Book Reviews (マイブック評)
いのち 瀬戸内寂聴 講談社
July 11, 2022
95歳で書かれた素晴らしいご本。作者の熱量が、ビシビシ伝わって来る。同世代の日本を代表する作家達との交流が、現在のご自分の暮らしとのオーバラップで、本は進んでいく。第一線の作家達の素顔(らしい、小説なので・・)を垣間見る事が出来、私に取っては未知の世界、触れてはならない世界が、目の前のページから飛び込んで来た。作家としての苦悩、喜び、そして必然性。素晴らしいの一言です。瀬戸内寂聴さん、惜しくも100歳を目前に昨年、11月に亡くなられた。その生涯を捧げて描き続けた小説というもの。ご本人にとっては、息をする事と同じ様に、なくてはならないものであったのだろう。ご冥福を祈りながら、改めて瀬戸内寂聴という大きな存在が、この世界から消えてしまったのだなあと、感慨深い。