Newspaper Essay Series (新聞エッセイ)

2009 Newspaper Essays

December 31, 2009

第31回 2009年11月28日
アメリカの感謝祭、そして暮れにかけて
11月の忙しさにかまけて、すっかりご無沙汰してしまいました。懸案のプロジェクトも一息。今週は感謝祭の週末で、少しゆっくり過ごし ています。こちらはすっかりホリデイーシーズン(感謝祭から、クリスマスを経て新年まで)一色で、お買い物商戦真っ只中です。景気の悪さは相変わらずで、 皆お財布の紐はとっても固く、バーゲン品を慎重に選んでいるようです。アメリカで一年で一番のお買い物の日というのが、感謝祭(11月最後の木曜日)の次 の日と言われていて、毎年特売目当てに、朝早く、もしくは前夜から、沢山の人が並びます。今年も、あちこちのショッピングセンターで、長蛇の列が報告され ていました。昨年は、ニューヨーク近郊の大型店舗ウオールマートで、開店と同時に余りの人が入り口に殺到し、警備に当たっていた方が亡くなるという、痛ま しい事故がありました。その時のニュースでは、その惨事を尻目に、ほとんどの人が、目的の品を目掛けて走ったという事で、人間の欲深さを如実に表しまし た。嘆かわしい事です。

今月は自分の演奏もそうですが、いろいろと興味深いコンサートがあり、弾く方、聴く方の両方で、音楽を満喫しています。今晩は、若手のチェリストと の演奏会があり、リハーサルも上手くいっているので、演奏するのがいまから楽しみです。又、今月はその他にも、ベーストロンボーン奏者、トランペット奏 者、そして主人のチェロとの2重奏もありました。それぞれの楽器に特色があり、自分の息を使って演奏するもの(トランペット、トロンボーンなどの金管楽器 と、フルート、クラリネットなどの木管楽器)、弓を使って演奏するもの(バイオリン、ビオラなどの弦楽器)、そして打楽器(マリンバ、テインパニーなど) 等、それぞれに一緒に演奏する喜びがあります。今週から、来月行われる、一人の作曲家を取り上げた演奏会出演のため、ピアノ3重奏(バイオリン、チェロ、 ピアノの組み合わせ)と、バイオリンとの2重奏のリハーサルに入っています。この作曲家は、エイドリアン・アルバートと言って、ロスアンジェルス在住で、 このごろ引っ張りだこです!話し易いし、一緒に仕事をしても楽しいし、彼女の曲を演奏させてもらうのはとても嬉しいです。今回の曲も、とても美しく、かつ ダイナミックで、聞いていても弾いていても、すんなりと入ってくる、自然体の音楽です。前回は、彼女に委託された、トロンボーンとピアノのための曲を演奏 しました。

大学は、今学期の詰めに入っていて、教えている生徒の演奏会や、ピアノの試験が、12月初旬にかけてあります。今学期は16人のピアノの生徒ととも に、音楽をやっています!写真は我が家の庭のバラ達。ほとんど一年中花を咲かせ、私達の目を、そして鼻も(!)楽しませてくれます。それでは、どうぞ皆様 お元気で、冬の寒さの中お身体ご慈愛下さいませ。
第30回 2009年10月13日
日本公演を終えて
先月2週間の日本公演を終えて、無事帰宅。2週間臨時の先生にお任せしておいた大学でのレッスンやロスアンジェルスでの演奏の仕事な ど、帰る間もなく、忙しい日常です。今回の日本滞在はお天気にも恵まれ、又沢山の方々のご尽力・ご協力で、5公演を無事に終了する事が出来ました。日本は 秋の兆しが感じられ、とても良かったです!季節感の乏しいカリフォルニアから行くと、季節感というのはまさに大ご馳走です。それぞれの演奏会では、有難い 事に皆様に喜んで頂けて、演奏を通じてお客様と素晴らしい時間を共有出来たのは、大変幸せでした。又、食べるものはどれも美味しく、久しぶりに会う友人達 との会話ももう笑いの渦、大好きな大相撲には2日行けましたし、来年取り壊しになる歌舞伎座にも足を運ぶ事が出来、毎日忙しくも、とても充実したツアーに なりました。やはり、私、日本大好きです!もちろん、現在本拠地を置いているアメリカのロスアンジェルスも大好きですけれどーー。

今回の日本公演は、アメリカ連邦政府からの基金で行われた部分もあり、4公演でアメリカ音楽の演奏・紹介を行いました。アメリカに長く住む私として は、日本の皆様にアメリカ音楽の素晴らしさを分かって頂くというのは、とても素晴らしい機会です。今回も作曲家やその作品、又コロンバスのアメリカ発見か らどのようにアメリカの音楽が作られていったのかなど、いろいろな角度からプログラムを組んで、演奏・お話しを致しました。限られた演奏会という時間の中 でしたが、皆様に楽しんで頂け、今後もアメリカ音楽に興味を持って頂けるというのは、嬉しいことです。アメリカ音楽には、ヨーロッパから移住して来た人達 が一緒に持ち込んだ音楽と、アメリカ生まれの独自の音楽があり、もちろんそのミックスもある訳で、もうそれはいろいろなタイプの音楽があります。ジャズ、 ブルース、ラグタイム、カントリーウエスタン、ブロードウエイのミュージカルなど、日常的に意識はしていなくても、アメリカ生まれの音楽は、日本の皆様に もとても身近なもので、いざ演奏してみると、あっそうか!と、納得されるお客様も多かったです。

ロスアンジェルスは今日、夏以来始めてのの雨が降っています。9月始めに山火事で燃えたところの土砂崩れが懸念され、土嚢などで大急処置がなされ て、大雨に備えています。大地には恵みの雨でも、それで又災害が起きる場合もあり、一長一短。これ以上、自然災害が広がらない事を願って、今回のお便り、 締めくくりたいと思います。紋別はきっと冬支度が始まっているのでしょうね。皆様、どうぞお元気で。お風邪など召しませんように。
第29回 2009年9月9日
山火事の怖さ
前回のお便りを書いてから余り時が経っていませんが、9月は日本への演奏旅行がありご無沙汰してしまうので、少し早めのご挨拶です。9月の声を聞き、紋別はそろそろ秋を感じ始めるころでしょうか。

先週はロスアンジェルス郡で、歴史上始まって以来の大変な山火事がありました。現在も、まだ燃え続けているのですが、住宅街からは離れ、山の奥での 消火活動です。今年で10年目を迎える私のロスアンジェルスの暮らしですが、山火事における始めての緊急避難退去があり、普段はおおぼけの私ですが、流石 に緊張しました。数日前から近場の山が燃え始め、住宅街に近づいていたものの、まだまだ、と思っていたら、いきなり警察官が我が家のドアを叩いて、退去命 令です。そして、外に出てみたら、驚いたのなんの!すぐ近くの山がぼうぼう燃えていて、ものすごい炎と煙です。そして、ご近所の人達が車に物を積んで、非 難の用意をしているのを見て、二度びっくりです。人間慌てるととんでもない事をするぞーーと、自分を戒めながらも、大慌てで、冷や汗はかくし、気持ちが焦 るばかりでした。でも、何とか大事なものだけ車に積み込み、取り敢えず様子を見る事にしました。友人の中には、庭のすぐそこまで火が来て、とにかく水撒き ホースで応戦した人もいました。山火事の多いところなので、消防隊の方達がとてもよく訓練されていて、素晴らしい働きをして下さり、我が家を含む多くの住 宅を守って下さいました。本当に脱帽です。

私の住んでいるロスアンジェルスという街は、もちろん大都会ですが、自然と隣り合わせという素晴らしい特徴があり、その点でも多くの人を惹きつけて います。街の西側は太平洋に面し、北から東方面にかけては、美しい山が連なっています。こうした山々に近い事もあって、人々はよくハイキングやマウンテン バイク乗り(山登り用の自転車)に出掛け、心よりこうした自然を愛しています。今回は、この一番近場の山(エンジェルス国立森林地帯)が山火事になり、現 在まで76軒の家屋が燃え、消火活動中の消防士2名が殉職なさいました。昨日まで、154エーカー(約62、6472平方メートル)の地域が燃え、消火に かかった費用が約47億円と言われています。こうした山火事の消火は、一般の消防自動車だけでなく、消火の出来る機能を搭載したヘリコプターや747など の飛行機も使われます。そして、とにかく広大な地域をカバーするので、その費用もとんでもない額に膨れ上がる訳です。カリフォルニアは、現在破産状態にな り、その債権にいろいろな方法で立ち向かっている最中、シュワルツネッガー(元映画俳優の!)知事も、頭を悩ませて、眠れぬ夜を過ごしている事と思いま す。
野生の動物が沢山暮らし、美しい木々に囲まれたエンジェルス国立森林地帯のかなりの部分が燃えてしまい、本当に本当に残念です。しかし、ある意味では、こ れも自然のサイクルで、カリフォルニアの山は元来燃える事によって、再生して来ました。私達の生きている時代に、今までの姿を見る事は不可能でしょうが、 次世代の人達が、再び美しい自然に触れ、その中で、価値ある時間を過ごせるのを願っています。前回書きましたアメリカの父の死や、今回の自然災害の前で、 我々が出来る事の小ささを思い、そして又生きる事の素晴らしさ、毎日の生活の中での無限の喜びを、ひしひしと感じています。それでは、皆様お元気で。次回 のお手紙では、日本での演奏会のお話でもさせて頂きましょうかーーー。
第28回 2009年8月21日
アメリカの両親のこと
この夏日本では、様々な自然災害が猛威を振るい、多くの方が被害に合われ、本当に心痛みます。皆様の紋別はいかがでしょうか。今回のお便りでは、私のアメリカの両親の事に触れてみたいと思います。この8月7日主人の父が、87歳のお誕生日に生涯を閉じました。

今年で結婚して15年経ち、主人の家族とも折りに触れ、沢山の思い出を作って来ました。又、いろいろな事も学ばせてもらって来て、本当にこの家族の 一員になって良かったなあと、思っています。特に夏とクリスマスに帰るインデアナ州の両親の家では、特別な事をする訳ではありませんが、皆でゲームをした り、夏なら外の遊びで、そんなに大きくもないテーブルをぎゅうぎゅうに囲んでの食事をしたり、他愛のないおしゃべりをしたりと、本当に「毎日の暮らし」的 な喜びを共有してきました。主人の両親は、素敵な海外旅行とか、お洒落なお洋服をデパートでとか、世間がこういう風潮だから自分達もーーという考えの一切 ない人達で、自分達の良いと思う道を、自分達流に歩んで来ました。4人の子供たちを育て、退職前は二人とも学校で教え、日曜日は教会に行き、どれ一つ取っ ても、本当に特別という事はないんですね。今日が昨日の続きで、明日は今日の続きという感じで。義母は「自分は土から生まれたに違いない」というくらい植 物が好きで、庭はいつも沢山の花で溢れています。又、家が郊外にあるので、もう本当にいろいろな鳥がやって来て、庭を見てるだけでも、退屈しないんです よ。されから義母は今でも自分の洋服は全部自分で作りますし、孫達にキルトを造ったり、沢山いる家族へのカードを手作りしたり(8人いる自分の兄弟の姪や 甥も入れて!)と、毎日が忙しいこと!その母が、父が最初の脳溢血で6年前に倒れてからは、父の世話をするのが自分の生きがいと、外での活動を控えて、毎 日毎日を二人で大事に過ごして来ました。今年の母の日には、近くに住む義姉が「今日は一日私がお父さんと一緒にいるから、何か好きな事をしてくれ ばーー?」と言ってくれたのですが、「お父さんの世話をするのが自分の仕事だから、それ以外の事は考えられないね」と言っていました。6年前と4年前に2 回脳溢血の発作を起こしたとはいえ、話をするのに支障が出ていたくらいで、基本的には自分の事は、亡くなる一週間前までやっていました。

今年の6月もいつも通り家族で集まり、義父も昔のように皆の会話に入ったり、ゲームに加わったりという事はなかったものの、私達の側で楽しそうに見 ていました。食事の時も、一緒のテーブルで義母の隣に座り、好物のすいかや、桃のジャムなどを嬉しそうに食べていた光景を、昨日の事のように覚えていま す。そして、あたかも自分で道を作っていたかのように、この集まりから次第に健康状態が悪くなり、次第に座っている時間が長くなり、亡くなる一週間まえに 大きな脳溢血の発作で気を失い、それから回復する事なく、静かにホスピスで家族に見守られて、亡くなりました。こちらでは、「延命治療をしない」という同 意書を多くの人が生前に作るので、義父の場合もまさにそうで、最後は安らかにホスピスケアの中で、天国に旅立ちました。父は本当に穏やかな人で、声を荒げ たり、人と争うという事もなく、私も楽しい思い出ばかりです。お葬式も本当に両親らしく、何も派手な事はなく、それでも沢山の友人、昔の生徒達が来てくれ て、思い出話に花が咲きました。

本当に基本的なことですが、毎日の暮らしに感謝し、社会の中で何か役に立てる事を見つけ、与えられた仕事をきちんとこなし、家族との時間を大事にし --、主人の両親がさりげなく教えてくれた事は、私の中でとても大きいです。日本では「死への準備」について語られる事は少ないかもしれませんが、どうい う風に生涯を閉じたいのか、考えているように行くとは限りませんが、家族の間で、友人の間で、何かの機会に話し合うのも大事ではないでしょうか。今回はい つもとは違ったテーマでお話しさせて頂きましたが、皆様どう思われましたでしょうか。9月は日本への演奏旅行があり、久しぶりに帰国します。それでは、次 回まで、皆様お元気でお過ごし下さい!
第27回2009年7月2日
カンサス州の音楽祭
6月はいろいろと旅が続き、すっかりご無沙汰してしまいました。数日前にロスアンジェルスの我が家に帰りました。ロスアンジェルスは、 夏の始まりで、日中は暑くなりかけていますが、夕方から翌日の午前中までは、涼しくとても過ごしやすいです。梅雨のない北海道は、すがすがしい気候が続い ているのではないでしょうか。皆様お変わりありませんか。

6月の旅月間(!)の始まりは、毎年恒例のカンサス州での音楽祭でした。この音楽祭での珍道中は、いままでにも何度かお知らせしているので、今回は この音楽祭会期中に行った、テキサス州ダラス市でのトランペットのフェスティバルについて書いてみたいと思います。私はロスアンジェルスにいる時は、いろ いろな楽器奏者の方々と共演する機会に恵まれています。例えば、今週はヴィオリン奏者と、次の週はファゴット奏者と、そしてその後はピアノ3重奏などの少 し大きな室内楽のグループで、という具合です。これが、まさにピアノ奏者でいる事の幸せの一つですね!こういった共演者の一人にトランペット奏者のジョ ン・ルイスという友人がいます。このジョンが、ダラス市で開催されるトランペットのフェステイバルから招待されて演奏する事が決まり、共演者として私に声 をかけてくれたのが、このテキサス州ダラス市への旅の始まりでした。テキサス州は日本の国土の約2倍半という、全米でも一、二を争う広大な州の一つです。 そして、州の南側はメキシコと接していて、南東部はメキシコ湾に面しています。一年を通して暑くて湿気が多いのが、悩みの種です。又、ここは前アメリカ大 統領ブッシュ氏の出身地でもあります。

問題は、カンサス州での音楽祭をちょこっとおさぼりして、テキサス州に行って演奏会をこなし、すぐに翌日の朝早く帰って来るという事が可能かーーと いう点でした。テキサスとカンサスは南北に行ける距離で、アメリカの感覚でいうととても近いので(飛行機で一時間半くらい)、予定をしっかり組んで何とか こなせそうだ!という結論に達し、空港への送迎などいろいろな方のお力を借りて、実現する事が出来ました。お蔭様で、トランペットとピアノのコンサートは 大成功。フェステイバルに参加していたいろいろな音楽家などとも話す機会があり、演奏会終了後のバーベキューパーテイーも存分に楽しんで、翌日朝一の飛行 機で、カンサスに戻り、待たせておいた生徒達を教えました!正直申しあげて疲れましたが、充実感の伴う疲労は、心地良くもありますね。写真は、カンサス州 での音楽祭で教えていた生徒達のグループの一つで、音楽祭の最後に皆で撮った写真です!

7月、8月はロスアンジェルスでの仕事をこなし、9月に2週間程、日本へのコンサートツアーがあります。残念ながら、東京より北に行く機会が今回は なく、紋別の皆様とは、このお便りを通じてのご報告となりそうです。それでは、皆様どうぞお元気で。8月も又、夏本番、元気一杯のお便りを差し上げたい と、思います。
第26回2009年5月13日
大学のこと

5月も半ばに入り、北の紋別市でも、春の訪れに町が美しく着飾っている頃でしょうか。ロスアンジェルスも大変すがすがしく、すごしやすい毎日です。私の教 えている大学は、今期の授業が終了し、長い夏休みに入ろうとしています。生徒達は、長い休みを有意義に過ごそうと、早くから計画を立てています!インター ンシップといって、卒業して会社に入る前に、自分の就きたい職種の会社で、経験を積む生徒。もしくは、長期に海外に行って、語学に磨きをかける生徒。アウ トドアの好きな生徒は、キャンプ場で子供達の指導をしたり、又自分の学科の研究室で、教授とひとつの課題に夏の間取り組む等、将来を見据えながら、夏を無 駄なく過ごします。

大学生を指導するというのは、人生の中で大変変化の多い、18歳から22歳という年代を共にするという訳で、これはとても興味深い事で、この職業に ついている事に深く感謝しています。人間の本質は変わらないものの、4年の間には、いろいろな事に遭遇し成長するので、私自身も一緒に成長させてもらって いるような感じがします。私のピアノレッスンを取っている生徒達とは、ピアノや音楽の事だけでなく、生活全般についても話しをするので、4年間一緒に過ご すと、先生-生徒という関係だけでなく、友人関係のようにもなります。将来についてしっかりしたビジョンを持った生徒が多いので、卒業後はそれぞれの夢に 向かい前進し、健康で幸せな日々を送ってくれる事を深く願っています。

今月はトランペット奏者の友人3人と、それぞれ幾つか演奏する事になっています。楽器の持つ音色、特性というものがあり、作曲家もその楽器のメカニ ズムを最大限に活かした曲を作ります。ですから、同じ作曲家の曲でも、作られた楽器の違いによって、作風が自ずと異なります。又、この作曲家は管楽器(ト ランペット、トロンボーン、チューバなど)の作品が多い、もしくはピアノ曲がほとんど、又弦楽器(バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスなど)の曲し か書かないなどという事もあります!という訳で、今月は管楽器の曲を沢山演奏します!!美しいトランペットの音色というのも、一緒に演奏して楽しいもので す。

6月は毎年参加しているカンサス州の音楽祭に出掛けます。又インデアナ州にある主人の実家で大きな家族の集まりがあるので、それも楽しみです。それでは、次回のお便りまで、皆様お元気で!
第25回2009年4月7日
日本食、大好き!
皆様の紋別にも春の訪れが感じられる頃でしょうか。東京の桜が満開だというのを、つい最近聞きました。アメリカの中では、日本から贈与 された、ワシントンDC(ニューヨークの南に位置)にあるポトマック川岸にある桜が有名です。ここでは、毎年3月下旬に日本祭りが行われています。又アメ リカ国内のいろいろな都市に、日本との友好を記念した日本庭園があり、大小の差はあれ、お茶の会や生け花、折り紙講習会など、日本を紹介する催し物が開か れています。皆さんとても熱心でかつ興味を持っていらして、いつも質問が飛び交います!

日本文化と言えば、お寿司の大ブームがありますね。ちょっとしたスーパーマーケットなら、お寿司のパック詰めが売られていますし、街をちょっとドラ イブすれば、あちらこちらにお寿司屋さんの看板を見つけます。お寿司と言っても、千差万別で、江戸前の正当派から、生のお魚を余り使わずに、お洒落にク リームチーズやスパイスを効かせた巻物まで、いろいろ食されています。特にここカリフォルニア州は、有名なカリフォルニアロール(アボカド、きゅうり、か にかまぼこを入れた巻物)の発祥の地でもあるように、お寿司が大好きな人が多いです。そして、日本同様、健康志向から大豆の需要が多く、いろいろなものに 使われています。例えば、お豆腐や枝豆をサラダの上に乗せたり、豆腐ステーキにしたり、お豆腐のバーガーなど、発想豊かに大豆製品を使っています。私も朝 は玄米に納豆を頂きますし、豆腐類はいつも冷蔵庫に欠かさないようにしています。そしてここ数年私自身、日本の乾物類のすごさを本当に実感しています。昆 布やひじきなどの海藻、椎茸や切り干し大根などの野菜系、それに豆類も入れると、種類も沢山あり、日本食品店まで遠い私などは、こういった食品が本当に重 宝します。又便利さだけでなく、こういった乾燥食品は生の食品と違い、料理法によっては実に良い味を引き出してくれますので、我が家の台所には必需品で す。

今回は日本に関係するお話に終始してしまいましたが、アメリカでの日本文化への関心は、幅広くそして深いです。アニメ祭りから鼓動のコンサートま で、いつも何かしら行われていますし、かなりの大学に日本語学科やアジア文化科があります。昨日は主人と一緒に近所の映画館に、「東京ソナタ」を見に行っ て来ました。日本人の心情を鋭く描き、とんでもなく日本的で、ちょっとホームシックになりました。私も日本人音楽家として、日本の素晴らしい音楽を世界に 紹介出来る喜び、そして日本の音楽だけでなく世界の様々な音楽を演奏出来る楽しさ、音楽を通じて世界の人々と共有できる時を持てる幸せを、日々感じていま す。もっと私の日常にご興味があれば、ホームページも覗いてみて下さいね!それでは、また次回まで、どうぞお元気で。
第24回 2009年3月14日
宗教のこと
すっかりご無沙汰してしまいました。2月からここずっと演奏会が続き、大学の忙しさも重なって、お便りが遅くなりました。紋別はまだま だ寒いのでしょうね。ロスアンジェルス市の位置する南カリフォルニアは、朝晩は5-10度になりますが、昼間は陽の光も暖かくなり、春の花で街があふれて います。又、アメリカではこの日曜日から夏時間(時計を1時間先に進める)が始まり、一気に昼間の時間が長くなった感じです。

西洋文化の中で大事なもののひとつが、宗教ではないでしょうか。私自身もクリスチャンで、クリスチャンとしての生活を大事にしています。ロスアン ジェルスでも、町を歩いていると、教会があちこちに建っていて自然と目に入ってきます。これは、キリスト教から、ユダヤ教、イスラム教など、それは様々 で、又それぞれの宗教に沢山の宗派があり、教会の形もひとつづつ大変個性的です。こういった教会で、コンサートが日常的におこなわれています。今週と先週 の日曜日の2回、主人でチェリストのデイビッドとの2重奏で、こうした教会でおこなわれている、コンサートシリーズで演奏しました。今年2009年は、メ ンデルスゾーンというロマン派の作曲家の生誕200周年で、すべてメンデルスゾーンの曲でプログラムを組みました。とても熱狂的なお客様に来て頂き、2回 とも大変良いコンサートにする事が出来ました。来週の日曜日は、又別の教会で、トロンボーン奏者の友人との2重奏で、新作ばかりの演奏会です。この友人 は、私財を投げ打って、いろいろな作曲家に作品を委託、それを発表しています。今回も、6人の作曲家の曲を演奏する事になっています。

演奏会が沢山あるという事は、練習をしなくてはいけないという事で、時には頑丈な私でも体に無理がかかることもあります。ここ15年くらい、夜寝る 前に、ストレッチを主にしたヨガを15分くらいやっています。これは、翌日に疲れを持ち越さない為にも、又熟睡の為にも、私にとって必須です。それとは別 に週に2-3日、スポーツジムにも通っています。長く使わなければいけない体、健康で長持ちさせたいので、無理しないで鍛えています。運動の後は、時間に 余裕があれば、スチーム風呂でゆっくりとリラックスしています。何せ、日本のような浴槽がふかくて暖まれるお風呂が家にある訳でないので、それの代わりの ようなものですね!
それでは、次は紋別に春の声が聞かれるころに、お便りしましょう。皆様、どうぞお元気で。
追伸 私のホームページに日本語ページも入りましたので、もしご興味があればご覧下さいませ。ブログの中にご意見を書き込んで頂く場所もありますので、お声をお聞かせ下さいね!
第23回 2009年1月3日
ハッピー・ニューイヤー!
ロスアンジェルスより、新年明けましておめでとうございます!ハッピー・ニューイヤー!

アメリカでは、1月1日の新年のお祝いが終わると、11月の終わりの感謝祭から始まった長いホリディーシーズンが、幕を閉じます。この間は日本の忘 年会のようにパーテイーが多く、友人たち、家族が集まる機会が増えます。日本と違うところは、こういう様々な集まりのほとんどが(もちろん会社単位の大き なものなどはホテルなどを使ってやりますが)、それぞれの家で行われる事です。もちろん大きな家は最適ですが、そんなにスペースのないアパートでも、人が 集まってワイワイ楽しみます。パーテイの形は様々で、食事の前のおつまみ、飲み物は立っておしゃべりしながら楽しみ、その後座ってテーブルを囲むデイナー 形式から、最初から最後まで人々が出たり入ったりして、食べたり飲んだりのオープン形式のものなど、いろいろです。もしこういったパーテイーにお招ばれし たら、15分くらいは遅れて行く事(準備の関係上!)、「壁の花」にならないように、知らない人でも自己紹介して積極的に会話に参加する事、事前に招待し て下さっている方に、何か持って行きたいけれど何が良いかを聞く事(主催している方のプランを壊さないようにするために。意向を聞かない場合は、お花、も しくはワインが良いですね!)などが、大事かと思います。いずれにせよ、国は変われど、人々が集まって、美味しいものとちょっと気の利いたお酒を囲みなが らの時間は、何物にも代えがたいですね!
私は毎年、主人の実家のあるインデイアナ州で、クリスマスを家族とともに過ごします。今年も主人の兄弟、その家族が集まり賑やかでした。インデイアナはア メリカ中西部に属し、シカゴの近くに位置します(主人の実家は、シカゴ空港から車で約2時間半。)ですから、冬は結構寒く、毎年飛行機の遅れ、キャンセル など、必ず「何か」あります!今年はロスアンジェルスからの飛行機が4時間の遅れで済みましたが、シカゴからのドライブが、ものすごい霧のため、のろのろ 運転で通常よりかなり時間がかかりました。あんな霧は始めてで、周囲2メートルくらいしか見えず、夜半という事もありましたが、全くどこを走っているか分 からない状況でした。という訳で、我が家を朝7時半に出発(9時半の飛行機に乗る予定だったので)、ロスアンジェルス空港での4時間の遅れに、シカゴから の霧の中運転、時差3時間を加え、主人の両親の家に着いたのは、夜中の12時を過ぎていました!主人と二人で同時に、「これじゃ日本に帰るのと変わりない ね!」と、思わず笑いながら言ってしまいました!

感謝祭にクリスマスの飾りつけをした我が家も、1月2日に元通りに。2009年の出発です。世界的な景気の低迷など、暗いニュースが多い中、せめて も明るく楽しい話題をロスアンジェルスからご提供して行きたいと思っています。それでは今年もどうぞよろしくお願いいたします。