Book Reviews (マイブック評)

最後の皇帝と謎解きを 犬丸幸平 宝島社

April 15, 2026

中国の歴史に疎い私でも、清朝の廃帝、溥儀については、折に触れて知る機会があった。この本を読むことで、更に興味が増し、映画「ラスト・エンペラー」を再び観てしまった。「数奇な運命を辿った」という言葉が、これほどピッタリ来る人も他にいないだろう。贅を尽くした暮らしから、獄中生活まで、歴史の波に翻弄されながら、最後は北京植物園の庭師として勤務し、1967年に61年の生涯を閉じた。この溥儀が紫禁城に幽閉されていた時代を、ミステリーにしたのが、本作品だ。日本人の水墨画帝師、一条剛が幽閉されていた溥儀と接近。そこから、物語は始まる。中国名の登場人物が多々出てくるが、その名前が類似しており、エキゾチックと言えば良いのだが、物語を不必要に難解にしているように思った。類似した名前の宦官達が、ミステリーを解く上で重要な位置を占めているので、度々善人と悪人がクロスしてしまうことも・・・

中国の歴史が大好きな人にとっては、たまらない一冊だろうし、又私のように触発されて、この本を飛び出し興味を広げる場合もあると思う。犬丸幸平さん、2026年「このミステリーがすごい」大賞、おめでとうございます。