Book Reviews (マイブック評)

さくらももこ 「そういうふうにできている」

August 31, 2026

少し前のエッセイ集を読むと、時代遅れ感が否めない作品もあるが、この作品(1995年作)は、とても新鮮で感動が深い。そしてとにかく文章が上手く、並外れたユーモア、語り口が最高だ。作者の妊娠中の体験記を、10章に分けて、妊娠発覚から、誕生までの経緯を、ももこ流に書いている、時には哲学的に、時には日常のドタバタを。この本は作者の妊娠・出産体験を独自の視線と切り込み方で描いているが、人生の様々なことに、この独自の視線発想は役に立つと思う。何か一つの事に行き詰まったら、ちょっと深呼吸して、見方を変えるとホッとすることも多々あるのでは。

最後の章でご本人が書いているが、「最後にもうひとつ、私はこのエッセイを、出産を勧めるために書いたのではなく、また勧めないために書いたのでもない。ましてや何かの参考にして欲しいと思ったわけでもない。ただ単に、”妊娠・出産”という私の身にふりかかった珍奇な出来事を皆様に聞いていただきたかっただけである。だからこれを読み終えられた今、何の得るところも無かったと思うが、私のエッセイとはそういうふうにできているのである。」

私の購入した文庫は11年前に刷られたもので、何と20刷で、この本の魅力を大きく語っていると思う。