Book Reviews (マイブック評)

青くて痛くて脆い  住野よる  角川書店

September 19, 2021

本の内容は、正に題名が語るが如し。でも・・表紙の装画は、随分と「柔らかく」「パステル」調で、本文とそぐわない感がある。基本的には、大学4年間の人間関係がテーマ。しかし、読み進めていくうちに、「青二才」というよりドーンと重くて、「脆い」というより強固で、迷いは沢山あるものの、「痛い」というより、戦いかもしれない。私にとって一番面白かったのは、現代の若者日本語。ぞんざいで、歯切れよく、男言葉も女言葉もない。微妙に摩擦を避ける、その巧みな言葉選びに、感服。そしてテンポが抜群に良い!可愛い子ぶっても、言う事はしっかり言う、ポンちゃん。董介の、巧みな話術とコミュケ(私にとって新しいボキャブラリ)能力。僕はと言えば、孤独を気取りながら、しっかり就活をやり、内定も取る。「青くて痛くて脆い」のはやっぱ、「ヒロ先輩」かもしれない。どんでん返しもあり、「ええ〜!」となる場面ありで、我々読者は、マンマと作者の罠にハメられる。住野よるさんの御本、一度手に取ってみては?