本当に、自分が書ける精一杯のことをやりました。」とも、仰っている。この三人の真実も素晴らしいのであるが、日常のさり気ない井上家の食卓風景も、私は大好きである。著者のお母様は作家でもあったが、一流の料理人であり、母であり、妻であった。「あちらにいる鬼」、素晴らしい小説である。
「楽園のカンヴァス」は、ー芸術への愛を語るーこの一言に尽きるのでは・・ そして、何重にも張り巡らされた伏線を、一つ一つ紐解いていくミステリー術も兼ね備えている。叡智と秘宝、出世欲にライバル心、恋愛に家族愛。人間の持つあらゆる感情を込め、最後は「真の芸術」の前で、涙を流し平伏す。早川織江とテイム・ブラウンの一騎打ち。又、この本の根底には、古典文学にも通じるような、たおやかさと雅が備わっている。原田マハさん、又やってくれましたね。
大栄翔関には、心から「おめでとう』と言いたいです。優勝インタビューも衒いがなく、真っ直ぐな性格が出ていて、ホッコリ。時には、作り過ぎた優勝インタビューもある中、お客様に阿る事もなく、受けを狙う訳でもなく、正直な気持ちが相撲ファンの我々の心に、直球で届きました。15日間を通し、力強く、そして安定した相撲を取った大栄翔関。これからの益々の活躍が、本当に楽しみです。そして、ご家族の夢を叶え、親孝行が出来た大栄翔関、本当に嬉しそうでしたね。埼玉のご家族、県民の皆さんにも、ここロサンゼルスから祝福を送ります!おめでとうございます。 物議を醸しながら始まった初場所で、私自身もこんな状況で開催して良いのか・・と批判していたのですが(!)、いざ始まれば、もう相撲の虜に。15日間フルに楽しませて頂きました。もちろん、コロナ感染で部屋ごと休場したところは、本当に気の毒でした。休場の力士達、どんな気持ちで毎日場所をフォローしていたのでしょうか。又その逆に、出稽古が出来ない状況の中、部屋に沢山関取を有している部屋の力士達は有利ですね。それは仕方がない事。そうでない部屋の力士にも、できる範囲での奮起を期待したいです。頑張って!角番を脱出した大関二人には、これをバネに、責任を持って相撲界を牽引して行って欲しいです。二人とも、体に恵まれ、才能に恵まれているんですから・・照ノ富士関には、本当に頭が下がります。春場所での大関復帰も手中に。大関に復帰した姿を是非、我々に見せて下さい。北の富士さんも絶賛する美しい奥様の支えで、「ここまで来られた」と、おっしゃっていました。そんな時の関取の顔は、幸せいっぱい。こちらも、幸せのお裾分けを頂きました。 世代交代が、はっきりした場所でもありました。技能賞受賞の翆富士関、明生関、琴ノ若関、隆の勝関、阿武咲関など。もちろん、ベテラン勢も負けてはいませんよ。今場所を沸かせた「パンの山」の明瀬山関、宝富士関、妙義龍関など。逸ノ城関と志摩の海関の活躍も忘れてはいけませんね。沢山の力士が休場を余儀なくさせられた2021年初場所。とにかく、千秋楽まで無事に終える事が出来て良かったです。批判を受けながらも、コロナ禍への対応を万全にし、果敢に場所開催に踏み切った日本相撲協会には、心より感謝申し上げます。15日間深夜の相撲観戦、スモ友のT子女子と携帯片手にテキスト(日本でのライン)の応酬、大いに楽しみました。文章の締めに、北の富士さんなら、「ここらで頂いた馬刺しでも食って寝よう」とでも、おっしゃるのでしょうね。北の富士さん、舞の海さん、そして素晴らしい解説の親方衆、相撲愛に溢れたNHKのアナウンサーの皆さん、本当にご苦労様でした。それでは、春場所で、お会いしましょう! 2021年初場所、リモート相撲愛好会
いやいや、東野さん、又やってくれましたね。パンデミックの状況を巧みに組み入れた、大変タイムリーなミステリー小説です。そして、この本、長編なんですよ。いつ、構想を練り、この本を書き始められたのかは定かではないのですが、発売が2020年の11月30日なんですね。という事は、2020年の初頭に中国から始まったコロナ禍が、11ヶ月後にまだ猛威を振るっているであろうと、予想していた訳ですね。そして、コロナ禍で、人命だけでなく暮らしが脅かされ、ビジネスに甚大な被害が及ぶ事も。凄いです。そして、私がLAでこの本を手にした2021年の1月の段階で、パンデミックは更に悪化しています。ワクチンが可能になったとは言え、まだ収束の観測は立っていません。予想が当たって勿論喜ばれているでしょうが、多分複雑な心理でしょうね。 殺人のコアになるトリックや心理的要因は、パンデミックとは関係なく設定されています。女性の結婚に対する願望と落とし罠、「有名になる」という事の意味、郷里の友人達など、誰の身にも降りかかるようなストーリー展開。そこを、東野マジックで、華やかなショーマンが登場。解決していくというものです。惹き込まれて、どどっと読んでしまいました。
Woody Allen has made 8 wonderful films with Diane Keaton. Keaton said ” He just has a mind nobody else”. It is one of them and the movie was filmed in New York! Of Course! Larry Lipton (Woody Allen) and his wife, Carol (Diane Keaton), are adjusting to a new life together with their son away […]
Chaconne, Italian Ciaccona, forms the fifth and final movement of the Partita No. 2 in D Minor, BWV 1004. It is one of J. S. Bach’s monumental works (It may not be an appropriate description because there are so many of them), and written for solo violin. The Chaconne is the longest movement of this […]
小学校3年生から、高校卒業、そして最後にエピローグとして、30歳になった現実の自分までを、それぞれの時代の一場面を切り取って描き切った、最高に面白い小説。正直にさり気なく、そして時には残酷さと戦い、敗れ、それでも、前に進む私、紀子。誰にでも、「ああ、こんな事私もしてたよなあ・」と思わせる、エピソードが沢山出て来て、つい自分の事の様に、のめりこんでしまう。人生、本当、カッコ良い事ばっかじゃない!最低にグレる中学生の紀子。お父さんの不倫。悪魔女の担任。そして、「夢」の30台が待っているのかなあ・・と、思いきや、今の自分もまだ「夢」の途中。行き先不明の夜行列車に乗車中なのだ。森さんに、今回もまんまと乗せられ、最後まで楽しく読ませて頂きました。読書の楽しみをまだ発見していない方は、是非この本を取ってみては?
前から一度は現代語訳を読んで見たいと思っていた源氏物語。パンデミックの現在は最高のチャンス!手に取ってみました。「日本人なら誰でもが知っているであろう」という、正にベーシックの域しか理解のなかった私です。紫式部が書いた、超イケメンの光源氏が出てくる平安時代の物語っていう感じ・・そこから脱却すべき、源氏物語現代語訳の出発進行です! まず、瀬戸内寂聴訳というのは、「小学校の高学年で頭の良い子なら読める」という訳者のお墨付き通り、サラッと読めます(私向き)。そして、文体の丁寧さと親近感の度合いが、とても良いですね。又、それぞれの歌に現代語訳がついているので、微妙な恋の駆け引きが、我々の感覚として伝わります。これは、源氏物語において、無くてはならないもの。風流な歌のやり取りと、香の芳しさ。正に平安朝です。そして巻末に、源氏物語系図まであり、こんがらかった頭にとても優しい構成となっています。又、訳者の「源氏のしおり」が、途中で投げ出しそうな輩に、頑張れ!と励ましのエールを送ってくれます。と、ここまでが、現代語訳に関する、感想。 内容は、とにかく凄い!光源氏、こんなに恋の直球投げてたんだと、感嘆、感嘆。現代の草食男子ではとても有り得ない、押しの強さです。そして、魅力の塊なんですね。1000年も昔の貴族の男子の身の振り方、恋の対象になる女性達、脇を固めお世話をする老若男女。登場人物計430人。現在の原稿用紙で4000枚の超大作です。これを、子持ちの寡婦である紫式部が、女性の立場として書き上げたんですよ。もう頭クラクラ、心ワクワクです。箒木の帖に出てくる「雨夜の品定め」が、最高に面白い!女性経験から、女性論へと発展する、恋の処世術です。頭の中将、左馬の頭、藤式部が源氏の宿直所に集まり、夜通し語り明かす、正に平安の男子会ですね。 今回は巻一で、一旦筆を置く、ではなく(!)、読む手を止めますが、徐々に先を読んで行きたいと思っています。光源氏の恋の行く末、見たいですものね!
日常の何気無い一コマから、素晴らしいストーリーを紡ぎ出す森絵都さん。誰でも人生でとても大事にしている事があり、何としても譲れない気持ちがあるものだ。それが、捨て犬の保護であったり、仏の修復であったり、高校時代の友人達との約束であったり・・其々に、深い思い入れが、「譲れなく」させているのだ。譲れない気持ちを持つ為には、強さが必要だ。そして、その強い心を持つ為に、時には犠牲が必要になるだろう。周りを傷つけることもあるかもしれない。しかし、「心の強さ」の先には、優しさが待ち、暖かさが漂う。本題になっている「風に舞いあがるビニールシート」は、圧巻だ。それが真実であるだけに、強く、優しい。アウシュビッツで、餓死刑に選ばれた男性の身代わりになった、マキシミリアノ・コルベ神父の話を思い出した。この本は、自分に向かう時間が増えたパンデミックの現在、とても読み応えがあると思う。第135回直木賞受賞作。
Happy Birthday, Mr. Beethoven, It is your 250th birthday. In honor of your birthday, I would like to send a letter to you. You reign over us, but I know you are a true human being. That is why your music speaks to me so deeply. Your music makes me cry and laugh. You often give […]