Book Reviews (マイブック評)
彼女の恐喝 藤田宜永 実業の日本社
July 7, 2021
藤田さん、最後の作品。何が真実で、何が作られた悪なのか。屈折しつつも、あっけらかんと自己愛を貫く主人公、圭子。ミステリー性を大いに含んだ、ロマンス一杯のストーリーです。きっと、お病気の状態も悪かったのだろうけれど、こういうエンタメを産み出してしまう作家という職業。凄いですね。逆に言えば、ストーリーを頭の中で考え巡らせる時間が、病とは別の次元にあり、それが生きる糧になるのかもしれない。藤田さんの素敵なお姿を思い浮かべながら、本を読み進めました。ご冥福をお祈りします。