Book Reviews (マイブック評)
原田マハ 板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh 幻冬社
March 25, 2026
棟方志功さんは、私の憧れの芸術家で、1985年に開かれた没後10年を記念した東京国立近代美術館での展覧会に、行っている。そこで買った作品集は私の宝物で、沢山引越しをしてきたけれど、今でも大切に私の手元にある。この本を読みながら、何度も作品集を眺め、改めて、棟方志功さんの度肝を抜く才能に圧倒されている。その稀に見る才能を支えた妻・チエさんが、この本の主人公だ。その二人の出会いから再会、そして棟方さんの大プロポーズと、話は第二次大戦以前の青森から始まっていく。東京に出てきてからは、近所の草むらに生えている雑草を食事にしながらの大苦労もしたが、棟方一家はいつも明るい。無象の愛に包まれている。そこには、棟方志功の天性のユーモアがあり、チエさんの大輪のような笑顔があったと思う。
この本は、棟方志功が、「ワあ、ゴッホになるッ!」と宣言した時から、「Beyond Van Gogh」になるまでの、なるべくしてなった軌跡が、妻・チエさんの目線から、素晴らしく描かれている。そして原田マハさんの、芸術への尽きない愛情が、文章の奥から溢れ出てくるのである。是非、彼の素晴らしい作品も一緒に見ながら、読んで頂きたいです。