Book Reviews (マイブック評)
まぐだら屋のマリア 原田マハ 幻冬舎文庫 10/1/20
October 1, 2020
料理好きの私は、食を愛する話だと、安心する。食事は大事だ。体だけでなく、心も作る。高級料亭「吟遊」での偽装事件と、最果ての地、「尽果」にある小さな食堂「まぐだら屋」。この対照的な場所が、人間を狂わせもし、救う事も出来る。誰も、過去に傷のない人なんていないと思う。その傷を何も言わずに、暖かく治すのが、「まぐだら屋」のマリア、そして、「尽果」の人々。絶壁に建つこの小さな食堂で、死を望んで来た人々が、救われる。そこには、温かな食事と、大きな心が・・・。登場人物のネーミングも最高。キリスト教に因んだ名前を頂いたそれぞれの登場人物が、その為すべきことを密かにする。誰も大声で自分を主張しない。涙を誘う、感動の一冊だ。