Book Reviews (マイブック評)

異類婚姻譚  本谷有希子  講談社

June 30, 2022

芥川賞受賞作。これだけでも、普通なら大変な事であるが、作者、本谷有希子さんの才能はそこだけに止まらない。20歳ちょっとで、自分の名前を冠した劇団を旗揚げし、演出も手がけるのだ。そして、戯曲では、様々な賞を受賞していらっしゃる。是非、彼女の作ったお芝居も観てみたいものだ。そして、今までにも小説も沢山出していらっしゃるし・・

そして、この「異類婚姻譚」。実は、少し前にこの「夫婦の顔が似てくる」というテーマについて、アメリカの義理の妹と話した事がある!私達の会話の根源は、どちらかというと遺伝子的な事から始まったのだけどね。(彼女は、植物学者なので、ちなみに。)我々の会話ではないけれど、現実的にも、この「夫婦似」現象、結構あるのではないだろうか。しかし、それを小説に昇華するというのは、本谷さんだけだろう。それも、こんな濃厚なお話に。ああ、こういう文章が、大きな文学賞を取るのだなあ、と思い知らされた一作でもある。