Newspaper Essay Series (新聞エッセイ)

2006 Newspaper Essays

December 31, 2006

第8回 2006年7月30日
ロスアンジェルスの、爽やかな風
皆様お元気ですか。これが皆様のもとに届きますころは、もう8月。紋別の夏はきっと素晴らしいのでしょうね。

私の住んでいるロスアンジェルスは、一年を通して空気が乾燥していて、暑くなっても過ごしやすいのが常なのですが、ここのところ例年にない湿気に、 町がじめじめしています。といっても、湿度60-70%くらいでしょうか。又、少し前には大変な猛暑も襲い、ひどいところでは華氏119度、摂氏48度強 という大変な記録を残しました。我々が住んでいるあたりでも、40度くらいになっていました。沢山の方がクーラーを持っていないので、そういう方達は空調 の効いている公共の場所などに非難。持っている方でも、大変な暑さにはクーラーが力負けで、ふらふらでした。しかしこういった暑さも一段落。ちょっと湿気 はあるものの、自然の風で暮らせるようになりました。

7月には日本の私の両親が遊びに来ていて、いろいろな所にガイド兼運転手で行きました。その中で一番の圧巻は、セコイア国立公園でしょうか。ロスア ンジェルスから北に車で5時間くらいの所にあり、素晴らしい山々の中にある公園です。ここはセコイアという木が沢山生えているわけなのですが、その木とい うのが世界一の高さ、重さ、年齢で、一番のお年寄り達は2500年を越していると言われています。そういう大木が、行けども行けども頭の上にそびえている というのは、本当にすごいですよ。セコイアの木の持つ大変な生命力、病気に打ち勝つ構造などで、こういう長寿が生まれるようです。アメリカの国立公園とい うのは、本当に中に入ってしまうとお店など何もなく、自分達で飲み物から簡単な食べ物、キャンプをする人たちは何から何まで持参です。我々は公園内にある ホテルに泊まったので、クーラーボックスに飲み物と軽食を用意して行っただけでしたが。それでも日本から来ている私の両親には、最初に言っている意味が分 からず、何でこんなに用意していくのかと、疑問だらけのようでした。それもそうですね。日本の観光地といったら、町がそこにあるようなもので、何かが見つ からないという事はないですものね。アメリカでは、セコイア煎餅もセコイアクッキーもありませんよ!

もう一箇所両親を連れて行ったところで思い出深いのが、ワイナリーです。ワインと言えば、フランスとかイタリアを思い浮かべらられる方も多いかと思 いますが、ここカリフォルニア州もその気候を生かし、ワイン造りは大変盛んです。私もロスアンジェルスに引っ越して来てから、ワインに興味を持ち、飲み比 べ会で勉強したり、本でいろいろ調べたりしています。が、何といっても美味しいお料理と一緒に飲むワイン、これは最高ですね!作る料理に合わせてワインの 種類を選ぶ、というのも、楽しみの一つです。値段通りに味もなるかというと、それが面白いところでそうでもないようです。自分の好きな葡萄の種類でワイン を選び、皆とおしゃべりしながら、料理を楽しむというのが、お薦めですよ!

私の秋の予定は10月の紋別訪問も入っていますが、その前の9月に2週間半の南米コンサートツアーがあります。夏は音楽家にとっては充電の時。9月 から始まる新しいコンサートシーズンに備え、新しい曲を練習したり、暗譜したりです。それでは、皆様も夏バテなどなさいませんように。又紙面でお会いしま しょう。
第7回 2006年5月16日
アメリカの大学生の夏休み
しばらくご無沙汰していました。この春のコンサートシーズンはいつにも増して忙しく、あちらこちらと飛び回っておりました。

こちらの大学は5月初旬に一年が終わり、長い夏休みに入ります。2つ教えてるどちらの大学も最近前後して夏休みに入り、私も一息ついている所です。 新学年は8月の終わりに始まります。学生達は学期中勉強、試験などに大変忙しく、夏休みは息抜きと、それから長い休みを利用して、普段出来ない事に時間を 当てます。例えば、将来に備え、自分の就きたい職種の分野でのインターンシップやボランテイア、又は長期に海外に行って勉強など、皆意欲的です。やはり将 来に強い希望や夢を持っている学生ほど、夏休みの貴重な時間を無駄にせず、有効に活用しているようです。それから自活して大学に通っている学生達にとって は、働き貯めの時でもあり、一生懸命働いて、学期に備えてお金を蓄えています。こちらの学生はかなりの割合で学校からローンを借りて、学費に当て、卒業し てから少しずつ返しています。特に2つ行っているうちの一つ、州立大学はすべての人に門戸を開いているので、かなり年齢が上にいってから再度大学で学ぶ学 生や、いろいろな事情で大学を卒業出来なかった人々が学位を得る為に戻って来たりで、本当にいろいろな学生がいます。高校卒業したての学生から、定年後に いままで知らなかった分野の勉強をする生徒までいますので、まさに孫と祖父母の年の開きも生徒間では見られる訳ですね。

私事になりますが、この春のコンサートツアーではニューヨークにもまいりました。ロスアンジェルスがアメリカの西海岸の大きな都市であるのに対し、 ニューヨークはボストン、ワシントンDCなどと並んで、東海岸の主要都市の一つです。皆様も写真などでご覧になった事があると思いますが、まさに摩天楼。 マンハッタン島の中はビルの群れです。治安が大分良くなったとの事で、夜町を歩いても、平気です。ニューヨークはアメリカの数少ない都市の一つで、車を持 たなくても暮らせるところで、地下鉄、タクシー、バスなどが気軽に使え、どこにでも行けます。ただしマンハッタン島の中の住宅事情は本当に大変で、ものす ごい高家賃です。ですから、成功している人々に取ってこれほど素晴らしい町はないでしょうけれど、成功を夢見る若者や低所得者に取っては、生活の厳しい所 でもあります。しかし世界のニューヨーク。人々が世界各地から集まって来る、とても魅力的な都市である事には変わりません。

私のニューヨークでのコンサートプログラムは先年紋別でも演奏させて頂いた日本の音楽で、現地日本総領事館主催で行われました。一回目は、国連内に ある施設で、2回目はちょっと郊外にある大学内のホールで演奏しました。どちらも着て頂いたお客様に喜んで頂く事が出来、又演奏後の交流でいろいろな方と お話が出来、演奏した側に取っても有意義な時間を過ごす事が出来ました。海外で日本の音楽を演奏させて頂く度に、こんなに沢山の人々が日本に興味を持って いるのだと知る事は、本当に嬉しい事です。

ロスアンジェルスは今年は涼しい春で、最近ようやくカリフォルニアらしい太陽が戻って来ました。我が家も先週夏野菜を庭に植え、トマト、きゅうり、ピーマンなど、夏の間の収穫が楽しみです。それでは、又。次回のロスアンジェルス便りでお会いしましょう。