Book Reviews (マイブック評)

マチネの終わりに 平野啓一郎 文春文庫  2/17/20

February 17, 2020

本との出会い、作家との出会いも突然であったりする。この本もそう。本屋さんで何となく文庫の棚を眺めていたら、迷いなく目に止まった。そして、直感通りに素晴らしい出会いになった。こういう恋愛小説待ってたんだ!と、心底思いながら、読み進めた貴重な本。海外にいるため、平野啓一郎という、途轍もない作家のことを知らなかった。ご本人曰く「ページをめくる手が止まらないのではなく、ページをめくりたいけど、めくりたくない。ずっとその世界に浸りきっていたい小説・・」を書いていきたいとのこと。正にその感覚!一つ一つの言葉が、愛おしい、そしてその言葉について時間を置いて考えたい、そんな気持ちにさせてくれた、一冊である。思い出に残る言葉をいくつか。「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えているんです」これ、主人公槇野の言葉。「生きることと引き替えに、現代人は、際限もないうるささに耐えている。音ばかりじゃない。映像も、匂いも、味も、ひょっとすると、ぬくもりのようなものでさえ・・」これも、槇野の言。全てをここに書き写す事は不可能なので、実際に本を読んでみて下さい。一つだけ文句を言わせてもらうなら、主人公の槇野と洋子が別れる事になった原因・・。納得するには、かなりの努力が必要かも。そして、それを修復するキッカケも、こんなこと、あるのかなあ・・と思ってしまう。まあ、小説というのは、そういう所に、魅力があるのかも。取り敢えず、平野啓一郎さん、これからもお付き合いお願いします。