Book Reviews (マイブック評)

わたしたちは、銀のフォークと、薬を手にして 島本理生 幻冬社文庫

December 20, 2021

この本も、ずしーんと感動の一冊です。食べる事にこんなに一生懸命になれる日本人に生まれて、本当に良かった。季節の野菜を感謝しながら、そして感動しながら食に取り入れる我々日本人、って凄い!アメリカに暮らして長くなると、実感として思いますよ。「食」への気持ちの入れ込みがあってこその、この本。重い病い、家族の軋轢、上手く行かない恋愛、全てが「わーーーー!」となる時でも、そこに美味しい食事があり、それを愛でる心がある。素晴らしいです。鶏鍋をやって、出汁が良く出たスープで、翌日雑炊を作って食べる至福の時。ああーーーー。アメリカ社会で暮らす私と、日本人の部分が半々の時もあれば、日本人の部分が円周の5分の4位を占める時もある。こういう本を読むと、円周の色分けが、ググッと「日本人だ!」枠に占められていくのを感じますね。今年もコロナ禍で、お正月は日本に帰れず・・だから、新年に向け、刺身舟盛りとお節料理の組み合わせをオーダー。日本を胃袋から感じて、新年を迎えます。