Book Reviews (マイブック評)

52ヘルツのクジラたち 町田そのこ

August 11, 2024

この本は、日本からの帰りの飛行機で読みました。52ヘルツの声で話すクジラたちがいると言う。その声は、余りに高く、仲間のクジラには聞き取れない。つまり、誰にも言っている事が分かってもらえないという事。だから、仲間に入れてもらえず、常に孤独。全てから「サヨナラ」する覚悟で、祖母の残した田舎の家に越してきた貴瑚が、自分を投影する少年「ムシ」に出会う。彼らの声は、クジラ界の52ヘルツ。誰にも届かない。でもそれで良い訳がない。辛い虐待問題が、根底に流れ続ける。でもそこに僅かな光が差し、その光が段々と明るくなっていった。愛を欲する人間が、裏切られ、傷つき、強くなり、幸せの入り口を見つけていく。2021年の本屋大賞、第1位。