Book Reviews (マイブック評)

バリ山行 松永K三蔵  講談社

February 12, 2026

久しぶりに日本に帰国して古い友達に会うと、コートの季節になると、温かろうが寒かろうが、厚手のコートを着ていない私を、奇異な目で見る。きっと、そんな私と一緒にいるのが、恥ずかしいと思うのかもしれない。人様にご迷惑をかけている訳ではないので、何でなのだろうなあ、とつい思ってしまう。私にとっては、南極に行くような長いダウンのコートを着て、暖房の効いた電車に乗っている方が、ずっとご苦労様だと思うのだが、日本の枠組みの中ではそうでもないらしい。
この作家のスタンスは、素晴らしいではないか、と私は純粋に思う。純文学を書く事に、気負いがない。我が道を、一直線に進んでいる。多分どこにでもあるような日常を切り取り、MEGADETHと戦い、そして「バリ山行」へと立ち向かう。波多君は、どこか作者の半分身くらいかもしれない。文体の切れ味も良く、読むことについ夢中になってしまう。六甲山は、エベレストではない。しかし、エベレスト以上の力を発揮することもある。「バリ山行」、とても面白かったです。
改めて、「考える事」の素晴らしさ、楽しさを思った。「考えること」は、一日で出来ることではない。運動やピアノの練習のように、積み重ねていくものだと思う。発想の羽を大きく広げ、今日も沢山どうでも良い事をカンガエテ、楽しく過ごそう!
松永K三蔵さま、芥川賞受賞、おめでとうございます。これからのご活躍、楽しみにしています。