Book Reviews (マイブック評)

ののはな通信 三浦しをん 角川文庫

December 12, 2021

私は心深く感動しています。ホント、涙なしには読めない本です。この本に関して全く知らず、本屋さんで、愛する三浦しをんさんのご著書を発見。兎に角購入(ロサンゼルスの日本の本屋さんですから、全てが揃うという事はないんです。でもあるだけ幸せ😊)。最初は、ありゃ!、高校生の文通のお話か・・と、ちょっと疑念が沸き、ページをめくる指が遅くなりがちだったのですが、あるところから、もうのめり込んでしまった。とことん「のの」と「はな」に。彼女らの、時空を超えた愛の深さ、信頼、一体感。その全てにのめり込んでしまった。書簡の往復のみで、文庫500ページ以上の長編ですよ。どの書簡も、生き生きとしていて、嘘がない。高校で出会った二人が、長い年月の間、常に文章で語り合い、気持ちを繋ぐ。途中から二人の間に「会う」事は、必要なくなっていくのだ。紆余曲折を経て、我々読者は最後の章に導かれて行くのだが、大変な状況にも関わらず、私はその最後に美しい自由を感じた。二人の想いが、昇華していく様が、行間に見える。三浦さん、とんでもない小説をお書きになった。